第13話「祝福の日に誓う永遠」

 それから半年後。

 春の柔らかな光が降り注ぐ大聖堂で、私たちの結婚式が執り行われた。

 ステンドグラスを通して差し込む光が、私の着た純白のウェディングドレスをきらきらと照らし出す。

 隣には、純白の礼服に身を包んだキリアン様が、少し緊張した面持ちで立っていた。


 大聖堂は、多くの人々で埋め尽くされている。

 ヴァインベルク公爵家の両親も、今では私の幸せを心から喜んでくれている。父は、あの夜会以来、何度も私に謝罪し、キリアン様に深い感謝を述べていた。

 私の隣には、涙ぐみながら微笑むアンナの姿もある。

 他にも、アシュフォード公爵家の人々や、私の無実が証明された後で関係を修復した友人たち。皆が、温かい祝福の眼差しを私たちに向けてくれていた。


 神父様の荘厳な声が響く。

「汝、キリアン・アシュフォードは、リゼット・フォン・ヴァインベルクを妻とし、健やかなる時も、病める時も、富める時も、貧しき時も、これを愛し、敬い、慈しむことを誓いますか」


「はい、誓います」


 キリアン様の、迷いのない力強い声。

 彼は、私の手をぎゅっと握りしめてくれる。


「汝、リゼット・フォン・ヴァインベルクは……」


 神父様の問いかけに、私は胸を張って答えた。


「はい、誓います」


 あなたを信じ、支え、愛し抜くことを。

 あなたが私にくれた、たくさんの幸せに応えるために。


 誓いの言葉が交わされ、指輪が交換される。

 キリアン様が、ゆっくりと私のベールを上げた。

 銀色の瞳が、すぐ間近で私を見つめている。その瞳には、あふれんばかりの愛しさが満ちていた。


「リゼット。愛している」


「私もです、キリアン様。愛しています」


 彼の唇が、そっと私の唇に重なる。

 温かくて、優しいキス。

 その瞬間、大聖堂は割れんばかりの拍手と、祝福の声に包まれた。


 かつて、全てを失い、絶望の淵に立っていた悪役令嬢は、もうどこにもいない。

 ここにいるのは、真実の愛を見つけ、世界で一番の幸せを手に入れた、アシュフォード公爵夫人。

 私の隣には、氷の仮面を脱ぎ捨て、私にだけとびきりの笑顔を見せてくれる、愛しい旦那様がいる。


 扉が開かれ、私たちに新しい人生の道が示される。

 二人で手を取り合い、光の中へと歩み出す。

 これから先、きっと色々なことがあるだろう。

 でも、この人と一緒なら、何も怖くない。

 どんな困難も、二人で乗り越えていける。


 降り注ぐフラワーシャワーの中、私はキリアン様を見上げて微笑んだ。

 私たちの永遠が、今、この祝福の日に始まった。

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