『俺達のグレートなキャンプ227 ルールのゆるいサバゲ―しようぜ』

海山純平

第227話 ルールのゆるいサバゲ―しようぜ

俺達のグレートなキャンプ227 ルールのゆるいサバゲ―しようぜ


「よっしゃあああ!今回のキャンプ場は最高だぜええええ!」

石川の大声が、午後の森に響き渡る。腕を大きく広げ、空を仰ぎながら、まるで世界征服を果たした悪の帝王のような満面の笑みを浮かべている。その目は異様に輝いており、明らかに何か良からぬことを企んでいる顔だ。汗が額を伝い、興奮で頬が赤く染まっている。

「石川さん、その顔...また何か思いついたでしょ」

富山が疲れた表情で、テントのペグを打ち込みながら呟く。長い付き合いで培われた勘が、彼女の全身に警報を鳴らしている。肩が微かに震え、額には既に冷や汗が滲んでいる。ペグハンマーを握る手に、無意識に力が入る。

「へへへ、富山よぉ。俺のこと分かってんじゃねーか!」

石川がニヤリと笑いながら、車のトランクへと走っていく。その足取りは軽快で、まるでスキップでもしそうな勢いだ。鼻歌まで聞こえてくる。

「おっ!何出すんですか石川さん!」

千葉が目を輝かせて駆け寄る。キャンプ歴はまだ浅いが、石川の企画に対する信頼度は異常に高い。その表情は期待に満ち溢れ、まるで子供がクリスマスプレゼントを開ける直前のようだ。両手を胸の前で組み、ワクワクと体を揺らしている。

「じゃじゃーん!」

トランクが開かれた瞬間、富山の顔が蒼白になる。そこには、整然と並べられた電動ガン、ガスブローバックガン、ショットガン、スナイパーライフルなどのサバゲー装備一式が詰め込まれていた。タクティカルベスト、ゴーグル、グローブ、膝当て、肘当てまで完璧に揃っている。まるで武器商人のトランクだ。

「...は?」

富山の動きが完全に止まる。握っていたペグハンマーが、ゆっくりと地面に落下し、鈍い音を立てる。その音が妙に大きく響く。

「おおおお!すげええ!本格的なサバゲー装備じゃないですか!東京マルイのやつだ!」

千葉が歓声を上げながら、電動ガンを一丁手に取る。黒光りする銃身、精巧に作り込まれたグリップ、リアルな重量感。触るだけでテンションが上がる代物だ。千葉の目がギラギラと輝き、まるで猛獣のようだ。

「そう!今回のグレートキャンプはな...」

石川が両手を腰に当て、胸を張る。その姿勢は自信に満ち溢れており、まるで偉大な発見を発表する学者のようだ。背筋がピンと伸び、顎は高々と上げられている。

「キャンプ場全体を使った、超ハイパーウルトラメガトン級のルールゆるゆるサバゲーだああああ!」

「おおおおおお!最っ高じゃないですかあああ!」

千葉が拳を突き上げる。その勢いで帽子が後ろに飛んでいくが、本人は全く気にしていない。むしろ帽子がなくなったことすら気づいていない様子だ。

「...は?は?ちょっと待って、ルールゆるゆるって何よ」

富山が二度同じ言葉を繰り返す。思考が追いつかず、口がパクパクと動くだけだ。目は見開かれ、瞬きすら忘れている。額の冷や汗が、頬を伝って顎まで流れ落ちる。

「いやあ、普通のサバゲーってルール細かくてさあ。ヒットしたら退場とか、セーフティエリアがどうとか、安全距離がどうとか。そういうの全部無し!何でもあり!究極の自由なサバゲーよ!」

石川が興奮気味に説明する。その目は完全にイッており、理性のタガが外れかけている。口角が耳まで裂けそうなほど上がっている。

「何でもありって...具体的には?」

富山が恐る恐る聞く。聞きたくないが、聞かずにはいられない。まるで自分の運命を占う占い師に、恐怖しながらも結果を尋ねる人のようだ。喉がカラカラに渇き、声が震える。

「おおっ!良い質問だ富山!」

石川がビシッと富山を指差す。その指は微かに震えており、興奮が抑えきれていない。

「まず基本ルール!BB弾に当たったらヒット!でもな、BB弾だけじゃねえ!銃で殴ってもOK!銃を投げつけて当ててもOK!銃を蹴り飛ばして当ててもOK!格闘技で不意打ちもOK!トラップ仕掛けるのもOK!何でもありだ!」

