第2話 歯車は回り始める

前回のあらすじ

業務中に調圧水槽(サージタンク)の中に転落してしまった坂井 尊。そんな彼が目を開けると、野原であった。その後村を発見し、村人から情報をもらう。この世界では魔法が使えるようで試してみるが、残念ながら使用できなかった尊。前世界で培った技術力で今世界も生き延びてみせることを決意した。


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「ん”ん”っ~!」

俺の顔を優しく木漏れ日が照らしてくれる。良い目覚め……ではなかった。


昨日村にお世話になってよいと許可を得られたところまでは良かったが、住居用に斡旋された建物はボロボロ。隙間風は吹く、屋根からは雨漏りを超えて水が流れ落ちてくる。加えて床は腐っていて、踏み外した。

家がもらえるだけでもありがたいんだけどね。


まずは生活環境からどうにかしないとな。俺は、昨日村人からもらった道具を使って家を再建することにした。

斧を使って木を切ろうとしたのだが……


「おーー!!すげっえ!!」

「次お前の番なー!!」

子供が魔法を使って簡単に木を切っていた。

俺は恥ずかしさを捨て、子供たちにお願いをする。


「君たち。お願いがあるんだけど、いいかな?その切った木を良ければもらえないかな?」


「いいよ!!!」


お兄さんだなんて、なんていい子たちなんだろうか。俺は代わりに子供たちにある提案をする。


「お礼に君たちにとってもいい物を見せてあげよう!」

俺はポケットからライターを取り出し、着火してみせる。

「どうかな?魔法を使わなくても一瞬で火を起こせる道具だよ。」


「「すげえええ!!!!」」

おおよその子供たちは感心してくれたが、1人嘲笑うかのような態度の子がいた。

「そんなの小さな火じゃない。魔法なら大きな火が一瞬でだせるわ!」


「そっか、そっか。君の言う通りかもしれない。でもね、技術を甘く見ちゃいけない。魔法も素晴らしい物だけど、技術のいい所は人を選ばないところだ。」


「ふんっ!絶対に魔法の方がいいもん!あと、私の名前は君じゃない!レナだよ!」


「レナっていうのか。俺はマコトよろしくね。今度また技術で面白い物ができたら紹介するよ。」


レナは1人帰ってしまった。その後子供たちに木を切ってもらい、俺は家の隙間風対策と、屋根の補修を終わらせた。


今後の生活の予定を考える。現状村における俺の扱いは不思議な旅人。魔法が使えず、仕事もない。村からしてお荷物的な存在だ。

何か村に貢献しなければWin-Winの関係とはなれない。


俺が村に貢献できそうなことを考える。……、近くに川があった。毎日水汲みに行っているのを俺は知っている。


「水路の建設……合わせてこの世界で電気を作ってみるか……?」


俺は早速村長に会いに行く。電気の作成を除き村長に話をしてみる。

「ほっほっほっ……そんなことができるとは思いもしなかった。生活が豊かになる事は素晴らしい。ただ、私一人の意見にすぎん。実際に水路を作ることになるであろう人、村民の意見を取り、賛成多数であれば動いても良い。」


「ありがとうございます!」


早速今日の夜に会合があるようだ。それまでは自分の敷地で畑を耕す。食糧問題も深刻だ……。どうにかしなければ……。



満月の夜。いつもより明るい夜闇の中会合は開かれた。

「賛成多数により水路の建設を開始する!」


俺の異世界生活が本格的に始動した音がした。

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