隠世の先からの贈り物
クリトクらげ
第1話 僕らと妖
「これで海鏡高校、入学式を終わります。」
華やかに飾られた体育館に、響く言葉。
「新入生、退場。」
ガタガタ
椅子が揺れる音がする。
拍手と共に、少しだけ聞こえてくる話し声。
「あの人間、ちょっと怖いね、」
「確かに、」
(半妖?ってやつなのかな?)
僕は席に座っているこらから先輩?になる人たちを見ていた。
「うぉ、あの妖でけぇな、」
「ほんとだ、、、」
赤いカーペットを歩く俺の左側には妖。
対して、右側には人間。
人と妖が共存する地区、と言っても、同じクラスというわけではなさそうだった。
僕の耳に入る話し声は、あまりいいものとは言えなかった。
見た目を怖がるような話、憶測だけで好き勝手語る話。
人間も妖も、似ていないようで、どこか似ているのかもしれない。
俺はそう思った。
俺達新入生は、それぞれのクラスに入った。
クラスを見渡す。
しかし、妖はいなかった。
謎の緊張感に包まれた教室は、あまりうるさくはなく、近くの席の人と少し話す程度だった。
「なーなー」
斜め前の席の男子が話しかけてきた。
「ん?どうした?」
少し緊張しながらも、話し方を相手に合わせた。
「妖ってさ」
「うん、」
「モテるんかな?」
「、、、ん」
?
「え?」
「いや、さっきさ、めっちゃ可愛い人いると思ったらさ、妖でさー、」
「ふ、ふーん、」
初対面でこんな話をするとは思わなかった。
まぁ、高校生だと普通なのかな?
「まぁ、その妖がどんな妖かわからないけど、モテるんじゃない?」
「だよなー、」
そういい顔を手で覆い、上を向く。
「なぁなぁ、名前なんていうの?」
目を開かせながら言った。
「岩崎獅音(いわさきしおん)」
「俺は猿川晴(さるかわはる)」
「じゃあ俺の高校生活初めての友達ね。」
「俺もだよ」
(少し恥ずかしいセリフを普通に言う晴は、俺の高校生活初めての"友達"となった。)
「てか獅音、中学で部活なんかやってた?」
、、、
俺は少し、緊張した。
俺はあの最後の試合を思い出した。
「んー、中学は、バス、、」
ガラガラガラ
扉が勢いよく開いた。
「新入生諸君、今年一年よろしくなー」
そう言いながら教室に入ってきたのは担任?だった。
担任?は教卓に持っていた荷物を置き、話し始めた。
クラスのみんなは話していたのをやめて、前を向いていた。
晴の体だけ、少しこっちを向いていた。
(なんか、可愛いなこいつ、)
さっき会ったばかりなのに、心はだいぶ近づけたように感じた。
「俺の名前は浅黄樺地(あさおうきぶし)」
「教師歴は17年。奥さんいるから、俺狙ってる子はごめんね」
(何言ってんだこの教師)
まぁ、でも結構みんな笑ってるし、
俺も少し笑ってしまった。
「で、この学校はみんな知ってると思うけど、妖達と共学になってる。共学といってもクラスは違うけど、廊下や、生活するたびに、妖達とは出会うと思う。もちろん妖側は人間に合う。その出会いをどう捉えるかは俺は決めれない。でも一つだけ約束して欲しい。
妖と仲良くなる、友達になる、遊んでみる。
コレらは全然いい。
でも一つだけ、約束して欲しい。」
その瞬間、教室の空気が重くなったように感じた。
「妖とはそれ以上の関係にはなるな。」
なぜか、その声、その言葉は耳に深く響いた。
「はい、」
誰かが手を上げた。
「ん?なんだ」
先生がその人を当てた。
「それってなんでですか?」
それは多分みんな気になっていたこと。
俺を含めて。
「本当に失いたくないものを失わないためにな。」
先生の声が重くなった。
誰も、なぜそう言う決まりがあるのか、など聞くことはできなかった。
そのあとは、物に名前を書いたり、学校の時間割、授業について話があり、何事もなく終わった。
そのあとは特に用事がなかったため、俺と晴は連絡先を交換し、店に行きご飯を食べに行くことにした。
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