第5話 秘め恋
「……もちろん、知られてしまえば相当に由々しき問題となるでしょう。帝さまにも、他のお后や従者の方々にも。
ですが、その懸念は杞憂かと。つい先日も私は彼と床を共にしましたし、またほどない内に同様の状況になるでしょう。そして、今後ともそのような状況はずっと続く。なので――私がいつ身籠もろうとも、時期を理由に他人の子であるなどと疑われることはまずありません。
尤も、帝さまの血は流れていないので彼に似ることはないでしょうが……まあ、その懸念も杞憂でしょう。半分は私の血なので、もしかすると限りなく私に似るかもしれませんし……それに、帝さまと私――父親と母親のどちらにも似ていなくとも、実際のところそういうことも往々にしてあるものでしょうし」
「……ですが、万が一にも僕に似てしまったら……」
「ええ、その可能性もあるでしょう。そして、そうなれば貴方の子であると疑われてしまう可能性も皆無とは言えないでしょう。実は、貴方と私の子ではないかと。
ですが、それは貴方が男性であればのお話。帝さまを含め、皆さんから女性と認識されている貴方が万が一にも疑われることはありません。どれほど貴方に似ていようと、ただの他人の空似と認識する他ありません。そして、貴方が男性であることが決して判明しないよう、私も粉骨砕身の精神で協力することを誓います」
「…………」
すると、どこか不敵とも言えよう笑みでお話しになる天夜さま。何人にも覆せないであろうその強靭なご意思が、爛々としたその瞳からもひしひしと伝わる。……そして、そこまでする理由は――
「――愛しています、
「…………天夜さま」
僕の
「……ええ、存じています。貴方が、帝さまに深く想いを寄せていること――そして、私のことを好ましく思っていないことも」
「……いえ、好ましくない、などということは……」
「お気を遣わずとも構いません。私は、貴方の想い人がこの上もなく愛する人間――好ましく思えないのは至極自然なことですから。実際、私も帝さまに対し似たような思いを抱いていますし。
……ですが、誤解しないでくださいね? 好ましくは思えませんが、こんな私を深く愛してくださっていることには感謝の念も抱いています。そして、貴方も――いえ、きっと私よりも遥かに深く帝さまに感謝をなさっていることでしょう。ならば、今こそ彼に感謝を――ご恩をお返しする時ではないでしょうか」
「…………」
そう、微笑み告げる天夜さま。秋の夜空のように澄んだその瞳には、決して僕を逃すまいとする凄烈な意志が宿っていて。
そして、彼女のお言葉はまさしくその通りで。こんな僕が、帝さまにお返しができるとしたらきっとこれ以外に方法などなくて。
すると、ゆっくりとその優雅な衣装を一枚、また一枚と取り去る天夜さま。そして、最後の一枚を外し可憐に微笑むその姿は、この世のものとは思えないほどに綺麗だった。
ゆっくりと、優美な所作で僕の衣装を外していく天夜さま。ほどなく、僕も生まれたままの姿となり肌を重ねていく。耐え難いほどの胸の痛み、そして抗いようのない甘さの中、そっと心中にて謝罪を述べる。――決して届くことのない、この上もなく愛する
秘め恋 暦海 @koyomi-a
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