運命の色の一つの花

猫巻団子

運命の色の一つの花

※この作品は本編の外伝です。

 外伝単体でも多分楽しめますが、本編の設定や用語が一部登場します。


【用語メモ】

mh   :機械化猟兵。二足歩行の人型戦闘機体。

ch   :適合人間。人工心臓に適合した人間だけがなる人間兵器。一人で一旅団を壊滅させる力を持つ。

人工心臓:戦争の原因となった鉱石と”花”で作られるchの心臓

カイオス:外伝主人公が住む国。外伝時はエリグラルと交戦状態にある

ワルキューレ:人工心臓の作成が可能な初期型のch




―――




運命ってのは、何もかも裏切る。

私の一番キライな言葉だ、運命で裏切らないのは花が折れるときのみ

それが私は人より早いだけ。


それだけなのに




なんで人を……花を求めてしまうのだろう



―――



「リリカ………生きて」

母の最後の言葉は、そんなものだった。

なんで、



私の最後を決めたのはあなたじゃない。


あなたが私に死ねと、



母は大嫌いだった。

私を国に売ったあのクズは

クズはクズのまま死ねよ


でも、なんで……




こんなに胸は空っぽなの



:一章 人を愛するってなんなの:




士官学校

それは軍人の発芽を促すためのもの、基礎トレーニングなどが多くてうんざりしている。

次は、mhの戦闘訓練の模擬戦だ。

やる気が出ない。

あれ…疲れるんだもん。

重たい体を起こし、立ち上がる、もう他のクラスメイトは移動していたらしく教室は私一人。

これでいい、誰かを必要にする必要なんてないんだから



―――


「リリカ・レイラ!!」

なんで、運動系の教師はこんなにも五月蝿いのが普通なの?

教師の腹からでている大きな声を聞いて嫌になる

「リリカ・レイラ!!返事をしろ!!」

「はーい…」

声を出すのはそんなに好きじゃないのだけれど…

「もっと声をはれ!!戦場で負傷しても見つからんぞ!!」

「はい」

「はぁ、次はお前の番だ、早く乗り込め!!」

教師に促されしゃがんでいる人型をした戦闘機体、mhに乗り込む。

『コックピット・クローズ』

システムの声が鳴り響く、それの後に直ぐ五月蝿い声も

『お前ら、今回は三対三の模擬戦だ。コックピットに模擬弾が当たった時点で脱落!どちらかが全滅したら終了だ』

模擬戦、mhの武装は両方とも大型のmh用のペイントガン。それにあたるなということだ。

『それでは模擬戦を開始する』

『戦いを始めろ!!』

こんな模擬戦をして何になるのか。今の時代chが戦場に出たせいで、ほぼmhも歩兵と同じ肉壁、肉じゃない点マシなだけ


―――


スタートしてすぐにブーストを挟んだせいで孤立してしまった。

この模擬戦で使われるmhは武器こそおもちゃだが本体の機体は本物だ。なので、ニトロスタイルの私のmhは瞬間速度こそ早いが、団体での作戦は苦手。

どうしたものか

『リリカ、大丈夫か?』

通信機から先の教官の声以外の、男性、まだ成長途中の青年という言葉が合う

こえ

「えぇ、ごめんなさい、勝手に孤立してしまって」

『それはいい、お前の実力ならその方がやりやすいだろ?』

そうだけど、なんであなたが知っているの?