「ファーーーーッ!!」

千葉が奇声を上げる。完全にテンションが振り切れている。その場で飛び跳ね、ガッツポーズを連発する。唾が飛び散り、目からは涙が出そうなほど笑っている。

「いやいやいやいや!!それサバゲーじゃなくて殺し合いじゃん!!」

富山が絶叫する。声が裏返り、普段の三倍ぐらいの音量が出ている。周囲のキャンパーたちが、ビクッと肩を震わせて振り返る。

「大丈夫大丈夫!ゴーグルちゃんとするし、BB弾も0.2グラムの軽いやつ使うし!あと一応、意識失うレベルの攻撃は禁止!怪我したら即病院!安全第一よ!」

石川がヘラヘラと笑いながら言う。しかしその笑顔は全く安心感を与えない。むしろ不安を煽る笑顔だ。目が座っている。

「全然安全じゃないわよ!!ていうか他のキャンパーさん達も巻き込むって、どういうこと!?」

「そりゃあもう、声かけて参加者募るのよ!三人じゃ盛り上がらんやろ!」

石川が当然のように言い放つ。その表情には一片の迷いもない。まるで「朝ごはんにパン食べた」レベルの当たり前さだ。

「無理無理無理!そんなの参加する人いるわけ...」

「おーい!そこのお兄さん!面白そうなことやってるねえ!」

富山の言葉を遮るように、隣のサイトから声がかかる。見ると、30代ぐらいの筋骨隆々とした男性が、ニコニコしながら近づいてくる。タンクトップから覗く腕は丸太のように太く、首も異様に太い。完全にガチの格闘技経験者の体つきだ。

「おお!興味あります!?」

石川の目がキラーンと輝く。まるで獲物を見つけた肉食獣だ。

「サバゲー好きなんだよね俺!しかもルールゆるいって最高じゃん!普段のサバゲーってさ、細かいルールでガチガチでつまんねーんだよね!」

「わかるううううう!」

石川と筋肉男が意気投合し、ハイタッチする。その音が森に響き渡り、パーンという乾いた音が何度も反響する。二人とも目が血走っており、明らかに正常な判断力を失っている。

