新編『千夜一夜物語』第九百九十夜
私の名前はシェヘラザード。大臣の娘で、妹はドゥンヤザード。ササン朝ペルシャのシャフリヤール王のハーレムに暮らす宮女や。
🔴新編 千夜一夜物語
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新編『千夜一夜物語』初夜
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どうや!千夜一夜あるはずが、第1話から第234話まですっ飛ばして、さらに、第238話から第989話までもすっ飛ばして、いきなり『第九百九十夜』やで!どうや!作者曰く、こんなもん、第1001話も翻訳できへん!と言うこっちゃ。他のシリーズもあるさかい、端折りますわ、言うてます。やれやれ。
翻訳の原本はこれや。
🔴The Book of the Thousand Nights and a Night — Volume 09 (of 10) by Burton
https://www.gutenberg.org/ebooks/3443
こっから、HTML形式のZIPファイルをDLし、解凍して、各話ごとに翻訳してみい。実にしんどいぜ。
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靴職人のマアルーフとその妻
九百九十夜目
今夜は九百九十夜目。もうほんまに長いこと続いてるわ。王はんの心の傷も少しずつ溶けてきてるみたいやけど、まだまだ油断できへん。首ちょんぱの恐怖は今も消えへんし、ドゥンヤザードの操も守らなあかん。21世紀の投稿サイトの連載よりよっぽどキツい締切やで!
今夜も王はんが私の寝室にやってきた。いつものように豪華な絹の衣をまとって、剣を腰に下げて、燭台の光が彼の顔に影を落としてる。私は薄絹の寝衣を纏って、胸元が大きく開いた姿でベッドに腰かけてた。燭台の炎がゆらゆら揺れて、私の肌を照らして、薄布越しに乳首の形がくっきり浮かんで見える。横にはドゥンヤザードが薄いドレスを着て座ってて、彼女の白い脚が少し震えてる。王はんの視線が私を舐めるように見て、それからドゥンヤザードに移って、ニヤリと笑った。
「なぁ、王はん。今夜はまたええ話やで。聞きたいやろ?」私は柔らかく声をかけ、膝を少し開いて寝衣の裾を太ももまで滑らせた。白い肌が燭台の光に照らされて、王はんの目がそこに吸い寄せられる。
「ほぉ、シェヘラザード。最近のお前さんの話は心に響くな。昨日の精霊の試練もええ感じやった。今夜はどうや?」王はんは剣の柄に手を置かず、私の隣にどっかり座った。そんで、ドゥンヤザードに目をやって、「お前も毎夜ようやってるな」と言いながら、彼女の肩にそっと手を置いた。
私は話を始める。「昔々、神に守られたカイロの都に、一人の靴直しの男がおったんや。名前はマアルーフ。古い靴を繕って細々と暮らしてた。けど、その男には妻がおって、名前はファーティマ。みんなから『糞女』ってあだ名で呼ばれてたんや。ほんまの淫売で、価値のない、恥知らずで、悪さばっかりする女やった。夫を完全に支配して、散々虐めてた。マアルーフはまともな男やけど貧乏やったから、彼女の悪意を恐れて、彼女の悪行を恐れて、なんとか耐えてたんや」
王はんは「ほう、そんな女がおったんか」と呟きながら、ドゥンヤザードの肩を撫で始めた。ごつい指が彼女の細い肩を這って、鎖骨のくぼみをゆっくりとなぞる。ドゥンヤザードは小さく身をすくめて、「王はん……?」と戸惑った声を出したけど、王はんの指は止まらへん。
「ある日、ファーティマが言うたんや。『おい、マアルーフ。今夜は蜂蜜をかけたクナーファを持ってきなさい』って。マアルーフは『アッラー様がお助けくださるなら、なんとかして持ってきますわ。今日は一文も持ってへんけど、アッラー様が道を開いてくださるはずや』って答えたんや。けど、ファーティマは『そんな言葉は知らん!クナーファと蜂蜜を持ってこんかったら、今夜はお前の夜を真っ黒にしてやる!』って怒鳴った」
