コトリバコを燃えるゴミの日に出した村

卯木恒星

第1話 S少年

 運命の朝は昨日より少しましな曇り空だった。

 村外れの燃えるゴミ置き場に住職、役場、老人会、青年団、そして子どもまで、数十人が眠い目をこすって集まっている姿はごみ収集人から見ると異様だっただろう。

 家庭ごみの中に埋めて三重のごみ袋に入れた古びた黒い箱はごみ収集車に放り込まれると同時に普通に割れた。中身はどうだったか分からない。気にしても仕方ないような、りんごの木箱を潰すような、あっけない壊れ方だった。

 老人たちは数珠を持って拝み、若い僕たちすらあまりに熱心に見入るものだから、ごみ収集車は心なしか急いで村を離れた。

 マフラーから出る煙だけが外へ続く国道にしばらく残っていた。

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