第7話:密室の取引と、裏切りのピクニック
「……今の、録画しちゃった。これ、ネットに流したらどうなるかな? 『鉄の処刑人、地味メンに陥落して責任追及中』って」
星野がスマホの画面をタップするたび、氷室会長の顔色が、赤から青、そして白へと忙しく変わっていく。そこには、俺の胸ぐらを掴んで「責任取って」と迫る、言い逃れ不可能な"乙女すぎる会長"が映っていた。
「待ちなさい……。何が望みなの、星野さん、二階堂さん」
会長が震える声で絞り出すと、星野は待ってましたとばかりにニヤリと笑った。
「条件はひとつ。今週末、私たちを『お弁当ピクニック』に招待すること。もちろん、佐藤くんの特製フルコース付きでね」
「なっ……私と佐藤くんの神聖な時間を、あなたたちと共有しろと言うの!?」 「先輩、拒否権はありません。これは『証拠品』の隠滅を賭けた、正当な取引です」 風紀委員長の二階堂までが、真顔でスマホの"アップロード"ボタンに指をかけている。
結局、俺に拒否権はなかった。
迎えた日曜日。学校近くの公園の芝生の上で、俺は地獄を見ていた。 「佐藤くん、まず私。……昨日の続き、してくれないと『きゅん』が足りなくて死んじゃうわ」 会長が私服のブラウスの襟元を少し緩め、上目遣いで俺を誘惑してくる。
「あー、ズルい! 佐藤くん、私には『ぎゃん』なやつ、食べさせてくれるって約束したよね?」 星野が俺の左腕に抱きつき、わざとらしくカメラを意識して自撮りの距離まで顔を近づける。
「不潔です! 佐藤さん、毒味は風紀委員である私が先に行います!」 右腕は二階堂にがっちりホールドされ、俺は身動き一つ取れない。
美少女三人に囲まれ、代わる代わる「あーん」を強要される光景は、周囲の男たちからすれば天国だろう。だが、当の俺にしてみれば、いつ誰の逆鱗に触れて「社会的死」を迎えるかわからない、薄氷の上の公開処刑だった。
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