夢のワープ旅行 〜E氏の場合〜

バート

夢のワープ旅行 〜E氏の場合〜


今より未来。

人類はワープ技術により星間旅行を謳歌する時代になっていた。


––––––––––––––––––––––––


〔あるBARのカウンター〕


目の前の客は、随分酔っているようだ。

客はグラスの中身を飲み干すと、下を向いたまま話をはじめた。


……なあ、マスター……

ワープってさ、一回分解されてワープ先で再構築されるって聞いたんだけど、知ってる?


なんかさ、ワープで失敗するとさ……

ワープの先と元の場所で二人になるんだって。

まあ、都市伝説みたいなもんだよね……


でさ。

俺、妻と新婚旅行でダイヤモンド星に行ったんだよ。

もちろんワープを使ってさ。

……で、その後から夢、見るんだ……


〈カラン〉

––グラスに氷がぶつかる音が響く––


…………


………


……俺だけワープに失敗してさ、黒服に無言で殺されんだ……

『やめろ!』って言ってもぜんっぜん、ダメなんだ。


目が覚めると、つい鏡を見ちまう。

なんつーか、こう……俺が薄くなってる?みたいな気がしてさ……


……なあ、本当に俺は『俺』なんだよな?


話を終えた客は、酔い潰れてカウンターに突っ伏した。







私は、静かにカウンターの奥へ下がり、端末を開いた。


「CASE:Eを確認。該当者を確保。」


端末が僅かに明滅した。


〈〈カラン〉〉


––ただ、氷がゆっくりと崩れていく音だけが、やけに響いた––




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