敵国の最強暗殺者ギルドを一人で壊滅させ続けていた俺を「無能扱い」ですか? ~それなら結構。俺は辺境の村を『絶対防御』の要塞国家に作り変えて独立します~

菊池 快晴@書籍化進行中

第1話 敵国の最強暗殺者ギルドを一人で壊滅させ続けていた俺を「無能扱い」ですか?

「アルス・ギルバート。貴様が行っていた凄まじい悪行の数々、ようやく暴かれたぞ」


 いつものように夜の警備を回ろうと思っていたら、騎士団長ルフが兵士たちと俺を囲んだ。

 悪行? 暴かれた? どういうことだ?


「何の話です? 誰かと間違ってませんか?」

「シラを切るならなら教えてやろう。――アルス、お前は敵国と手を組み、多額の賄賂をもらっていただろう!」

「……はい?」


 俺が眉を顰めると、兵士たちが警戒する。


「既に偽造書類も確認している。大人しくしておいた方が罪も軽くなるぞ」


 俺はこの国の宮廷魔法使いだ。


 担当は防御、結界で、主に深夜を担当し、敵が入ってこないように警備していた。

 平民出身だったが、幼い頃から魔法の才能に恵まれていたこともあり、この仕事に就くことができた。

 もちろん嬉しかった。貴族が多い中で、俺のような平民でも認められたからだ。

 この国に尽くしていきたい。そう、思っていたのだが――。


「罪も何も、身に覚えがないんです。そもそも、それはどこから出てきた証拠なんですか?」

「お前の部屋に決まってるだろう。署名も入っていた。もちろん、筆跡鑑定も済ませている」


 ありえない。俺は、そんなことをしていない。


「だから平民を王城勤務させることに反対だったんだ」


 ルフ騎士団長は、俺への当てつけのように声を上げる。


 俺がこの仕事に就くとなったとき、採用を決めてくれたのは先代の王だ。

 しかし、数年前に死去してしまった。

 後に、最後まで俺の採用に反対していたのは、ルフ騎士団長だった。

 貴族でない男が、近しい立場になるなんて吐き気がする――と。


 ずっと嫌味なことを言われ続けていたが、揉めるのはよくないと無視していたのだ。

 

 まさか……。


 いや、流石にこの国を担う権力を持つ男だ。

 そこまでとは思いたくないが……。


「お前ら、アルスを地下牢に連れていけ。だが、その前に魔法手錠を嵌めろ。こんな奴でも、魔法は使えるからな」


 魔法手錠とは、魔力を制御する犯罪者用の魔法具だ。

 それこそ、大罪人にしか使わないほど、国にとっても大事なものだが……。

 

「近づくな。――これは脅しじゃないぞ」


 俺は、魔力を漲らせた。

 でっちあげの証拠で間違いがないというのに、大人しくする必要なんてない。


 兵士たちは恐れ、後ずさりする。

 ルフ騎士団長も同じように怯えたものの、すぐに微笑んだ。


「ここで魔法をぶっ放して逃げてみろ。それこそ犯人たる証拠として決定的なものになるぞ。もしやっていないのなら、裁判で証明してみせろ」


 このまま逃げることはできるだろう。

 だが、俺を犯人に仕立て上げようとしている黒幕がいるはずだ。

 それを見つけ出すためにも、今は大人しくしておくか。


「証拠がちゃんとあるんですよね」

「そう言っただろう。早くこいつを捕まえろ!」



 俺の手に、冷たい手錠が嵌められる。


 ……しかし屈辱的だ。まさか、こんなことになるなんて。


 ルフ騎士団長は俺に向かって確かに不敵な笑みを浮かべた。

 まるで、勝ち誇ったかのように。


 ……そういうことか?


「お前が護衛について数十年、一度も敵がこないことにも不信感があった。しかし、その理由がよくわかった。お前は、敵国の密偵だったんだな」

「……敵がこない? 本気で、そう思ってたんですか?」

「ハッ、何の話だ? 早くこの男を連れていけ!」



 この数十年の間、敵は何度も来ていた。

 しかし、そのたびに俺が秘密裏に撃退していたのだ。


 そのことを報告しなかったのは、先代たっての願いだった。


『アルス、お主の魔法は素晴らしい。しかし、残念だが貴族たちは快く思わないだろう。すまぬが、人知れず脅威を振り払ってくれぬか。老い先の短い、わしの頼みだ』

『……もちろんです。お望みとあらば』


 タダ飯ぐらいの無能平民だと罵られたこともある。

 それでも耐え続けてきたのは、俺を採用してくれた先代への恩だった。


 もしこのまま俺を犯人扱いするなら、この国を守る義理もここまでだ。


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