第3話悪役は陰ながら病んだ少女を助けるそうです
「ポルガフ、ここに居る人達で全員かな」
俺は地下牢に行き投獄されていた人達を全員
食堂に集める様に指示をした。
それにしてもこんなに投獄したのかよ。
普通に屑過ぎないか?目の前に居る人の人数22人である。この人達をどうするかまでは考えていなかった。取り敢えず俺に出来る事なんてないよな。
どの面下げて話かけるんだよって話だよな。
「この人達のケアはポルガフに全て任せるよ。」
流石にキモールの一員である俺には彼女達にかける
言葉が見つからない。罪悪感で吐きそうだよ。
「坊っちゃん、私にケアをする事は」
ポルガフに出来ないなら誰が出来るんだよ?!
ポルガフ程人に優しい奴は居ないだろうが!
取り敢えず俺には出来る事はないからな。
「兎に角、ポルガフに全部任せる」
そう言って逃げる様に食堂を後にした。
「う〜ん………やっぱり何か出来る事があるなら
してあげたいよな。」
俺達のせいであんな風になったんだもんな。
何か……何か…………そうだ!
彼女達について調べて見るか。
「この子には家族が居る、なら先に伝えるか。」
俺はメモを取りながら投獄されていた子達の
情報を出来るだけ多く集めた。4日間調べ続けた。
そして、今日は調べた情報を頼りに家族の居る子達
は家族の元に返してあげたいからまずは親に子供が生きてる事を伝える。少しでも安心して欲しいから。
「ポルガフ、少し外に出る。」
俺は外に行く事を伝えたのだがポルガフは眉間に皺
を寄せて睨んで来る。
俺は外に出るだけで怪しいと思われているのか?
嫌、当然か。誰がキモール家を信用出来るんだよ。
「坊っちゃん、外に行くなら護衛を」
護衛?俺を守ってくれる人なんて居ないだろ。
そもそも俺の命に価値なんてないからな。
大丈夫だろ、狙われたとしても。
「必要ない、一人で行く。」
「しかし、坊っちゃんは」
ポルガフの話を聞かず勝手に外に出て思いっ切り
扉を閉める。ポルガフは少し心配し過ぎだろ。
と言うか俺の心配何てしなくて良いんだよ。
それとも俺の心配をしてる訳じゃなくてこの領地を
心配してるのか?…こっちの方が可能性は高いな。
「坊っちゃん、どうして一人で行かれるのですか、
この老いぼれの寿命を更に縮めるおつもりですか?」
「ポルガフさん、私が行きます!」
綺麗な金髪の髪を揺らし尖った耳をピクピクと動かし笑顔で護衛をしたいと名乗りを上げたメイド。
アミュラ・ピクシィは直ぐに身支度を整え走って
屋敷を出るのだった。
俺は今目の前の大柄な男に殴られていた。
何故、こうなったのかだが簡単な話だ。
俺がキモール家だからだ。
「キモール家の屑がここに何の様だ!」
胸倉を掴まれ何回か殴られた後もう一度俺に
怒鳴った。娘を連れて行かれたのだ、何回殴っても
気が済まないだろう。
「貴方辞めて!侯爵様の御子息に手を出したら
貴方まで殺されてしまうわ!
