第3話、ギドラさんと一緒!!

 龍騎士学校に入学して一か月が過ぎた。

 放課後、本屋の店員のアルバイトをしている。

 チェーン店でなかなかに大きな店だ。

「いやあ、お昼の唐揚げはおいしかったなあ」

 温かい唐揚げを食べたのははじめてだ。

 ほくほくとした気持ちで店内を見て回る。


 バサバサ~


「きゃっ」

 本の落ちる音とともに、奇麗な鈴の音のような驚きの声。

「どうしましたっ」

 声のほうに駆け寄ると、散らかった本の中に美少女が座り込んでいた。

 エビテール。 

 閉め縄のように一つに束ねた透き通るような金髪。

 牛乳瓶の底のようなぐるぐる眼鏡の奥に、金色の龍眼が上目遣いにこちらを見ている。

 ランスと龍を模した校章の入ったセーラー服。

「ご、ごごごごめんなさい」

「いえいえ、おけがはありませんか」

 高いところの本を取ろうとして落としたのだろう。

 足元の本を拾う。

「さぶ……」

 本のタイトルだ。

 別の開いた本の挿絵に、劇画調でふんどしをはいた男性の下半身のアップ、ノット越中ふんどし(←実話)。

「ひっ」

 軽く悲鳴を上げた美少女の胸には、

「薔薇族……」

 のタイトルの本。

 ちなみに、小さなお友達は「さぶ」や「薔薇族」って何ってトーちゃんやカーちゃんに聞いちゃだめだよ。

「み、みみみみ見ましたねっ」

 顔が真っ赤。

 涙目のぐるぐる眼鏡。

「み、見てません、この世界では有名なBL本、しかもかなりコアでマニアックだなんてっ」

「み、見てるじゃありませんかあっ」

「とりあえず立ちましょう」

 手を差し出した。

 無言で手を取り立ち上がる。

 落ちた本を二人で片付けた。


 じ~~~


 ぐるぐる眼鏡越しに見られる。

 しばらくして、

「あっ、この匂いは、レヒトの」

「?」

 匂い? 唐揚げの?

「……あ、あ、ありがとうございました」

 ぐるぐる眼鏡の美少女は、胸に、”アドン”と書かれた本を持ってレジに向かった。

 それから一週間、なぜか店でよく話しかけられた。

「推し」や「やおい」、「攻め」や「受け」、「カップリング」や「かけ算」

 など複雑で難解な専門用語をわかりやすく説明してくれた。

 ――学校のテストに出たらいいなあ

 一週間後の放課後。

「ああ、レヒトのマーキング……」

「?」

 ぐるぐる眼鏡が自分の額を見ている。

「わ、わわわたしの名前は、”リンク”」

「お名前は?」

「え~と、リュウドです」 

「リュウドさま、ひ、額を」

「?」

 少し前のめりになる。 

 エビテールの美少女は、指を自分の額の前に伸ばし、スッと右下から左上に動かす。

 一瞬金色の線が走った。

「よ、よよよろしくおねがいしますっ」

 顔を真っ赤の染めて走り去った。

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