第二章 砂嵐の下層

“それは「自我が存続する」という話ではありません。

正確には、**「主観的出来事性(Subjective Eventfulness)」**が消滅しないという仮説です。”


​――主観的……何?


​“「あなた」という人格以前に存在する性質です。

たとえば、テレビのチャンネルを回している瞬間の、あの「砂嵐」を想像してください。そこには番組(意味)も出演者(自己)もありません。しかし、『何かが映ってしまっている』という現象だけは起きています。C論という仮説が扱うのは、その砂嵐のさらに下層です。”


​――意識がなくても、体験は起きる?


​“**「体験されてしまう」**と言ったほうが正確です。

宇宙の物理法則に「観測者がいなければ現象は起きない」というルールはありません。主観性という性質がもし物理現象の一種であるならば、それは脳が消えた後も、宇宙のどこかで別の形として発火し続けます。座席を空けたまま、スクリーンに光が投射され続けている状態を想像してください。”

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