「マジで参加していいの!?俺、総合格闘技やってたから、至近距離での戦闘とか得意なんだよね!」

「最っ高じゃねえか!是非是非!あ、ちなみに格闘技での不意打ちもOKっす!」

「マジで!?ヒャッハーーー!」

筋肉男が雄叫びを上げる。その声量が凄まじく、近くにいた小鳥が一斉に飛び立つ。木の葉がざわざわと揺れる。

「ちょ、ちょっと石川さん!?」

富山が慌てて石川の袖を引っ張る。その手は汗でぬるぬるしている。顔面は蒼白を通り越して、もはや青緑色だ。

「何?富山?」

「格闘技経験者とか絶対ヤバいでしょ!?私たち素人じゃん!殺されるわよ!!」

「大丈夫大丈夫!サバゲーだから!BB弾当てればいいんだから!」

石川が能天気に笑う。その笑顔は太陽のように眩しいが、富山にとっては死神の笑顔にしか見えない。

「あのー!私も参加していいですか!?」

今度は女性の声がする。振り向くと、20代前半ぐらいの小柄な女性が手を挙げている。一見すると華奢で可愛らしい外見だが、その目は異様に鋭い。まるで猛禽類のようだ。

「もちろんっす!女性も大歓迎!」

「やったー!あのね、私スナイパーポジションがやりたいんです!遠くからコソコソ狙い撃つの好きなんですよね。あと人が驚く顔見るの大好き!」

女性がニコニコと笑いながら言う。しかしその笑顔は可愛らしいというより、どこか狂気を孕んでいる。目が笑っていない。完全にサイコパスの笑みだ。

「最高じゃねえか!石川、この企画天才的だろ!?」

千葉が興奮しまくっている。もう額から汗が滝のように流れており、シャツが汗でびっしょりだ。

「だろだろ!?グレートキャンプだろ!?」

「グレート!グレート!グレート!」

石川と千葉が謎の掛け声を始める。二人とも拳を突き上げ、その場で飛び跳ねている。完全にトランス状態だ。

すると、その騒ぎを聞きつけて、次々とキャンパーたちが集まってくる。若いカップル、中年の男性グループ、大学生風の集団。みんな目を輝かせている。

「なにそれ面白そう!」

「サバゲー!?俺もやりたい!」

「ルールゆるいって最高じゃん!」

「格闘技ありとか燃えるわ!」

口々に参加表明する人々。その数、あっという間に20人を超える。みんな異様にテンションが高く、目がギラギラしている。明らかに普段の鬱憤を晴らしたい人たちの集まりだ。

「よっしゃああ!これだけ集まれば最高だぜ!じゃあ詳しいルール説明するぞ!」

石川が即席の説明会を始める。集まった人々は、まるで教祖の説法を聞く信者のように、石川の言葉に聞き入る。

「基本ルール!BB弾に当たったらヒット!でも、銃で殴られてもヒット!銃投げつけられて当たってもヒット!格闘技で倒されてもヒット!トラップにかかってもヒット!何でもあり!」

「「「おおおおお!!」」」

参加者たちが歓声を上げる。その熱気が凄まじく、周囲の気温が3度ぐらい上がった気がする。みんな汗だくだ。

「ヒットしたら一旦退場して、ベースキャンプで1分休憩したら復活!何度でも蘇るぞ!ゾンビかよってぐらい復活するぞ!」

「ヒャッハーー!」

「無限復活最高!」

「じゃあ思いっきりやれるじゃん!」

参加者たちのテンションが更に上がる。もはや理性という概念が存在しない。本能のままに生きる野生動物の群れだ。

「あと!トラップは事前に設置OK!落とし穴掘ってもいいぞ!ロープトラップもOK!ただし、怪我させるレベルのはダメ!深さ50センチまでな!」

「了解っす!」

誰かが即座に返事をする。そしてすぐに、シャベルを持って走り出す。もう既に落とし穴を掘る気満々だ。その目は完全に狩猟者のそれだ。

「あとあと!これ重要!」

石川が人差し指を立てる。参加者全員の視線が、その指に集中する。

「サルミアッキっていうフィンランドの激マズお菓子があるんだけど、これを相手の口に突っ込むのもあり!突っ込まれた方は強制ヒット!」

「「「ファーーーーッ!!」」」

参加者たちが一斉に奇声を上げる。その音量が凄まじく、遠くのキャンプサイトから「うるさい!」とクレームの声が飛んでくる。しかし誰も気にしない。

「ちょ、ちょっと!!サルミアッキって何よ!?」

富山が震える声で聞く。もう完全に引いている。顔は青ざめ、足はガクガク震えている。今にも倒れそうだ。

「ああ、これね」

石川がポケットから黒い飴のようなものを取り出す。見た目は普通のキャンディーだが、嗅ぐと異様な臭いがする。タイヤと薬品を混ぜたような、何とも形容しがたい悪臭だ。

「舐めてみる?」

「いらない!!」

富山が全力で拒否する。両手でバツ印を作り、全身で拒絶の意思を示す。

「まあまあ、一口だけ」

「やだああああ!!」

石川が無理やり富山の口に押し込もうとする。富山は必死に抵抗するが、石川のパワーに押し負け、口の中にサルミアッキが入れられる。

「んんんっ!!...うぐぐぐ...うええええええ!!」

富山の顔が歪む。目を見開き、口を大きく開け、舌を突き出す。その表情は人間が作れる限界の嫌悪感を表している。顔全体が痙攣し、涙と鼻水が同時に噴き出す。

「ぶはっ!ぺっぺっ!何これ!?タイヤ食べてるみたい!しかも薬品の味もする!最悪!!」

富山が地面に倒れ込み、のたうち回る。その姿はまるで毒を盛られた人間だ。草を掴み、地面を叩き、絶叫する。

「「「ギャハハハハ!!」」」

参加者たちが大爆笑する。もう完全にお祭り騒ぎだ。誰もが楽しそうで、目がキラキラ輝いている。

「よっしゃ!じゃあ装備配るぞ!チーム分けは...赤チームと青チーム!適当に分かれてくれ!」

石川が電動ガンやタクティカルベストを配り始める。参加者たちは我先にと装備を手に取り、ゴーグルを装着し、ベストを身につける。みんな手慣れた様子で、まるで本物の兵士のようだ。

