転生リフォーム業者、魔王城をホワイト化する ~勇者が来る前に職場環境を改善したら、世界を救うどころか「家賃収入」までゲットしました~
のら
第一話 これは欠陥住宅でございますね。
目が覚めると、そこは、やたらカビくさい部屋だった。
「くせぇな、ここ、どこだ……?」
ぼやける視界にメガネがない事に気付く。
メガネを手探りで探しながら、一体何が起きてるのか考えるが、記憶がすっぽりと抜け落ちている。
しかも、重度の目の悪さで、辺りは全く見えない。
とにかく、まずはメガネだ。
ん?なんだこれ?
手に何か硬いものが当たった。
ソレ伝いに手を添わせる。
柔らかい質感。
暖かい感触
布の感触
ソレは上へ上へと行くにつれ、接触面積が大きくなる。
「ん? これはなんだ? ……人の足――」
モニモニと触りながら顔を上げると……
バチーーーーーーーンッ!!
ぶべらっ!!
ほっぺたに突然の衝撃。
――!?!? な、なんだ!?
衝撃で吹っ飛ばされた体を起こそうとした時、手元に覚えのある感触があった。
メガネだ。
オレはメガネを掛け、吹っ飛ばされた先を向き直した。
そこには若い女の子。
でも?
角が生えてる?
しかもなんか顔、真っ赤にしてる?
「わらわのどこを触っておるのじゃ、このハレンチめ!」
その女の子は自分の下半身を両手で隠しながら、涙目で俺を睨んでいた。
「え? あ、いや、すまん……」
オレはジンジンと熱を持つ頬をさすりながら、彼女を見る。
赤い肌、額から伸びる二本の角。どう見ても人間じゃない。
あー!コスプレか??
――にしてはリアリティがありすぎる。
ふと、彼女の後ろにある壁が目に入った。
「……ひどいな」
「なっ!? 貴様、わらわの顔を見て、ひどいとは何事じゃ!」
「いや、そっちじゃない。壁だ」
オレは立ち上がると、彼女を無視して壁際へと歩み寄る。
「はぁぁ!? お主、何を言うておるのじゃっ!!」
なんか、プンスコしてる彼女には全く興味なかった。
指で壁の表面をなぞると、じっとりと濡れた感触。
「この部屋、北向きだろ? しかも断熱材が入ってないから結露がすごいことになってる。これじゃカビの温床だ。さっきの『カビ臭い』原因はこれか」
俺は壁をくまなくチェックする。
「しかもモルタル打ちっぱなしかよ。見た目はモダンでいいけどさ。ちゃんと空気を回す設計にしねぇからこうなるんだよ」
「え……? え?」
「それに床。歩くたびにキシキシ鳴ってる。根太(ねだ)が腐りかけてる証拠だ。
よくこんなんで住んでたな。欠陥住宅だろ、こりゃ」
オレはメガネの位置を直しながら、呆然とする魔王(仮)に向き直った。
「施工会社に騙されたか?
今すぐリフォームの見積もりを出してやる、プロとして見過ごせねぇよ。」
俺のその言葉に魔王(仮)の目はウルウルしていた。
「わ……わらわんち、そんなひどい?」
これが、オレと魔王との出会い。 そして、このボロ魔王城の再建計画の始まりだった。
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