【第五章: 恋の始まり、そして日常の甘さ】

桜ヶ丘高校の校庭に、夏の陽射しが降り注ぐ頃。二人が付き合い始めてから、すでに二ヶ月が経っていた。

朝の校門前。あかりはいつものように早めに登校し、テニス部の朝練を終えてベンチに座っている。すると、遅刻ギリギリの時間に、健が息を切らして駆け込んでくる。

「はあはあ……また、今日もギリギリかよ」

健が額の汗を拭いながら、あかりの隣に腰を下ろす。あかりはくすっと笑って、自分の水筒を差し出す。

「はい、お水。今日も誰か助けてきたんでしょ?」

健は照れくさそうに水を飲みながら、

「ばればれか……。駅前で、おじいさんが重い荷物持っててさ。つい手伝っちゃった」

あかりは優しく健の頭を撫でる。

「健くんらしいね。それが大好きだよ」

健の頬が少し赤くなる。二人は手を繋いで校舎に向かう。以前は健の遅刻をからかっていた田中裕太が、今ではニヤニヤしながら声をかけてくる。

「おー、今日もラブラブじゃん。健、遅刻の理由が変わったな〜。昔は人助け、今はあかりちゃん待ち?」

健が裕太の頭を軽く叩く。

「うるせーよ。どっちもだよ」

あかりは恥ずかしそうに笑うだけだ。

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