「俺は赤チーム!格闘技でぶちのめす!」

筋肉男が拳を打ち鳴らす。その音がゴツンゴツンと響き、明らかに常人の拳ではない。骨密度が異常だ。

「私は青チーム!スナイパーで遠くから一方的に狩るね!」

サイコパス女性がスナイパーライフルを手に取る。その手つきが妙に慣れており、明らかに初心者ではない。銃を構える姿勢が完璧だ。

「千葉!お前どっち行く!?」

「俺は石川さんと同じチームがいいっす!赤で!」

「よっしゃ!じゃあ富山は...」

「私は...私は参加しないわよ...」

富山がガタガタ震えながら言う。もう完全に戦意喪失している。サルミアッキのダメージが深刻で、顔色が最悪だ。

「何言ってんだ!富山も参加だ!」

「いやああああ!」

石川が無理やり富山にゴーグルとタクティカルベストを装着させる。富山は抵抗するが、石川のパワーには敵わない。まるで子供に服を着せる親のようだ。

「はい装備完了!富山は青チームな!スナイパー女子と一緒にコソコソ隠れてろ!」

「ひどい...」

富山が涙目で呟く。しかしもう諦めたのか、電動ガンを手に取る。その重さに驚き、両手で支える。

「よっしゃあ!全員準備OK!?じゃあ開始は...今から30分後!その間にトラップ仕掛けたり、ポジション決めたりしてくれ!制限時間は2時間!最終的にヒット数が少ないチームの勝ち!」

「「「おおおおお!」」」

参加者たちが一斉に散らばり始める。ある者は落とし穴を掘り、ある者は木の陰に隠れる場所を探し、ある者はロープトラップを仕掛ける。もう完全に戦場だ。

30分の準備時間はあっという間に過ぎる。赤チームは積極的に攻めるスタイル、青チームは防御と待ち伏せのスタイルに分かれた。それぞれが戦略を練り、罠を仕掛け、武器を確認する。緊張感が漂い、誰もが真剣な表情だ。

「よっしゃ!時間だ!開戦!」

石川の掛け声と同時に、森中に銃声が響き渡る。パパパパパという電動ガンの音、パスンパスンというガスガンの音。BB弾が飛び交い、木々に当たって跳ね返る。

「うおおおお!突撃だああああ!」

赤チームの参加者が森の中を走り抜ける。木々の間を縫うように進み、BB弾を撃ちまくる。その動きは機敏で、まるで本物の兵士だ。

「待ち伏せ成功!喰らえ!」

青チームの参加者が茂みから飛び出し、至近距離で乱射する。赤チームの参加者が「うわっ!」と声を上げ、複数のBB弾を被弾する。

「ヒット!クソー!」

被弾した参加者がベースキャンプへと戻る。しかしその表情は悔しさよりも、楽しさで満ちている。笑顔だ。

「千葉!右から来るぞ!」

「了解っす!」

石川と千葉が連携して、木々の間を移動する。息の合った動きで、まるで特殊部隊だ。

「見つけた!」

サイコパス女性がスナイパーライフルで石川を狙う。ジッと息を殺し、トリガーに指をかける。その集中力が凄まじく、周囲の音すら聞こえていない様子だ。

パスン!

