未知なる大陸
@chriskaname
未知
西の海を越え、冒険者たちの船は未知の大陸の岸に近づいていた。
「……ついに、地図にない陸地だな」
隊長は舳先に立ち、剣の柄を握りしめる。
彼の眼差しは冷静で、経験に裏打ちされた判断基準力と、未知なるものへの好奇心を宿していた。
岸に上陸すると、白く輝く砂浜と、海風に混ざる得体の知れぬ匂いが漂う。
「……この石、見たことがない色をしている」
同行の傭兵が手に取った小石は、微かに青白く光っていた。
触れても何も起きないが、確かに異質であった。
「気を抜くな。ここは誰も踏み入れたことのない土地だ」
隊員は銃をを構え直し、周囲を警戒する。
「警戒を怠るな」
隊長が低く指示する。
冷静かつ的確な声に、隊員たちは従った。
地面には黒く光る岩や、微かに振動する箇所もありとにかく不気味だった。
遠くから木々が崩れる音が響き、騎士たちは剣を構え慎重に歩を進める。
「まずは調査だ。慌てるな」
隊長の声に、仲間たちは静かに頷き、未知なる大陸を探索していった。
やがて森の奥へと足を進めていく
「……妙な気配がする」
隊長が低く呟く。
周囲を警戒する。
「……木々の影が揺れている。風じゃないな」
隊長が指差す先、黒く長い影が動いた。
隊員たちの視線が一斉に集中する。
そして森の奥から、人の姿に近い、しかしどこか異質な生物が現れた。
背は人と変わらず、顔も人に似ているが、目が大きく光り、肌は淡い灰色を帯びていた。
「……こ、これは……人間?いや…違うな」
傭兵の一人が息を飲む。声には恐怖が混ざっていた。
「……なんだ、あれは化け物か?」
隊員の一人が息を呑む。胸が高鳴り、手が震える。
化け物は口を開き、理解できない言語で話しかけてきた。
不規則でリズムのある音声に、隊員たちは一瞬、言葉の意味を理解できず混乱する。
「……待て、何を言っている!?」
はぁはぁと呼吸も荒くなる
隊長はライフルを強く握り、冷静さを保とうとする。
しかし、隣の隊員の手は反射的にライフルに伸び、魔人を狙って引き金を引いた。
「うわぁ!!化け物めぇ!!」
銃声が森に響く。弾丸は化け物に向かって飛んだ――はずだった。
しかし、弾丸は突然、何かに弾かれたかのように空中で軌道を変え、木々の根元に落ちた。
「……な、なんだ……?」
隊員たちは一瞬言葉を失う。驚きと混乱が森を満たした。
そして次の瞬間――撃った隊員の頭部が、突如として炎に包まれた。
恐怖は瞬く間に隊全体に広がった。
「全員、撃て!」
隊長は普段の冷静さを失い、振り絞るように命令する。
隊員たちはライフルを構え、反射的に引き金を引く。しかし――
弾丸はことごとく、空中で弾かれ、森の中に消えていく。
「……何だ、こいつは……!」
声は震え、恐怖で体が固まる者もいた。
化け物はゆっくりと歩を進める。
その動きは人間の歩行に似ているが、どこかしなやかで、不気味なまでに計算されていた。
隊員たちは弾が尽き、打ち返す手段もなくなる。剣も、拳も、何も通じない。
「……うわあああっ!」
悲鳴を上げる間もなく、化け物は目の前の隊員に手も使わずに、首を切り落とした。
瞬く間に、全員が恐怖と絶望に沈む。
森には静寂が戻った――ただ、倒れた隊員たちと、魔人の冷たく光る瞳だけが残った。
あれから数か月――
探検隊の消息は途絶えたままであった。
リンネル王国の宮廷では、高官たちが重々しく集い、書類や報告書を前に議論を重ねていた。
「……あの探検隊だが、いまだ一報も入らぬ。海を越えたはずの者たちが、完全に沈黙している」
老練な宰相が言う。
眉間に深い皺が刻まれていた。
「森に足を踏み入れたのは、例の未知の大陸だろうか……」
若き大臣が言葉を続ける。声には不安が滲む。
「何が起こったか、今の我々には分からぬ。だが、手をこまねいている暇はない」
国防を司る高官が重々しく頷く。
「我らの精鋭を送り込み、事態の調査と制圧を行わせる。失われた隊員の安否も含め、全て明らかにするのだ」
書類の上で手が震えることなく、決定は下された。
未知なる大陸――後に魔大陸と呼ばれる地に向け、リンネル王国の精鋭隊が派遣されることとなったのだった。
高官たちが一人男に目を向けた
「やってくれるかね」
「えぇこのリオラ・アルベルトにお任せください」
リオラは深く頷き、拳を握りしめる。
「我が精鋭を率いて、全力で対応いたします。必ず帰還させ、事態の全容を明らかにしましょう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます