なんとなく作った糞ラノベシリーズ
暗黒の儀式
鉄屑だと思ってた親父の形見、実は概念ごと叩き斬るチート剣だった件』というなの糞1号
「おい、アレン。これでも持っていけ」
村の外れ、いつものように縁側で昼寝をしていた親父が、欠伸をしながら一本の剣を放り投げてきた。
受け止めたそれは、お世辞にも冒険者の武器には見えない代物だった。全体が赤錆に覆われ、刃こぼれだらけの鉄の棒。
「……ねえ親父、これ、ただの鉄屑じゃない? 庭の草むしりにも使えないよ」
「ガタガタ言うな。お前にぴったりの、頑丈なだけの鈍らだ。肩叩きの練習だと思って振ってりゃ、そのうち馴染むさ」
親父はそう言って、また高いイビキをかき始めた。
俺は溜息をつき、その『鉄棒』を腰にぶら下げて村を出た。子供の頃から親父にやらされた、目隠しをしてのハエ叩きや、滝壺でのメダカ救い……。あんな遊びが何の役に立つのかは知らないが、とりあえず街へ行って、のんびりギルド登録でもしよう。
それが、この時の俺の「ノンストレス」な計画だった。
街道を歩いて数時間。森の奥から、けたたましい咆哮と、可憐な悲鳴が聞こえてきた。
駆けつけると、そこには透き通るような銀髪の美少女が、巨大なオークの群れに囲まれて震えていた。
「ああ……神様。私の力は封じられ、ここで終わるというのですか……」
彼女の手から放たれるのは、消え入りそうなほど小さな光。あれじゃ虫除けにもなりゃしない。
俺は反射的に、腰の鉄の剣を引き抜いた。
「危ない!」
俺は親父に教わった『肩叩き』の要領で、一番近くにいたオークの脳天に、鉄の剣を振り下ろした。
ただの素振りだ。余計な力なんて入れていない。
――ドゴォォォォン!!
轟音と共に、オークの巨体が地面にめり込んだ。それどころか、衝撃波で背後の森の木々がドミノ倒しのように薙ぎ倒されていく。
「え……?」
「……あ、れ? 意外と脆いな。最近の魔物って、みんなこんな感じ?」
俺が首を傾げていると、腰を抜かしていた銀髪の少女――リーネが、信じられないものを見るような目で俺を見上げていた。
「……そんな……。詠唱も、魔力の気配すらもなく……今の『概念断絶』の剣技は一体……!? まさか、あなた様は伝説の……」
「いや、ただの村人です。親父の肩叩きを手伝ってただけで」
「……っ! 流石です、アレン様! 修行の末にその極致に辿り着かれたのですね! 道理で……そのお腰にある剣、私には分かります。それこそが、神話に謳われる『世界を理ごと切り裂く聖剣』の擬態した姿なのですね!」
リーネは瞳を輝かせ、俺の手を両手で握りしめてきた。
いや、これ、ただの錆びた鉄棒なんだけどな。
「お願いします、アレン様! 私をあなたのパーティーに加えてください! この封印された身ですが、あなた様のお側で、その奇跡をこの目に焼き付けたいのです!」
「え、まあ、一人よりは賑やかな方がいいか……。じゃあ、行こうか」
俺が適当に頷くと、リーネは「はいっ! 流石はアレン様、お心が広い!」と、満面の笑みで俺に寄り添った。
重くて頑丈なだけの鉄の剣。
そして、なぜか俺を全肯定してくれる絶世の聖女。
俺の冒険者生活は、どうやら思っていた以上に「サクサク」と進んでいきそうだった。
第二話:『聖女が実は「性女」だった件、そして鉄壁の無自覚回避』
ギルドでの登録をサクッと終えた俺たちは、街で一番高級な宿『黄金の蹄亭』にいた。
もちろん、支払いはギルドマスターが「アレン様の力に比べれば、これしきの宿代など!」とドヤ顔で肩代わりしてくれたおかげだ。
通された部屋は、豪華な天蓋付きベッドが鎮座するスイートルーム。
