第2話 レアリアの世界は意外と危ない?

「そうだ!AIさん、あそこのビワの実取れる?手が全然届かないんだよ」

大きなビワの木には、朝露のついた実がたくさんぶら下がっていた。


『……取れるように見えますか?』


「うぐっ、そうだよねぇ……」


案内のAIさんは、触ろうとしても手がすり抜けてしまうただの光の球だ。

だけど、声のトーンだけで呆れてるのが伝わってきた。


ちょっぴり期待しただけに、私はへなへなとその場に両手をついた。

しばらく食べ物にありつけないことを体も察知したのか、お腹もぐぅ~と鳴った。


おまけにバッタが私の頭にピョンと乗っかった。なんだかバカにされた気分……



しかしこんなことでへこたれる私ではない。他にも食べ物のアテはあるのだ!


私ががばっと勢いよく立ち上がって、むん!とガッツポーズを取ると、

頭の上のバッタがころころと頭から転がり落ちていく。


「じゃあ、蓮が来るまでそこの林で食べられそうな木の実とか探そうよ!」

と林のほうを指さす。

林ならもっとたくさん木の実が生っているに違いない。


『承知しました、では案内します。近くにプレイヤーが現れた時は

お知らせしますね』


「やった、ありがと案内さん!じゃあよろしくね!」


現実なら毒のある植物とかに当たったら危ないけど

これはゲームだから、きっと大したことはないだろう。


そうして私は意気揚々と林に向かって歩きはじめた。



「あっけび~、くっるみ~、や~まぶ~どう~♪」


私が即興で機嫌よく歌いながら林に向かう。音程なんて気にしない!

すると、途中で綿毛のような生き物が風に吹かれてころころと近くに転がって来た。

そういえば草原のあちこちで見かけるなぁ。


私が近寄って観察してみると、小さい黒い目が2つついている。

大きさは中型犬くらいだ。遠くから見かけたときはわからなかったけど、

意外と大きい。


「案内さん、これなに?」


『それはワタワタというですね』


え゛っ……?


モンスターと聞いて硬直する私。

そこにちょうど、草むらに隠れていた別のワタワタが目の前にポーンと飛んできた。


「ふんぎゃあぁぁ!!」


私は慌てて飛びのいて、光の球のうしろに隠れてうずくまった。


『安心してください、ワタワタはノンアクティブモンスターなので襲ってきませんよ』


「ノン・・・なんだっけ?」

単語の意味がよくわからないので、安心していいのかわからなかった。


『向こうからは襲ってこないモンスターのことです』

理解できる言葉で説明されてようやく安心する私。


『それと、私に戦闘能力はありません。私の陰に隠れても無意味ですよ?』


はうっ・・・AIさん、しっかり状況を把握していらっしゃる。

でも仕方ないじゃない、怖いものは怖いんだから!


などと考えていると、私は重大なことに気付いてしまった。


「あの……もしかして、林の中は襲ってくるモンスターとか……居たりする?」


私はおずおずと小さく手を上げて質問した。


『あの規模の林ならおそらく居ないと思われます』


そうなんだ、よかったぁ~

……って、おそらく?絶対じゃないってこと!?


『ハチの巣などがある場合は近寄りすぎると襲ってくる可能性があります』


ハ、ハチ!?いや普通に怖いって!……でも、果物にはつきものだよね。

それを採りに行くからには覚悟しなければ!

よし、慎重にいこう。


「よ、よ~し!いくぞ~!……もしハチが近くにいたら絶対教えてよ?」


『むしろ午後や夕方になると、見通しのいい平原のほうが攻撃的なモンスターが

現れる可能性がありますよ』


「ひょえっ!?」

それを聞いた私はちょこちょこと速足で林に向かうのだった。


今はモンスターのことは忘れて、木の実やくだもののことを考えよう、うん。

美味しい木の実いっぱいあるといいなぁ。


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