やがて行き着く先の先

猪鹿蝶

第1話「なんとなく交錯するものたち」

戦国時代にタイムスリップしたら、私は山に逃げ込み、静かに暮らしたい。初期の狩猟的な生活から、食物を育て、貯蔵するまで、古代人からの進化の過程を一代で完成させれば、きっと面白いだろう。

妄想は、現実化した時に価値は限りなく薄くなる。観光名所で寝てしまうのが贅沢の極みだ、という話には少し共感できる。

これから書く物語は、低温だが、間違いなく体温はある男の繋がりを描く物語である。

彼の名前は山田。かつては強豪大学のラグビー部に所属「だけ」していた男である。彼は同窓会で、登山後のビールが一番旨いと漠から聞き、一緒に登山に行くことになった。

山田は凡庸な男だと思われている。山田自身もそう思っている。実は漠は、そうは思っていない。

漠は、山田がラグビー部を引退したあと、ゼミの打ち上げで一緒に酒を飲んだことがあった。普段はあまり喋らない山田から、そのときラグビー部の四年間を聞いたことがある。

「ラグビー部って、なんとなくだらだらやってたんだけど、いつの間にか、みんなのことがほっておけなくって……試合も出ないのに、ボールの行方に一喜一憂してたんだよ」

漠は思う。いい加減な奴だと思っていたが、悪いやつではない。この言葉を聞いて、なるほどなぁと思った。

山田も珍しく漠に尋ねる。

「そっちはどうだったの?」

漠は、研究の道に進むか、普通に就職するかで迷っていたので、

「うーん……」

とだけ答えた。

山田はいつもの調子で「うん、うん」と裏拍を打つ。その様子は少し奇妙ではあったが、周りの学友はどっと笑った。

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