だが、問題が一つあった。
「……あの、リーネさん。部屋、一つしかないみたいだけど」
「いいのです、アレン様。私のような零落した身には、同じ空気を吸わせていただけるだけで十分……。それに、夜の静寂は封印された魔力を不安定にさせます。……ですから、……その」
リーネが、おもむろに聖女の法衣を脱ぎ捨てた。
その下に着ていたのは、布面積が絶望的に少ない、透け透けのシルクの寝間着だ。さっきまでの清楚な面影はどこへやら、潤んだ瞳で俺を見つめる彼女は、まさに『性女』と呼ぶにふさわしい色気を放っていた。
「……アレン様。実は、聖女の真の力は……殿方との『魂の結合』によってのみ、完全に解放されると言い伝えられているのです。……さあ、私の封印を、あなたのその太くて逞しい……聖剣で、貫いてくださいまし……っ」
リーネが熱い吐息を漏らしながら、ベッドの上でしなだれかかる。
並の男なら心臓が止まるようなスケベン攻撃。だが、俺の脳内には親父の声が響いていた。
『アレン、いいか。真の戦士は寝ている時こそ、隙を見せてはならん。蚊の羽音一つ、寝返り一つで回避するのだ』
「……なるほど。これが親父の言ってた『寝込みの不意打ち訓練』か」
俺は無意識に、鉄の剣を横に置いたまま、寝返りの動作でリーネの突撃を華麗に回避した。
「きゃっ!? ……あ、アレン様? 今、わざと避けられました……?」
「悪い、リーネ。修行の癖でね。……ああ、その格好、風邪引くよ。ほら、ちゃんと布団を被って。夜の冷え込みは体に毒だって、村の婆ちゃんも言ってたし」
俺はリーネを優しく、かつ有無を言わさぬ剛腕で毛布の中に包み込み、簀巻き(すまき)状態にした。
「あ、あれ……? 私の究極の誘惑が、まるで通じない……? それどころか、この包容力……っ。……ああ、流石ですアレン様! 私の未熟な誘惑など見抜き、まずは休息を優先させるという王者の余裕……! まさに聖騎士の鑑です!」
リーネは簀巻きにされたまま、感動で涙を流し始めた。
いや、ただ寝たいだけなんだけど。
「……ふあぁ。じゃあ、おやすみ。明日はギルドの依頼で、なんか『概念の歪み』とかいうのを直しに行くんだろ?」
「はいっ! アレン様のお側で、どこまでもついて参ります!」
俺は丸まったリーネの隣で、泥のように深い、ノンストレスな眠りに落ちた。
親父の形見の鉄の剣が、月明かりを浴びて、ほんの一瞬だけ神々しく輝いたような気がしたが――たぶん気のせいだろう。
第三話:『擬態した最強のAランク(自称F)が、ただの村人にボコられる件』
翌朝、俺たちはギルドの依頼を片付けるために街の門へと向かった。
そこには、門を塞ぐようにして立ちはだかる、絵に描いたようなチンピラ風の男たちがいた。
「おいおい、どこの田舎もんかと思えば、そんな錆びた棒切れぶら下げて冒険者ごっこかぁ?」
リーダー格の男が、下卑た笑いを浮かべて俺たちの前に立ちふさがる。
首元には最低ランクの『F』と刻まれた銀板が揺れていた。
「……アレン様、気をつけてください。彼らはランクこそFですが、その構え、ただ者ではありません……!」
「えっ、そう? ランクFなら、俺と同じ初心者だろ。……よし、挨拶でもして通らせてもらおう」
俺は親父に教わった「目上の人への礼儀(という名の踏み込み)」で、一気に男の懐へ入った。
「あ、おはようございま――」
「なっ……速……!? 喰らいな、俺の『神速の抜刀術』をよぉ!」
男が逆上して剣を抜き放とうとした瞬間――俺の体は、親父に叩き込まれた『ハエ叩き』の動きをトレースしていた。
パァァァン!!