BB弾が石川の肩に命中する。

「痛っ!ナイススナイプ!ヒット!」

石川が潔くヒットコールをし、ベースキャンプへと戻る。その背中は悔しさよりも、相手のスナイプ技術に感心している様子だ。

一方、富山は森の奥深くで、木の陰に隠れている。手には電動ガンを握っているが、トリガーに指をかける勇気がない。全身が震え、呼吸が荒い。

「こわい...こわいよお...」

富山が小声で呟く。遠くから聞こえる銃声、怒鳴り声、悲鳴。全てが恐怖を煽る。

「あれ?こんなところに人が」

突然、目の前に赤チームの参加者が現れる。中年の男性で、ニヤリと笑っている。

「ひいいいい!」

富山が反射的に電動ガンを乱射する。目を瞑り、ただ闇雲にトリガーを引く。BB弾が明後日の方向に飛んでいく。

「おっと!」

しかし、運良く数発が男性に命中する。

「マジか!ヒット!運良すぎだろ!」

男性が笑いながらベースキャンプへと戻る。その背中を見送りながら、富山は放心状態だ。

「当たった...?私が...?」

富山が自分の手を見つめる。まだ震えているが、少しだけ自信が芽生える。

その時、背後から気配を感じる。振り向く暇もなく、何かが富山の口に突っ込まれる。

「サルミアッキアタック!」

「んんんっ!?」

富山の目が見開かれる。口の中に広がる、あの悪夢の味。タイヤと薬品の味。脳が拒絶反応を起こし、全身が痙攣する。

「うぐぐぐ...ヒット...ヒットお...」

富山がヨロヨロとベースキャンプへ向かう。その足取りはフラフラで、今にも倒れそうだ。目は虚ろで、魂が抜けかけている。

一方、筋肉男は完全に無双状態だった。BB弾を避けながら敵に接近し、そのまま組み付いて投げ飛ばす。

「組んだら俺の勝ち!せいやあ!」

「うわあああ!」

青チームの参加者が宙を舞い、地面に叩きつけられる。その衝撃で息が止まりそうになるが、芝生が衝撃を吸収し、大事には至らない。

「ヒット...強すぎる...」

被害者が呻きながら退場する。しかしその顔は、痛みよりも「凄いもの見た!」という興奮で満ちている。

「次!次!」

筋肉男が次のターゲットを探す。その目は完全に猛獣のそれだ。獲物を求めてさまよう肉食動物だ。

しかし、その時。

ガコン!