王はんは「ほう、随分と酷い女やな」と笑いながら、ドゥンヤザードの胸元に手を下げた。薄い布越しに小さな膨らみをそっと押して、柔らかい乳房が掌に収まる。布越しにその形がくっきり浮かんで、ドゥンヤザードの頬が赤く染まった。「姉ちゃん……」と小さく私を呼んだけど、私は話を続けるしかない。
「マアルーフは『アッラー様は寛大や!』って言って、悲しみを体から振り払うように家を出た。朝の礼拝を済ませて、自分の店を開いたんや。けど、昼近くまで座ってても仕事が来へん。妻の恐怖が倍増して、頭の中がぐるぐるしてた。どうやって蜂蜜入りのクナーファを手に入れるんや、って。パン代すら持ってへんのに」
王はんは「なんやて?パンも買えんのか?」と聞きながら、ドゥンヤザードの胸を揉む手を強めた。指先で硬くなった先端を摘んで軽く引っ張る。ドゥンヤザードは「んっ……」と小さく声を漏らし、脚をもじもじさせた。
「そしたら、マアルーフはクナーファ屋の前を通りかかって、店先で涙目になって立ってた。クナーファ屋のおっちゃんが気づいて、『マアルーフはん、どうしたんや?泣いてるやんか』って聞いた。マアルーフは正直に言うた。『妻が蜂蜜入りのクナーファを欲しがってて、でも今日一日仕事がなくて、パン代すら出へん。妻に殺されそうや』って」
王はんは「ほう、優しいおっちゃんがおったんか」と呟きながら、ドゥンヤザードのドレスの裾をたくし上げた。白い太ももが露わになって、ごつい掌が内腿を執拗に撫で回す。ドゥンヤザードは「王はん……体が熱い……」と困惑した声で呟いた。
「クナーファ屋のおっちゃんは笑って、『大丈夫や。幾斤欲しい?』って。『五斤』って答えたら、五斤のクナーファを量ってくれた。『澄ましバターはあるけど、蜂蜜はないわ。代わりに蔗糖蜜やけど、これ蜂蜜よりええで。ええやろ?』って。マアルーフは恥ずかしくて文句言えへんかった。代金もツケでええって言うてくれたから、『蔗糖蜜でええです』って」
王はんは「なんやて?蔗糖蜜で済ますんか?」と笑いながら、ドゥンヤザードの手を自分の股間に導いた。ズボン越しに硬く膨らんだ熱い塊が彼女の掌に押し付けられて、指が震えながらそれを握る。ドゥンヤザードは「姉ちゃん……これ、熱い……硬い……」と呟いた。
「クナーファ屋のおっちゃんはバターで揚げて、蔗糖蜜をたっぷりかけて、王様にでも出せそうな立派なクナーファにしてくれた。ついでに『パンとチーズもいるか?』って聞いてくれて、四分の二ディナール分のパンと一ディナール分のチーズもくれた。クナーファ自体は十ヌスフや。そんで、『マアルーフはん、十五ヌスフのツケや。妻と楽しんで、残りの一ヌスフはハンマーム代にしとき。明日か明後日まで待つから、アッラー様が恵みを与えてくれるまで待っててな』って。マアルーフは心が軽くなって、『アッラー様、なんて寛大なんや!』って感謝しながら、家に帰ったんや」
王はんは話に引き込まれつつ、ドゥンヤザードの太ももを撫で回してた手が少し止まった。私はここで少し声を低くして、続ける。
「家に帰って、ファーティマに『持ってきたで』ってクナーファを出したら、彼女は蔗糖蜜を見て顔をしかめて、『蜂蜜じゃないやんか!蔗糖蜜でええわけないやろ!』って怒鳴った。マアルーフは『ツケで買ったんや』って言い訳したけど、彼女はクナーファをマアルーフの顔に投げつけて、『この淫売男!別のを持ってこい!』って。そんで頬をぶん殴って、歯を一本へし折った。血が胸まで流れ落ちて、マアルーフは怒りに任せて、彼女の頭を軽く一発殴ったんや」
王はんは「ほう、ようやく反撃したか」と低く笑ったけど、ドゥンヤザードの手を握ってた指がピタリと止まった。
