【第三章: 待ち伏せの出会い】

ある朝、あかりは決意した。学校の入り口で健を待つ。テニス部の朝練を早めに切り上げ、校門近くのベンチに座る。生徒たちが次々と入ってくる中、遅刻ギリギリの時間帯に、息を切らした健が現れた。

「佐藤くん!」

あかりが立ち上がり、声をかける。健は驚いて振り返る。目つきが一瞬鋭くなるが、すぐに柔らかくなる。

「え? 俺?」

あかりは頷き、近づく。心臓がドキドキする。

「この前、下校途中で助けてくれてありがとう。あの時、お礼言えなくて……ごめんね」

健は照れくさそうに頭を掻く。

「ああ、あの時か。別にいいよ。大丈夫だった?」

あかりは微笑む。近くで見ると、健の目は怖いけど、笑うと意外に優しい。

「うん、ありがとう。本当に助かった。佐藤健くん、だよね? 私は鈴木あかり、2-B」

健は少し驚いた顔で、

「知ってるよ。テニス部のエースだろ? 俺は健でいいよ」

二人は校門をくぐりながら歩き始める。あかりが尋ねる。

「いつも遅刻しちゃうの? 何か理由あるの?」

健は笑って誤魔化す。

「まあ、いろいろね。街で寄り道しちゃうんだ」

実際は、今日も道中で猫を助けていたのだが、言わない。あかりはさらに興味を引かれる。

「街で喧嘩してるって噂、聞いたことあるけど……本当?」

健は苦笑い。

「喧嘩じゃねえよ。助けてるだけさ。でも、目つき悪いから誤解されんだよな」

それから、二人は少しずつ話すようになる。あかりは昼休みに2-Aを訪れ、健を誘う。健は最初戸惑うが、あかりの優しい笑顔に負ける。

「一緒に弁当食べない? 私の友達も紹介するよ」

健は頷き、裕太も巻き込んで4人で食べる。花子が健を見て、

「意外と明るい人なんだね。噂と違う」

健は元気に笑う。

「そう言われると嬉しいよ。俺、元気だけが取り柄だから」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る