愛したがりな愛されたがり

レミちゃん

愛されたかった。そんな僕はどうしようもない愛されたがり。わがままな愛されたがり。別に愛情に飢えていたわけではない。ただ、足りなかったんだ。一人や二人だけの愛じゃあ。とても足りなかった。僕は起きてるときはひたすら愛される方法を考えていた。色々試して、人が喜ぶことをするのが一番効率的だと知った。お母さんの手伝いをしたら、頭を撫でてくれる。テストで頑張ったら、お父さんに褒めてもらえる。だから僕は心の底から良いと思うこと、人が喜ぶことをした。そして愛を貰った。いっぱいの人から。嬉しかった。最高だった。幸せだった。ずっと続くものなんてない。そんなの知ってた。でも、こんな形で僕の幸せに異変が起きるとは想像もしていなかった。僕に、妹が出来た。血の繋がりはない。妹は『孤児』らしい。孤児院から逃げて来たらしい。それを哀れだと思って引き取ったと、僕を愛してくれていると勘違いしていたお父さんとお母さんが言った。最初は許せなかった。僕への愛情を奪った妹も、妹を連れてきた親も。だけど今なら、哀れだと思った理由をわかる。可愛がる理由も十分わかる。妹は可愛い。とても可愛い。絵に描いた天使だ。少し恥ずかしがり屋、でも人と頑張って話して、みんなを笑顔にする祝福の妖精。僕は妹、茉莉花(まりか)に出会って、初めて本気で誰かを愛することを理解した。茉莉花が愛おしい、姿が凛々しい。茉莉花の可憐な声。茉莉花の滑らかな髪。茉莉花の透き通る肌。茉莉花の宝石箱のような目。茉莉花の丸みのある手。全てがどうしようもなく愛くるしくて押し潰してしまいたい。僕は他人からの愛なんてどうでも良くなった。僕の世界の中心は『愛されたい自分』から一瞬で『茉莉花』に移り変わった。両親も僕が茉莉花を受け入れたことに安心していた。しばらくは、三人で茉莉花を甘やかす生活を送った。でも、僕は依存する習性なのか、茉莉花を監視し始めた。初めは『心配性な兄』ですまされたけど、妹を守る行動を次々と取っていくに連れて回りは引き始めた。僕が茉莉花にすることは間違っていると、異状だと、怖いと。親も愛が重いと口にしていたが止めることはなかった。だから、僕はエスカレートしていったのだろう。彼女にGPSを付けたり、監視カメラを仕掛けたり、彼女の着替え中の写真を取ったり。ここまで来たらさすがの両親も心配になり僕と茉莉花を引き剥がそうとした。

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