「ファーティマはマアルーフの髭を掴んで、『助けて!ムスリムの人たち!』って叫んだ。近所の人たちが駆けつけて、髭を離して、ファーティマを叱った。『みんな蔗糖蜜で食べてるのに、なんでこんなに虐めるんや。みっともない』って。なんとか仲を取り持ってくれたけど、みんなが帰った後、ファーティマは『こんなん食えるか!』って誓った。マアルーフは腹ペコで、『食わへんなら俺が食うわ』って食べ始めたら、彼女は『毒になって死ね!』って呪った」
私はここで少し間を置いて、王はんの目をじっと見た。「マアルーフは笑いながら、『お前の言う通りにはならへん』って食べ続けた。『明日こそ蜂蜜入りのを持ってきてやるから、一人で食え』って宥めようとしたけど、彼女は朝まで罵り続けた。しまいには腕をまくって殴ろうとしたから、マアルーフは『もうちょっと待って!別のを持ってきてやる!』って逃げ出したんや」
王はんは黙って私を見つめてた。ドゥンヤザードの手が解放されて、彼女は慌ててドレスを直した。私は内心ドキドキしながら、話を進めた。
「マアルーフはモスクに行って礼拝した後、店を開いたけど、すぐにカーディの使いが二人来て、『妻がお前を訴えた。カーディの前に来い』って。行ってみたら、ファーティマが腕を包帯して、顔のヴェールを血で汚して泣いてた。カーディは『この善良な女を殴って、腕を折って、歯をへし折ったのか!』って怒った。マアルーフは『もし殴ったなら罰してください。でも本当はこうこうで、近所が仲を取り持ってくれたんです』って全部説明した」
王はんは「ほう、カーディは優しい男やったんか」と呟いた。
「カーディは優しい人で、四分の一ディナールをマアルーフに渡して、『これで蜂蜜入りのクナーファを買って、仲直りせえ』って。けどマアルーフは『彼女に渡してください』って言って、結局カーディが仲を取り持ってくれたんや。『妻よ、夫に言うことを聞け。夫よ、優しくせえ』って」
ここで私は少し声を低くした。「けど、裁判所を出た後、使いの連中が『手数料よこせ』って。マアルーフは『カーディは取らんかった、むしろくれた』って言うたけど、『関係ない!払え!』って市場で引きずり回されて、道具を売って半ディナール払ったんや。道具がなくなって、頬に手を当てて座ってたら、また別の使いが来て、『別のカーディに訴えられた』って」
王はんは急に動きを止めて、「なんやて……?」と呟いた。私はアミナはんの話を思い出しながら、続きを紡いだ。
「また別のカーディのところに行ったら、ファーティマが『さっきの仲直りなんて知らん!』って。カーディは『お前らもう仲直りしたやろ、なんでまた来るんや』って叱ったけど、また手数料を取られて……。マアルーフはもう頭がぐちゃぐちゃやった」
私はここで話を切り上げた。「なぁ、王はん、続きが気になるやろ?蜂蜜入りのクナーファどころか、マアルーフの人生がどんどん地獄になってく話や。けど、もう夜も遅いしな。ほな、王はん、続きはまた明日ってことでええか?」
王はんは低く唸って、膨らんだ股間を隠しながら立ち上がった。「むぅ……しゃあないな、シェヘラザード。そのクナーファの話、ちゃんと続きを用意しとけよ。蜂蜜が入るのか、妻がまた暴れるのか……気になるわ」って言い残して、部屋を出て行った。
扉が閉まった瞬間、私とドゥンヤザードは顔を見合わせてホッと息をついた。ドゥンヤザードはまだ顔を赤らめて、「姉ちゃん……今夜もなんとか凌いだな。王はん、話に引き込まれてたみたいや……」と呟いた。
「そやなぁ。マアルーフの不幸が、王はんの心に響いたらええけどな。明日も頑張らなあかんわ。蜂蜜入りのクナーファが出てくるまで、まだまだ続くで」
こうして、私と妹の命がけの物語作りは、まだまだ続く。首を跳ねられへんように、今日も頭をフル回転や!
