負けヒロインに救済を。
村雨
女神
「……今日から一人でお弁当かぁ」
私はつい最近、幼馴染の男の子……
大地くんはいつもお弁当を作って、一緒に食べるくらい好きだった。
別のクラスだったけど、長年好きだったから苦じゃなかった。
大地くんは同じクラスの
同じクラスに彼女が居るのだから、彼女と食べなよ、と強気に今朝、大地くんに宣言したばっかりだ。
大地くんが鹿野さんと付き合うって言った時はびっくりしたけど、お似合いの二人だと思う。
鹿野さんは男勝りな所もあるけど、可愛い女の子だし。私の様な眼鏡でおさげの地味な女の子じゃないし。
……はぁ。大地くんが昔、このおさげの髪型、似合うよって言ってくれたからずっとこうだった。
だからと言って、結局、脈もなかったのにね。
しかも、人見知りで二年生で他の友達作れなかったし、本ばっかり読んでたら私の事、一人が好きな人だと思われてたみたいだ。
一年生の時に同じクラスだった大地くんにベッタリだった私も悪い。
「しかも、大地くんに彼女と食べなよ、なんて言いつつも、お弁当はいつもの癖で、二個作って来ちゃったんだよね……」
どうしよう。これ。とりあえず、二つ食べる事を試みて見るけども、それじゃあ私がフードファイターを目指しているみたいにも見える。
「……教室で食べるのは辞めよう」
そう思って私は中庭のベンチへ。
ほとんど中庭も人で埋まっているけど、端ら辺はそこまで埋まっていない。
まぁ、そうだよね。皆、日が差す所で食べたいよね。
日陰者にはここが最適かと、端のベンチに座る。
でも、ここはここで、木漏れ日が綺麗だ。
「「はぁ……」」
お弁当を二つ出した所で、どうしたものかと、ため息をつくと、通りがかった人も同じタイミングでため息をついててびっくりした。
「あっ!!!!」
「え、……なんですか?」
しかも、その人、美しい容姿だ。サラサラとした銀髪の髪にその瞳は宝石かと思うくらいに見蕩れる赤色。スラッとした見た目で身長もかなりある。
「あ、……いや、その、先輩がお弁当二つあるからいいなぁ、と思いまして」
どういう意味か分からずに頭に疑問符を浮かべていると彼女は私の隣に座って話し始める。
ネクタイが赤色なので、一年生なのだろう。
「あ、いや、普通に財布忘れちゃって、購買で何か買おうにも買えなくて、仕方ないから友達に泣きつこうかな、と思ってたら、先輩がお弁当二つ食べようとしてて、お腹も減ったし、羨ましいなぁって思いまして」
なるほど。この子は購買に行って、うっかり財布を忘れた事に気付いて、しょぼくれて、中庭を通って教室に帰ろうとしてた所だったと。
なるほど。それなら、私の問題も解決出来るかもしれない。
「あの、良かったら私のお弁当を一つ食べないかな? 作り過ぎちゃったし、どうしようかと思ってたの」
「え、良いんですか? 本当に困ってるなら、有難く頂きます!」
クールそうな見た目から想像も出来ない程のふにゃっとした柔らかい笑顔。
なるほど。こういうのがギャップ萌え、というものだろう。可愛い。
「うわぁ。美味しそう。いただきま〜す」
お弁当を開けて、嬉しそうに食べ始める。
食べてる間ずっと、このおかずが美味しい、ご飯が美味しい、と感想を言いながら食べてくれた。
なんかやたら褒めてくれるから、作った私もなんだか嬉しいし、人と一緒に食べられてなんか嬉しいな。今日は一人だと思ってたから。
「ご馳走様でした。……先輩、美味しかったです。このお礼は……あ!!」
急に何かを思い出したかの様に立ち上がる。
「名前言ってなかった。私は
「あ、私も言ってなかったね。私は
「美澄先輩ですね! これ、連絡先です。交換しましょう。お礼がしたいので!」
そう強引に私と連絡先を交換する聖川さんは木漏れ日の光に照らされていて、容姿と相まって、美しい女神が居るのかと思うくらいに幻想的だった。
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