その刹那、アラートが響き渡る。

横からの砲撃

私はmhの操縦桿を大きく引くのと同時にボタンを押す。

瞬時に機体が後ろに飛び回避を取る

その後、すぐに敵の距離を詰め跳躍、踊っているように重厚なmhを動かす

『はぁ!?』

対戦相手の驚きをまとった声が通信機から鳴る

空中での三点バーストをニトロを使い着弾地点をずらし、すべて敵のコックピットに撃ち込む。

全機のコックピットが赤色の塗料に染め上がった。

『オールヒット……?』

はぁ、教官まで驚かなくてもいいじゃん

『………戦闘終了しろ!!』

『……イエッサー』

私は答えず上がってしまった心拍数を押さえながら数回咳き込む



「リリカ!!てめぇどんな動きしてんだ!!」

mhというのは基本的に重厚な防御と両手の大火力での面制圧が得意なものだ。まして一人であんな挙動をして突っ込むものではない

「あれが一番いいので」

「違う、死にてぇのかって言ってんだ。」

まあ本来ならそうだ、あんな動き、mhでするもんじゃない。模擬戦を早く終わらせたかっただけだ。

「まぁまぁ教官、そんぐらいにしてやってくださいよ」

「お前、はぁわかったよ」

先の通信で聞いた声。そんなに聞きたくはないのに

「次のグループ――」

教官が次のグループの指示に戻っていく

正直助かった。せっかく早く終わらせたのだからあれでは意味がない。


「リリカ」

ビクッと体が反応してしまった。あなたとはそんなに話したくないの。

「なに、」

冷たく返すがあなたは気にしない

「なんで、あんな無茶ばっかするかな。」

「早く終えたかったの」

「はぁそれなら少しくらい頼ってくれよ」

「やだ」

「まぁそうだろうと思ったよ」

なんで、この人は優しくしてくるのこんなにひどいことを言ってるのに

「じゃあなに」

痛い、なんであなたと話すと胸が痛むの

「ばーか、心配してんだよ。」

「そう」

「相変わらずだな」

拒否したくない、否定したくない

「まぁ無理すんなよ、次のランニング苦手だろ?」

「まぁ」

「じゃあ、男子先らしいし行ってくるな、無理すんなよ」

そういってあなたは走っていく。その背をずっと見ていたいと思った思考を殺す。

ダメ


思ってはダメなの

私は望んでいけない



それが運命なんだから。



:二章 あなたは?:




