第2話 花子さん1日目
さますけ(花子さんの身体)は、トイレの個室から出て、鏡の前で自分の姿を見つめる。長い黒髪、古いセーラー服、胸の重さ。違和感だらけ。突然、鏡の中に花子さん(さますけの身体)が写り、ニヤリと笑う。
花子さん『ふふっ、まだ慣れない?私の身体、悪くないでしょ?』
さますけ『あ?悪くわけねえだろ!この胸、重すぎ!動きづれえし、服もダセえ!早く戻せよ。お前いつもこのトイレにいるのか?女子トイレ限定?』
花子さん『そうね。ここ、3階女子トイレが私の生息地ってところかしら。男子トイレには行かないわ。私、女の子だもの。今は私は男で、あなたが女の子だけどね。』
さますけ『てめぇ…。』
花子さん『知りたい?私の過去。』
さますけ『当たり前だろ。てめえが何者かわからねえと元に戻れねえからな。』
花子さん『私は昭和50年、1975年にこの学校の生徒だった。好きな男の子がいたの。でも裏切られてこのトイレで…ね。死んだのよ。呪いとなって、ここに縛られた。それだけ。』
さますけは息を呑む。裏切り、死、呪い、重い話に胸が締め付けられる。
さますけ『そりゃ、ひでえ話だな。けど俺に八つ当たりすんなよ!関係ねえだろ!』
花子さん『関係ない?遊び半分で私を呼び出したのはあんたよ。私の名前を呼んだ罰よ。ねえ、さますけ。私の下着気になる?』
花子さんの唐突な質問に、さますけは顔を赤らめる。
さますけ『は!?下着!?んな事気にするわけねえだろ!!』
さますけは視線を落とすと白いブラが透けて見える。昭和らしい無地のデザインで、花子さんの美貌に合う純粋な印象。恥ずかしさからすぐに目を逸らす。
花子さん『白よ。シンプルでしょ。ブラもパンティーもね。私の時代じゃ、これが普通だったの。あんた、ブラジャーの着け心地どう?』
さますけ『最悪。締め付けられるし、胸がなんか、こう、強調されてんだよ!恥ずかしいんだよ、こんなの!お前みたいな女に身体取られてこんな質問されてんのが屈辱だ。』
花子さん『慣れなさいよ。女の身体って、そういうもの。』
さますけ『重い胸。動きづらい服。股間も…スカスカしているし違和感しかねえ!』
特に股間は男としての感覚がなく、座るたびに感じる違いにイライラする。
花子さん『あら、女の身体も悪くないわよ?私、生前はモテたんだから。』
さますけ『モテる!?んなこと、興味ねえよ!仲間とバカやってるのが俺の生き方だ!』
そうは言いつつ、鏡で自分の…花子さんの顔を見る。大きな目。長いまつ毛。整った顔立ち。デカい胸。確かにモテるのだろうが、俺の心は複雑だ。
さますけ『特に胸。走ると揺れるし、不良の俺にこんなの似合わねえ!』
さますけが怒り出すと、花子さんは笑いながらどこかへ消えた。仕方なくトイレを離れる。数分歩くとプールサイドがあった。水面が月光を反射する。プールといえば、水着だよなと考える。だが、反射した自分の姿を見て我に返る。
さますけ『水着!?こんな胸、隠せねえ。上も下も隠さねえと生きていけねえ。恥ずかしすぎる!』
しかし、お化けが出たらどうするか。俺が着替えているところを見られる?花子さんみたいにまだまだ潜んでいるかもしれない。想像するだけでゾッとする。
さますけ『お化けに見られたらぶん殴る!いや、殴れねえか。この身体じゃ弱えし…。叫んで逃げるしかねえよ。くそっ!こんな弱い身体、嫌いだ。』
さますけは自分の細い腕を見る。もし、人間に認知されたとしても、モテるのは男からだろう。ふざけている。夜の学校を彷徨い夜が明ける。結局、女子トイレの個室に戻りヒザを抱えて朝を待つ。少し泣いた。
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