「あぶっ!?」
俺が鉄の剣の腹で、相手の手首を軽く叩くと、男はそのまま独楽(こま)のように回転し、地面に顔面から突き刺さった。
「ひっ……!? バ、バルド兄貴が……一撃で……!?」
残りのチンピラたちが「ひ、ひぃぃぃ!」と腰を抜かして逃げ出していった。
俺は首を傾げた。今の、ハエを追い払うくらいの力だったんだけどな。
「……やっぱりFランクだ。手応えが全然ないや。さ、行こうかリーネ」
俺がのんびりと門を出ようとした時。
背後から、ギルドの職員たちが血相を変えて走ってきた。
「お、お待ちくださいアレン様! 今の男たち、実は指名手配中の『擬態のバルド』とその一味です! 本来はAランク冒険者でありながら、Fランクを装って新人を狩っていた凶悪な連中なんですよ!」
「……え、Aランク? あいつらが?」
「そうです! 彼らの抜刀術は、並の騎士では視認することすらできないと言われていたのに……それを、あんな錆びた剣の『面』で叩き伏せるなんて……!」
リーネは、地面にめり込んだ自称Aランクの男を憐れみの目で見つめ、それから俺に向かって膝をついた。
「……素晴らしい。相手の『攻撃の起点』そのものを概念ごと打ち砕く。これぞ真の無拍子……! Aランクの最強技すら、アレン様の前ではただのハエの羽音に過ぎないのですね。流石です、アレン様!」
「いや、絶対何かの間違いだって。Aランクがそんなに弱いはずないだろ。……さて、それよりリーネ、お腹空かない? 門の横にある『ぺ』印の激安パン屋に行こうよ」
「はいっ! アレン様がお選びになるパンなら、きっと伝説の霊薬以上の味がするに違いありません!」
俺はキラキラした目で俺を見つめる『性女』様を連れて、のんびりとパン屋へと歩き出した。
親父の鉄の剣は、今日もズシリと重く、そしてただの鉄の棒として俺の腰で揺れていた。
第四話:『強制徴収で前線送り? いや、ただの「草むしり」なんですが』
パン屋で「ぺ」の激安メロンパン(なぜか食べると全身の傷が完治し魔力が全回復する)を頬張っていると、ギルドの鐘がけたたましく鳴り響いた。
「緊急事態だ! 全冒険者、広場へ集まれ! 王命による『強制徴収』である!」
何事かと思えば、街の近くに魔物の大軍勢が押し寄せているらしい。ギルドマスターが演壇に立ち、冷汗を流しながら叫ぶ。
「本来なら軍の仕事だが、相手は伝説の『魔王軍・先遣隊』! そこで、先ほどAランクの指名手配犯を赤子の手をひねるように倒した期待の新人、アレン君! 君を前線部隊のリーダーに任命する!」
「え、俺? 初日ですよ? まだ掃除の依頼とか、薬草採取とかやりたいんだけど……」
「流石ですアレン様! Aランクを凌駕するその実力、王家も放っておかなかったのですね!」
リーネは「性女」モード全開の潤んだ瞳で俺を見つめている。断れる雰囲気じゃない。
俺たちはそのまま、街の防壁の外――黒い魔物の雲が空を覆う「最前線」へと放り出された。
「グオォォォォォン!!」
目の前には、一撃で城壁を粉砕するという巨獣『ベヒモス』が数体、そして空を埋め尽くすガーゴイルの群れ。熟練の冒険者たちが「もうダメだ、終わりだ……」と武器を落として絶望している。
「……アレン様、あれは……! 一つ一つが国家規模の災害です! さすがの私も、封印を完全に解かなければ防ぎきれません!」
「……うーん、なんだ。親父の畑を荒らしに来たイノシシの群れみたいだな。これ、放っておくと街が汚れちゃうだろ。ちょっと『草むしり』してくるわ」
俺は腰の鉄の剣を抜いた。相変わらず錆びていて重い。
俺は親父にやらされた「腰を入れて雑草を引き抜く」時の動作で、地面に剣を突き立て、そのまま横に薙いだ。
――パリンッ!
