第13話 この手を離さない
あっという間に四年の月日が流れ、セイカは十二歳にしてセイカ城の主となり、セイカ軍の将軍としてその名を轟かせることになった。戦場へ赴くときは、必ず後ろに忠実な側近たちが控え、命をかけて守る覚悟を固めている。
父ケイシが好んで着ていた濃い藍色の着物を纏う姿は、まるであの偉大な父を彷彿とさせるものだった。
「セイカ様、本当に立派になられましたな」
指導係のソービが感慨深く声をかける。
「なにを言うか、俺はまだ子供だぞ。今はまだ名前だけの城主だ。立派な城主になれるよう、これからも指導を頼む」
「はい」
側近たちの中でも、人を見る目に優れたソービは、セイカが父ケイシをも超える大将軍になると確信していた。
七歳になったユイも、随分としっかりした子供に成長していた。兄が八歳で学び始めたことは、すでに一通りこなせるほどだ。
(絶対に俺が兄様を守るんだ)
ユイの心はその一念に満ちていた。七歳の子にとって厳しい剣術の稽古も、ただひたすらその思いだけで耐え抜いてきた。
(強くなって、兄様を守るんだ!)
二人は今も同じ部屋を使い、寝るときは布団を二つ並べて眠る。
「兄様」
「ん?」
「まだ戦場には行かないよね?」
「……さあな。出ろと言われたら出るしかないだろ」
「だって兄様はまだ子供だよ!」
「なんだ、どうした。城主であり軍の将軍になったんだ。歳は関係ないだろ」
不安げなユイに、セイカは優しく微笑む。
「嫌だ!兄様だけ行かせない!その時は俺も行く!」
ユイはくすっと笑い、布団の横から見上げる。セイカはそっとユイの頭を撫でた。
「大丈夫だ。俺は絶対に死なない。約束だ。可愛い弟のお前を一人にはしない」
「約束だよ!約束だからね!」
二人は手を繋ぎ、眠りに落ちる。いつもこうして、最後は必ず手を繋ぐのだ。ユイは力いっぱい握りしめ、決して離さないと意思を伝える。セイカはその手を優しく包み込み、弟を安心させる。
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