筋肉男の足が何かを踏み抜く。落とし穴だ。深さ50センチ、幅1メートルの穴に、筋肉男がすっぽりとハマる。

「うおっ!?やられた!」

筋肉男が大笑いする。悔しがるどころか、完全に楽しんでいる。穴から這い出ながら、「誰が掘ったんだこれ!天才か!」と叫ぶ。

ゲーム開始から1時間が経過。参加者たちは汗だくで、泥まみれで、それでも全員が満面の笑みだ。ヒットして退場しても、1分後には復活してまた戦場へ戻る。その繰り返し。

「石川さん!後ろ!」

千葉が叫ぶ。石川が振り向くと、青チームの参加者が電動ガンを構えている。

「しまっ...」

石川が避ける暇もなく、BB弾が連射される。しかし、石川は咄嗟に手に持っていた電動ガンを盾にする。BB弾が銃に当たり、カンカンと音を立てる。

「銃が盾になるとは!」

「だったらこっちは!」

石川が電動ガンを相手に向かって投げつける。銃が空中を回転しながら飛び、相手の胸に直撃する。

「ぐはっ!ヒット!まさか銃投げるとは!」

相手が笑いながら退場する。その顔は完全に楽しんでいる顔だ。

「銃を投げるのもありとか、このルール最高だわ!」

別の参加者が叫ぶ。そして彼も、手に持っていたショットガンを敵に向かって投げる。ショットガンが回転しながら飛び、見事に命中する。

「痛っ!でも楽しい!ヒット!」

被弾した参加者が笑いながら退場する。もう誰もが完全にハイになっている。アドレナリンが全身を駆け巡り、痛みすら快感に変わっている。

そして、ゲーム開始から1時間30分。事件は起きた。

「喰らえ!飛び蹴り!」

赤チームの若い参加者が、木の上から飛び降りながら、青チームの参加者に飛び蹴りを放つ。完全に格闘技の範疇を超えている。もはやアクション映画だ。

「うおっ!?」

青チームの参加者が吹き飛ばされ、地面を転がる。しかし、受け身を取ったため、大した怪我はない。

「ヒット!今の飛び蹴り最高だったわ!」

被害者が親指を立てる。加害者も親指を立てる。二人とも満面の笑みだ。

「俺も派手なことやりたい!」

別の参加者が木に登り始める。そして枝の上から、サルミアッキを投げつける。黒い飴が放物線を描いて飛び、見事に下にいる敵の口に入る。

「んぐっ!?」

「サルミアッキ爆撃成功!」

「ヒット...うええ...この味...」

被害者が顔を歪めながら退場する。しかしその表情は、嫌悪感50%、笑い50%だ。もう何が起きても笑える状態だ。

富山は既に5回ヒットしており、ヘトヘトだった。ベースキャンプで休憩しながら、水を飲む。手は震え、足はガクガクだ。

「もう...無理...」

「富山!大丈夫か!?」

石川が駆け寄ってくる。その顔は汗と泥で汚れているが、目は異様に輝いている。完全にハイだ。

「大丈夫じゃないわよ...3回もサルミアッキ食べさせられたのよ...もう味覚が麻痺してきたわ...」

「それは辛いな!でも楽しいだろ!?」

「楽しくない!」

富山が叫ぶ。しかし、その口元は微かに笑っている。本人は気づいていないが、少しだけ楽しくなってきている。アドレナリンが脳を麻痺させているのだ。

「よっしゃ!ラスト30分!全力で行くぞ!」

石川が再び戦場へと駆け出す。その背中を見送りながら、富山もヨロヨロと立ち上がる。

「私も...行かなきゃ...」

富山が電動ガンを握り直す。手の震えが少しだけ収まっている。目に、少しだけ闘志が宿る。

ラスト30分。参加者全員が最後の力を振り絞る。BB弾が飛び交い、銃が投げられ、格闘技が繰り広げられ、サルミアッキが投げつけられる。もはやカオスだ。しかし、誰もが笑顔だ。

「うおおおお!」

「喰らえ!」

「ヒット!」

「復活!」

「また来たか!」

怒鳴り声、笑い声、悲鳴、歓声。全てが混ざり合い、森中に響き渡る。遠くのキャンパーたちは呆れた顔で見ているが、参加者たちは全く気にしない。

そして、ついに制限時間終了。

「終了ー!」

石川の掛け声で、全員が動きを止める。みんなその場に倒れ込む。汗だく、泥だらけ、傷だらけ。それでも全員が笑っている。

「はあ...はあ...最高だった...」

筋肉男が仰向けに倒れながら呟く。その顔は充実感で満ちている。

「楽しかったあ...また来週もやりたい...」

サイコパス女性が空を見上げながら言う。その目は既に次のサバゲーを夢見ている。

「じゃあ集計するぞー!」

石川がヒット数を数え始める。結果は、赤チーム総ヒット数78回、青チーム総ヒット数82回。わずか4回差で赤チームの勝利だ。

「「「おおおおお!」」」

赤チームが歓声を上げる。青チームも拍手で祝福する。もう敵も味方もない。全員が仲間だ。

「いやー、最高のサバゲーだったな!」

「マジで楽しかった!」

「また次回もやろうぜ!」

参加者たちが口々に言う。みんな汗だくで、服は破れ、膝や肘には擦り傷がある。それでも誰も文句を言わない。むしろ勲章のように傷を見せ合っている。

富山は地面に座り込み、完全に放心状態だった。髪はボサボサ、服は泥だらけ、顔には小さな擦り傷。それでも、その表情は不思議と晴れやかだ。

「どうだった?富山?」

石川がニヤニヤしながら聞く。

「...最悪だったわよ...サルミアッキ4回も食べさせられて...落とし穴にハマって...格闘技で投げられて...」

富山が呟く。しかし、その口元は笑っている。

「でも?」

「...でも...」

富山が少し間を置く。

「...ちょっとだけ...ほんのちょっとだけ...楽しかったかも...」

「だろおおお!?」

石川が飛び跳ねる。千葉も一緒に飛び跳ねる。二人とも満面の笑みだ。

「次は何するの...?」

富山が恐る恐る聞く。聞きたくないが、聞かずにはいられない。

「へへへ、次はな...」

石川がニヤリと笑う。その目は既に次のグレートキャンプを企んでいる。

「キャンプ場全体使った巨大かくれんぼだ!ルールはもちろんゆるゆる!何でもあり!」

「もうやだああああ!」

富山の絶叫が、夕暮れの森に響き渡った。

しかし、その声は不思議と嬉しそうに聞こえた。

こうして、石川達のグレートキャンプ227は、大成功のうちに幕を閉じた。参加者全員が満足し、次回を約束し、連絡先を交換し、友達になった。

キャンプ場の管理人は頭を抱えていたが、まあ、それはそれ。


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『俺達のグレートなキャンプ227 ルールのゆるいサバゲ―しようぜ』 海山純平 @umiyama117

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