目を覚ます、緑が覆い尽くしている木を眺めながら体を起こす

「よ、目覚めたか」

ベットの横の椅子に彼が座っていた

「なんであなたなの」

「俺意外と話してるの見たことないんだが」

「うるさいなぁ」

実際教室ではほとんど寝ているし誰とも喋っていない。でも、あなたとも話したくない

「体育祭で倒れたの運んだの俺なんだぞ」

そう、体育祭のクラス対抗リレーとか言うゴミな競技で走ってる途中に倒れたのだ。なに?あの競技、なんで強制参加なのさ

「あっそ、ありがと」

仮にも助けてはもらったのだお礼ぐらいは言わないと

「元気そうだな、良かった」

「なんで良かったなの」

別に私が倒れてもこの人には関係ない、というか心配される義理はない

「そりゃ、心配するだろ」

「なんで?」

「なんでもねぇよ」

「お前、心臓弱いんだろ?無理すんなってよく言ってんじゃないか」

やめて、優しくしないで、これ以上あなたを拒否したくない。

「うるさい、別に勝手でしょ」

ダメなの、あなたのその優しさを拒否するしかないの

だって……運命に従う時に重荷を背負いたくない

いや、あなたに重荷を背負ってほしくない

私はあなたを支えれないし、あなたの幸せには私は邪魔だ。私なんかに関わらないで他の人と幸せになってほしいのに。

「お前、なんでそんな悲しそうな顔して言ってるんだ?」

「あなたと話すのが嫌なの」

「それならなんで、ほかの奴らとは全くといっていいほど話さないのに俺には話してくれるんだよ」

「なにか、抱えてんなら誰かに相談しろ、いや俺に相談しろ」

「なんであなたが聞くの」

「そりゃ、大事にしたいやつには笑っててほしいし」

「私は笑えないの」

「なんでだよ」

「笑ってはいけないの、幸せにはしてちゃダメなの!!」

声を荒げてしまった、申し訳ない。でもこれで離れてくれれば良い。

そうすればあなたは幸せになる

「なんだよ、それ。そんなの誰が決めたんだよ。何がお前を縛ってんだよ」

言えない、言いたくない。あなたに伝えたらそれは傷になってしまう。

それは嫌だ。

「何でも無いの!!私は何も得ちゃいけないの!!」

「そんなのなんでもないわけないだろ」

「なんで…なんでそんなになんでよ……」

なんで私に優しくしてくれるの?あなたは

なんでよ……

「だから言ってんだろ、お前が大切なんだって」

「そんなの!!私は望んでない!!」

「うるせぇ、お前は望んでなくても俺は望んでんだ」

そんなの……望まないで。

あなたの重荷になってしまう

「お前をなにかが縛ってるなら、俺に言えよ。頼られたいんだから」

やだ、言いたくない。あなたの傷つくところなんて見たくない。

傷ついてほしくない

「私は死ぬって決まってるの」

口から勝手に溢れてしまった

やめて、あなたに一番言いたくないの

「人工心臓への加工か。」

「なんで……知ってるの」

「そりゃ、なんか周りの奴らはそれを祝福とか言うから、お前のことを羨ましがってんだよ」

そう、この国で人工心臓に加工されるのは”救い”、そう言われているのだ。

自分の犠牲のおかげで国が勝利に近づく、それの犠牲は美しく神聖なものだと

そんな、戯言を

「でも、お前はそうは思ってないんだろ?」

「でも!!……私はもう国に命を売ってるの」

「そんなもん関係ない、俺がどうにかしてやる」

「なんで…あなたがそんな事するの!?」

あなたには損にしかならない、それどころかこの国から敵として、非国民として罵られる可能性だってある。

「ばーか、大切にしたいって言ってるだろ」

なんで、そんなことで…そんな一瞬の感情で自分の命が危なくなるのに。

私のために、

「てめぇは殺させなねぇよ。絶対にな」

あなたが近づき、上半身だけあげていた私を抱き寄せる。

「だから、二度とそんな悲しそうな顔するな」

なんで、なんでよ。

離れてよ……諦めれなくなっちゃうじゃない

そんな事を考えているのに手に力は入らない。彼を退けれない

頬に何かが落ちてくる。

やめてよ、そんなにされたら



望みたくなっちゃうじゃん。



:三章 運命ってのは良いかもしれない:



私は、彼に言われ少し友達もつくってみた

これはそう、結構楽しいし嬉しい。

「リリカー、次基礎トレーニングだけど大丈夫」

「うん、マツリこそ、大丈夫?」

「私は大丈夫よ」

「そう言いながら、毎度俺より早くダウンしてんじゃねえか」

「エルドの体力が化物なだけですー」

「お前も体力ないだろ」

「あ、□□□」

「リリカ、また無理すんなよ。運ぶのはゴメンだからな」

「わかってるよー」

あぁ、ただの少女として生きるのは、こんなに楽しいのか

笑った顔をあなたに見せると、あなたは赤くなる、

すごく可愛い

こんなのを望めるのもあなたのおかげ

「ありがと」

「何に対しての感謝だよ」

「んーわかんない」

「それが一番怖いんだが」

かわいい、そんな顔のあなたも愛おしい

明日も、その先も、未来永劫その顔を。

その愛おしい顔を見てていたい




:四章 やっぱ運命ってのはゴミだ:



放課後、一個の空き教室で四人で卒業式が終わりお菓子を食べたりして遊んでいた。

卒業式は無事?に終わり、今は振り返りだ。

「じゃあ、私達他のみんなに顔出ししてくるから」

「じゃあな、□□□。頑張れよ!」

「るっせ、早くいけ。」

「どうしたの?顔赤くして」

「なんでもねぇよ」

そこから会話が止まる。

静寂




静寂

それが異様に心地が良い。

先に口を開いたのはあなただった。

「なぁリリカ」

「なに?」

「夏の体育祭の時話したの覚えてるか」

もちろん、忘れはしない。あの会話のおかげで今がある

「うん」

「俺あん時お前のこと大切な人とか言っちまってたよな」

「うん」

「はぁー、やっぱ言ってたよな。恥っず」

「いいじゃん、かっこよかったよ」

返しはなかった。互いに窓の外を眺めていたのに、あなたはこっちを向く。

「どうしたの?」


「リリカ、俺はあん時からいや、もっと前からお前を大切にしたいと思ってた」


「だからリリカ、」

聞きたいその先を早く聞きたい。

でも、聞いたら引き返せない

それでも良い、今は運命が良いと私は思ってる

お願い、聞かせて




しかし

私の耳に入ったのは

爆発音


その瞬間すべての窓が割れ、爆風が教室に吹いた



―――



あぁ、やっぱり運命ってのはゴミだ



私はたくさんのmhや戦車などの残骸の中、

グラウンドの中央にそびえ立つボロボロの自分のmhの中で


あなたを抱きながら崩れ落ちる

頬を落ちる赤色には気を止めずに

「リリカ……」

お願い喋らないで、あなたはもう

「だから…そんな悲しい顔、すんなって…言ったろ」

お願いだから、もう私はそんなの耐えれない。

「リリカ」






「大好きだ」





あぁ聞きたくなかったと、


思ってしまった




「フェイト、私も」







:五章 代価:



私の胸で、アネモネは折れて枯れてしまった

私の心の中も何も無い。私も折れていないだけで



枯れてしまった。



―――



「本当にそれがあなたの選択なのか?」

「はい」

「まだ、あなたの加工日にはあるぞ、それにあなたは一度、少年と一緒に加工の撤回の申請をしにきたじゃないか。本当にあなたが望んだ結末なのか?」

目の前の少女、ワルキューレといったか。

ワルキューレ

死者を選ぶ名前を持ってるのにそんな自由はくれるんだ


いらないのに


「生きたい理由も」

もう、何も無い

学校も

みんなも



………フェイトも

「なくなったので」

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