異世界に転生した俺は呪いを解くために世界を彷徨う

@Sigure_tuyu

始まりは未知の空間にて

男が目を覚ますと真っ白な空間にいた。


昨日までは確か…と思い出そうとしたが謎の頭痛が起こり何も思い出せない。


無理矢理思い出そうとしたが謎に体が拒否してくる為諦めた。




何かないかと周りを見回すがその空間に存在するのは真っ白。つまり何もないのだ。


「…おやおや。お客さんですか?」


人の気配も何もない為誰も居ないと思っていたが上の方から声が聞こえた。


男は咄嗟に上の方を見るが上もただ真っ白な空間が広がっているだけだった。




「こっちだよ。いらっしゃい。“僕の空間へ”」


声の方向を向くと先ほど何もなかったはずの空間には真っ白なテーブルと真っ白な椅子が置かれており、椅子の上には優雅に紅茶を嗜んでいる少年が座っていた。


黒にやや近い紫色の髪をショートにしており肌は白に近いほど明るい。そして服装は貴族のような高級感あるような服を着ており佇まいからすごい存在だとなんとなく感じる。




「…君は?…ここはどこなんだ?」


「…僕はグルエヴァ。そしてここは先ほども言ったけど僕の空間。所謂“領域”と言えばわかるかな?」


そこに立ってるのもなんだしと後から付け足すとこちらに来るように少年は手招きをした。


男はやや困惑しながらも少年の方へ歩き空いている椅子に座る。


座るのを少年が微笑んで見た後パチン、と指を鳴らす。その音に反応するようにいつの間に用意されたティーカップに向けポットが空中に浮くとお茶を注ぐ。


何かのトリックかと思ったが糸のようなものも見えないしどういう原理かわからない。




「そっか。君の世界には“魔法”だとか“能力”だとかいうものは存在しないんだったね。」


その後少年は男にミルクか砂糖を紅茶に入れるか聞き、男はミルクを求めた。


少年は頷いた後再び指を鳴らすとミルクの入った容器が出てきたと思えばそのまま空中に浮かびミルクが注がれる。そして最後にスプーンで軽くかき混ぜると少年は男の前にそっとミルクティーを置いた。


男はその仕草を興味津々に眺め、少年の言葉には沈黙を返した。




「……さて。じゃあ本題に入ろうか。君はここに来る前の記憶はあるのかい?」


少年の質問に男は首を振る。


そして目の前に置かれた紅茶を一口飲むとアールグレイらしくミルクが引き立っていて美味しい。


ふぅ、と無意識に一息ついた後なぜそういう質問をするのかと言いたげな表情で少年を見つめた。


「…そっか…記憶はないのか…好都合なのか不都合なのか…まぁいいか。君にはこれから魔法や能力がある世界に行ってもらおうと思っているんだ。…まぁ行くのか質問はしないよ。拒否権はないからね」


反抗しようと思っていた男は少年の言葉に沈黙のまま嫌そうな表情を浮かべた。少年はそれをみてただただ笑っている。


何も分からず唐突に世界へ飛ばされると言われてるのだ。無理もないだろう。




「拒否権はないって…何も分からず飛ばされても困るんだが……」


男が困惑しつつ少年に聞くと少年は軽く笑い安心しなよ、と男に伝える。


全く安心できないと思いつつ少年の続きの言葉を待つと少年はとっておきの力を付与しようとしていることを告げた。


それの力は男からしたらありがたい力ではあったがこの世でいう“チート系”なのではないかと一瞬頭をよぎるがその力はデメリットも付いて来ていた。やはり無敵というもには何かしらの制限がついてくるものなのだろう。




「あぁ。そうそう。一つ言わないといけないことがあったんだった。君は世界に入る際、前の世界では魔力や魔法などが存在していない。だから前の世界の環境が今君の体に馴染んでいると思うんだ。そんな君が突如、魔力や魔法などの世界に入り込むことになる。…つまり君の体内に急に魔力が流されることになるんだ。能力を与えたしね。」


「…それによって何か影響があるのか?」


男が質問すると少年はそうだねぇ、と困ったようなどうしようも無い表情を浮かべる。




「君からしたら魔力は“力”であり“毒”となる。君の体はどうやら魔力に適応出来ないみたいだからね。だから普通魔力は人々の体の“1部”として働くものが君の中では“毒”として働いてしまう。それによって君自身の体を攻撃してしまうんだ。」


少年の説明を聞き、ならば能力を持たなければ魔力と触れることはないのではないかと考えるが、先程少年が人の体内以外にも魔力はあちこちで流れていると言っていた為魔力に触れないという方法は不可能なのだろう。




「そして君は魔力量が多い。それは強い能力を引き出したり沢山扱えることでもあり、普段体への負荷が大きいということになってしまう。だから君はある意味最強ではありある意味最弱と言うことになる。…魔力を沢山使って毒を無くしていけばいいけどそうなれば今度は魔力切れとなって君は力を出せなくなる。そうなってしまった時君が求めなくとも自然に魔力は君の中で増えるし回復薬とか使えば魔力も回復してしまう。傷口を治すなども魔力によってだからね。だから回復するときも気をつけるんだよ。過剰に体内に入れたら…………君ならわかるでしょ?」


男は静かに頷く。どうなるかなんて予想は簡単に着いてしまったからだ。


その反応を見て少年は話し終えたのか再び笑顔を浮かべる。


そして、ふと少年は衣服から懐中時計を出すと時間を確認しだした。




「……さて、そろそろ君を送ろうかな。時間もいい時間だ。…基本、君はあっちの世界で何しても構わない。まぁあまり壊れるようなことはして欲しくないけど。肉体も君に会うであろうものを用意してあるから安心してね。……さて。なにか最後に質問はある?」


男が首を振るのを見て少年が懐中時計を閉じた瞬間、白い世界は突如として光が現れたかのように眩しくなる。


男は咄嗟に目を閉じ先程座っていたはずの体はいつの間にか宙を浮いていた。


そして謎の無重力を感じながら男は意識を失った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界に転生した俺は呪いを解くために世界を彷徨う @Sigure_tuyu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