貴方まで失ったら私はどうすれば良いのよ!」
俺をまた殴ろうとした大柄な男の腕を両手で
必死に押さえて俺に謝っている。
謝るのは俺の方だ。
俺は地面に膝を付けて頭を下げる。
「申し訳ない、全て俺の責任だ。
謝って許される事をしたつもりはない。
何度でも殴ってくれ、殴るだけじゃ気が済まないなら腕の一本位なら斬り落としてくれて構わない。
だが、命を取るのはもう少し後にして欲しい。
俺が何かを望むのは違うと分かっている。
だが、俺にはまだやらなきゃいけない事がある。
それに、貴方達が手を汚す必要はない、直ぐに俺は
国から処刑される事になる筈だ。
だけど、嘘は付いてないんだ。貴方達の娘は生きている。直ぐに会える様にする、だから頼む。
屋敷に来てくれないか?信用して欲しい何て言わない、だけど娘さんも貴方達にきっと会いたい筈だ」
「…………………本当に………」
「え?」
「娘は本当に生きているのか?」
少し落ち着いたのか俺の顔をしっかり見て
何かを期待した様な眼差しを向けて来る。
「本当だ。」
俺が真剣に相手の顔を見て頷くと二人で抱きしめ
合って泣き始めた。
当たり前だよな、娘が生きてたんだから。
でも、この領地に住んでる人間がキモール家の
人間の言う事を信じたのは意外だったな。
信じてくれるとは思ってなかったよ。
だけどまだ終わりじゃない。
今日中に全部回らないといけないんだ。
結果的に言うとどの家に言っても殴られ暴言を
吐かれた。それでも頭を下げて頼んだら
屋敷には来てくれると言っていた。
殴られるだけで済むとは思ってなかった。
本当に腕の一本位は覚悟してたわ。
後は屋敷で人が来るのを待つだけだ。
「戻って来たけどまだやる事は多そうだな。」
独り言を呟きながらやる事があるので自室に戻ろうとした時だった、後から声をかけられた。
「そのお怪我で何処に行くのですか?」
急に声をかけられて肩を震わせる。
俺に声をかける奴なんて居ない筈だ。
何処の変わり者だよ。
だけど声をかけて来たのは意外な人だった。
と言うか意外過ぎて目をぎょっと開いてしまった。
「アミュラ・ピクシィ」
何故、この子が俺なんかに声をかけて来るんだ?
接点何てなかった筈だし、たまたま俺を見かけたのか?
「お前には関係のない事だ。」
ごめんね!でも君と関わる事は出来ないんだ。
ヒロインではないけど俺と関わったって不幸に
なるだけだ。俺のせいで他人が不幸になるなんて
我慢できない。
「…………………何処に行かれるのですか?」
「だから「何処に行かれるので、す、か?」
圧が強過ぎる。と言うか俺は今睨まれているのか?
アミュラはポルガフにしか心を許してはいないと
思っていたのだがこんなにはっきり言う子だったか?これ正直に言わないと解放してくれないよな。
「自分の部屋だ。」
「そのお怪我で?」
だから怖いって!睨まないでよ!
悪人顔の俺より怖いだろ。
そもそも何でこんなに構って来るんだ?
「ポルガフを呼んでくれるか」
ポルガフに頼みたい仕事があるからな。
俺には出来ない事だからポルガフが居ると助かるな。
「……………ポルガフ……さんですね。」
凄い不満そうに俺を睨んで行ってしまった。
俺がポルガフに話しかけるのが気に入らないんだろう。
「坊っちゃん、その傷は何でしょうか?」
お前もかい?!何で皆で俺の事睨んで来るの?
それ相応の事はして来たつもりだけどもう少し
隠して欲しいかも?俺が嫌いなのが全面に出てる。
「傷の事は放っておいてくれ。
それよりもこれを渡しておく。」
豪華な箱をポルガフに手渡した。
「中を見ても?」
「あぁ」と頷いた。
「これはお菓子………ですか?」
「……………そうだ。それを皆に渡してくれ。
後、それは俺からの贈り物じゃないからな。
道に落ちてたんだ。後、今日か明日客人が来る
から対応は全て任せる、くれぐれも俺を呼ぶ事がない様にな!」
そう伝えた後急いで自分の部屋に戻る。
「道に落ちてる訳ないでしょうに。」
その後、こっそりカスラの後をつけていた
アミュラはどうして怪我をしたのかもあのお菓子を
どうやって買ったのかも客人が誰かなのかも
全て知っていた。当然その情報を全てポルガフに
伝えるアミュラであった。
それを聞いたポルガフはやはり坊っちゃんは領主達
とは全然違うと確信した。
血が繋がっている筈だがまるで違う。
ポルガフは数人である【計画】を進めていた。
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