まるで空間そのものが割れたような音がした。
俺が剣を振った軌跡に沿って、目に見えるすべての魔物たちが、文字通り『根っこ』から消滅していったのだ。再生能力? 物理無効? そんな「概念」ごと、俺の鉄の剣が「雑草」として処理してしまった。
「……あれ? 案外すんなり抜けたな。親父の畑の根っこはもっと頑固だったのに」
振り返ると、戦場は静まり返っていた。
魔物の軍勢は跡形もなく消え、そこにはただ、俺が耕した後のような綺麗な更地が広がっている。
「…………な、ななな、何が起きたの!? 神話級の魔王軍が、たった一振りの……しかも『素振り』の余波だけで消滅した……!?」
ギルドマスターが泡を吹いて倒れ、熟練冒険者たちは腰を抜かして拝み始めている。
「ああ……っ、流石ですアレン様! 絶望という運命そのものを切り裂き、新たな平穏を耕すそのお姿……! まさに、私の生涯を捧げるにふさわしいお方です!」
リーネは興奮のあまり、公衆の面前だというのに俺の腕に豊満な胸を押し付け、熱い吐息を漏らしている。
「……いや、本当にただの草むしりだって。……さて、仕事も終わったし、パンの続き食べようぜ」
俺は腰の『錆びた鉄棒』を鞘に納め、何食わぬ顔で街へと戻り始めた。
背後で騎士団や冒険者たちが「英雄の誕生だ!」と大騒ぎしているが、俺の頭の中は、明日の朝食を「ぺ」のどのパンにするかで一杯だった。
第五話:『冒険者向いてないから実家帰るわ、と言って世界を救う件』
魔王軍の先遣隊を「草むしり」で全滅させた日の翌朝。
俺は街の喧騒を背に、早々に冒険者ギルドに引退届(という名のメモ書き)を叩きつけた。
「……アレン様!? なぜです、あんなに活躍されたのに! 街の人たちはみんな、あなたを伝説の英雄だと……!」
リーネが焦ったように袖を引くが、俺の決意は固かった。
「いや、あんな怖い思いするのはもう御免だよ。魔物はデカいし、みんなは叫ぶし……。俺にはやっぱり、親父の手伝いをしてる方が性に合ってる。帰るわ、実家」
「……っ! 流石ですアレン様! 栄光や地位に目もくれず、己の原点を守り抜くその高潔な精神……。どこまでもお供します!」
というわけで、俺たちは数日かけて故郷の村へと戻ってきた。
縁側で相変わらず酒を飲んでいる親父に「冒険者は向いてなかったから帰ってきた」と告げると、親父は鼻を鳴らした。
「ふん、根性なしが。……なら、ちょうどいい。裏の川の『詰まり』を直してこい。水が止まってて畑が干からびちまう」
「わかったよ。……ほら、リーネ。行くぞ」
俺たちは村の奥にある、聖域と崇められている源流へと向かった。
そこには、巨大な氷の塊のような『邪悪な封印』が川を塞いでいた。魔界から漏れ出した「絶対零度の呪毒」が川を氷結させ、世界を枯らそうとしている……らしいが、俺にはただの「邪魔な氷」に見えた。
「な……何という禍々しい力。アレン様、これは神々の時代に封じられた『終焉の氷河』です! これに触れれば、魂ごと凍りついて……」
「大丈夫だって。親父に言われたし」
俺は錆びた鉄の剣を抜き、親父がいつも薪を割る時の要領で、その巨大な氷の塊を「パコン」と叩いた。
――カァァァァァァァン!!!
澄んだ音が響いた瞬間、世界を凍らせるはずの『終焉の氷河』が、ただの粉雪となって霧散した。止まっていた川が勢いよく流れ出し、その水しぶきが、隣にいたリーネに降りかかる。
「あっ……!? あああああああ……っ!?」
リーネが突然、身をよじって叫び声を上げた。
水しぶきに含まれていた「川の浄化」のエネルギーが、彼女の全身を縛っていた『全能力封印の呪い』に直撃したのだ。
バキバキバキッ! とガラスが砕けるような音がして、彼女の背中から聖なる光の翼が溢れ出す。
「そ、そんな……。聖教会の枢機卿が命を削ってかけた『神殺しの封印』が……アレン様が氷を割った『ついで』に、完全に消滅した……!?」
本来の力を取り戻し、神々しい輝きを放つリーネ。
だが、その瞳は相変わらず……いや、以前よりも増して「性女」としての熱を帯びていた。
「……ああ。力が、溢れてきます。アレン様、見てください……。封印が解けたことで、私の『魂の結合(エクスタシー)』の儀式も、より高次元で行えるようになりました。……さあ、今すぐ、その聖なる剣で私を……っ」
「……ああ、服が濡れちゃったな。風邪引くから、早く家に戻って着替えなよ」
俺は神々しく光り輝く彼女の肩をポンと叩き、さっさと家路についた。
背後で「流石です! 私の全能の誘惑すら、ただの世間話のように受け流すその器! 一生、添い遂げさせていただきます!」という叫びが聞こえたが、無視した。
家に戻ると、親父が「おう、終わったか」とニヤリと笑った。
「アレン、お前、剣の中身に気づいてるか?」
「中身? 錆びてて重いだけだろ、これ」
「……まあいい。お前にはそれがお似合いだ」
結局、俺が『草むしり』で魔王軍を滅ぼし、『川掃除』で世界の寒冷化を食い止め、『ついで』に伝説の聖女を復活させたことは、俺自身だけが知らないままだった。
俺の最強スローライフは、まだ始まったばかりだ。
完結いたしました!「実家が一番」というノンストレスなオチにしつつ、親父のトンデモ設定とリーネの暴走を詰め込みました。
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