ゴールデンレトリバー
相田
くしゃっとの笑顔
あたたかな笑顔が好きだった。
たくさん言い換えできるその笑顔は、私の脳の中で無限に言葉を浮かばせた。
くしゃっとした笑顔。
思わず「可愛い」って思っちゃうほっぺ。
キュートアグレッション酷めの目尻のシワ。
背が高いのに、等身のせいで背が低く見える。
周りと比べると、肌が白くて、顔には小さなほくろがいっぱい潜んでいる。
髪がフワッとしていて、まるでゴールデンレトリバーみたいで、実家のプードルみたいに硬い毛じゃなくて、柔らかくて、手ぐしがよく通る。癖毛じゃないのに、猫っ毛じゃない。イメージそのものが明らかに犬で、可愛い。
距離が近くて、パーソナルスペースが狭い。
人と親密になる方法がずっと分からない私にとっては、恐ろしいほどきみの匂いが近くて。
「水いる?」
三兄妹の一番上。
「うん」
私は末っ子育ち。
「かわいいね」
そう言ってくれたとき、本当に体が浮いたの。嘘なんかじゃない。心臓が飛び出しそうで、それを抑えるように目を強く瞑った。
きみは酔っていたけど、私は一口もお酒を飲んでいなかった。
「ごめん」
そう言われたとき、ハッとした。
長い間、自分を特別だと思わないために色んなことをしていたのに、きみに出会ったときからそれを忘れていた。そしてまた、きみの言葉で思い出した。
「こちらこそ、ごめんね」
私の背より低く頭を下げないで欲しかった。
こんなときですら思って。
「つむじが可愛い」
「え?」
最後に見たかったのは、お日さまみたいな笑顔。
けど、求めてる時点で、きっと無理かな。
猫だったら拾う。
お隣さんだったら毎日お土産をあげる。
ウザイくらい一方的な好意を、いつでも渡したい。
でも、断られて押し通すほどの気の強さはない。
ただ好きなだけじゃ、ダメってわかってる。
さようなら、くしゃっとしたごーるでん。
ゴールデンレトリバー 相田 @Mini44444
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