登場人物
◯シェヘラザード
物語の語り手。大臣の娘で、王のハーレムに暮らす宮女。毎夜話を語って命を繋ぎ、マアルーフの物語を千一夜で完結させる。
◯ドゥンヤザード
シェヘラザードの妹。姉の話に付き合い、王の興味を引く役割。完結を促す。
◯シャフリヤール王
サーサーン朝ペルシャの王。女性不信から処女を毎夜殺す習慣があったが、シェヘラザードの話に心を奪われ、千一夜の末に改心。
『靴職人のマアルーフとその妻』の登場人物
◯マアルーフ
カイロの貧乏靴直し。悪妻ファーティマに虐げられ逃亡し、ジンに連れられて遠い街イクティヤーン・アル・ハタンに到着。幼なじみアリの助けで大富豪のフリをし、施しを繰り返して借金を膨らませるが、地下宝庫で指輪を手に入れ本物の大富豪に。ドゥンヤー姫と結婚し王になるが、ファーティマの再登場と暗殺未遂に遭う。最終的に息子に救われ、農夫の娘を後妻に迎え幸せに治世を終える。
.◯ファーティマ(糞女)
マアルーフの最初の妻。欲張りで暴力的、夫を支配し虐げる悪女。蜂蜜入りクナーファに執着し、マアルーフを訴え続け逃亡の原因に。ジンに連れられて再登場し、マアルーフの許しを得て女王待遇になるが、嫉妬から指輪を盗もうとして息子に斬殺される。
◯商人アリ
マアルーフの幼なじみ(薬屋アフマドの息子アリ)。イクティヤーン・アル・ハタンで大商人。マアルーフを助け、大富豪のフリをさせる作戦を教えるが、施しのしすぎに呆れる。マアルーフの成功を祝福しつつ驚く。
◯ドゥンヤー姫
イクティヤーン・アル・ハタンの王の娘。美人で賢く、マアルーフの妻に。夫の秘密を知っても守り、父を騙して夫の逃亡を助ける。マアルーフとの間に息子をもうけ、死に際に指輪を託す。
◯王(イクティヤーン・アル・ハタンの王)
ドゥンヤー姫の父。欲張りでマアルーフの富を狙い、娘を嫁がせる。宰相に裏切られ砂漠に捨てられるが、姫に救出され王座に復帰。
◯宰相
王の側近。マアルーフを詐欺師と疑い続け、酒で秘密を聞き出し指輪を手に入れ王になるが、姫の機転で牢に投げ込まれ処刑される。
◯アブー・アル・サーダート
指輪のジン(イフリート)。シャッダード・イブン・アードの宝の守護者。マアルーフの願いを叶え、宝・行列・荷物を運ぶ。宰相の命令でマアルーフと王を捨てるが、姫の命令で救出。
◯王子(マアルーフとドゥンヤー姫の息子)
美しく賢い王子。継母ファーティマに嫌われるが、彼女の暗殺未遂を阻止し首を斬る。父の後を継ぐ。
◯クナーファ屋のおっちゃん
カイロの優しい菓子屋。マアルーフにツケでクナーファを売る。
◯農夫
マアルーフが逃亡中に世話になった村人。レンズ豆の飯を分け、金貨をもらう。後に右の宰相に抜擢され、娘をマアルーフの後妻に。
◯その他の脇役
カイロの複数のカーディ、使いの役人(マアルーフを訴え続ける)
街の商人たち、軍勢、宦官、女中たち
ジンの息子たち(宝運びや変身で登場)
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