クールで美人と有名な姉は俺のカノジョ。
オレレモン
第1話.「クールで美人な姉は俺の彼女」
俺-
3階にある1年C組の教室の窓から下を見るとその姉が告白スポットで有名な校舎裏を男子生徒と歩いているのが目に入る。
「おっ。またお前の
前の席に座るクラスメイトの
「そうみたいだな」
「今日はサッカー部で1番イケメンって評判の3年生じゃん。流石に今回は付き合うんじゃないか?」
「毎度毎度なんでそんなに気になるんだよ」
俺は呆れた感じで言ってみるがその声は理久に届いておらず告白の結末に興味津々らしい。
「おっ、手を差し出した。結果は……あっー駄目だったか。あの先輩でも駄目なら一体誰なら付き合えるんだ?」
「俺に聞かれても知らないよ。本人に聞けよ」
そんな事を言ってみるが誰なら付き合えるかを俺だけは知っている。
理久は「お前の姉ちゃんだろ〜。代わりに聞いてくれよ」と肩を揺すってくる。あまりにも長い時間やってくるので鬱陶しくなって俺はその手を払い除ける。
「大体、姉が誰と付き合おうが弟の俺には関係ないだろ」
「ちぇーつまんねー。はぁあ、雫先輩を射止める男がどんなのか気になるな〜」
理久はチラチラと目線を俺に送ってくる。
「知らないもんは知らないんだからそれ以上聞いても無駄だぞ」
なんて言うが本当は知っている。雫を射止めた男がいる事を。本人は何故か全く知らないけれど確かにいる事を俺だけは知っている。
***
放課後になってすぐに教室が騒めきだす。
「秀二、帰るよ」
それもそのはず、雫がわざわざ1年の教室に来たからだ。その目的はもちろん弟の俺だ。
「なんで来るんだよ。もう高校生だぞ」
「可愛くない弟。しょうがないでしょ。母さんにおつかいを頼まれて私だけだと大変なんだから」
それらしい理由を言っているが全て嘘だ。母さんは父さんの海外出張に同行しているので家には俺達だけしかいない。
「はぁ分かったよ。準備してから行くから先に向かっててよ」
「しょうがないから行っててあげる。でも、おつかいからは逃がさないから」
そう言うと雫は教室の前からいなくなる。自分で言った以上はその責任を取らなきゃいけないので帰る準備をしていると当然のように理久が絡んでくる。
「やっぱり雫先輩って美人だよな。しかもクールなのがマジでいい。あれゃあモテるわ。家でもあんな感じなのか?」
「俺に家族のプライベートを晒す趣味はないぞ。そんなに気になるなら本人に聞いてくれ」
「ちぇー。少しだけでいいからさっ。なぁなぁ教えてくれよ〜」
両手を合わせて顔の前でスリスリとしてながら頼んでくる。早く行かないといけないのにこの様子だと帰してくれなさそうだ。
なので適当な情報を教える事にする。
「少しだけだぞ。実はな…雫は靴をちゃんと揃えるぞ」
「いや関係ねー!」
盛大に理久のツッコミ声が響き渡るが気にせずに準備を進める。
「雫が待ってるから行く。また明日な」
「あっ、もうちょっと何か教えてくれよ。…まったくしょうがねぇな。おうまた明日」
中学時代からの付き合いとは言え、こんな態度でいられて怒らないのは理久が優しいからなのだろう。
雫が来たせいで集まった俺への視線を抜けて教室を出る。そして、そのまま雫の元へと向かう。
「やっと来た。遅い」
「そんなに待たせてないだろ」
「んっ。…まぁいいや。早く行こっ」
雫は同世代の中でも身長が高い方で歩くスピードが早い。とは言っても俺よりは低いので俺の方が合わせているくらいなのだが今日はいつも以上に早歩きだ。
そのおかげもあってあっという間に学校の敷地を出る。そして、雫曰く"母さんのおつかい"があるらしい人気のない路地に入る。
「誰もいない?」
「いないな」
「そっか…。それじゃあ、いつものいい?」
雫はクールな雰囲気を保ったまま甘えた声で俺に聞いてくる。
「いいよ」
俺が左手を差し出すと雫はその手に右手を添えて指を絡めてくる。俗に『恋人繋ぎ』と呼ばれるやつだ。
隣り合い、更に近い距離で雫は小さな声で俺に話しかける。
「秀二、好き」
「知ってる。毎日聞いてれば嫌でも伝わる」
「秀二は私のこと好き?」
雫は実の姉だ。生まれた時からそれは今も変わらない。だけど俺達は
だから俺だけは雫と同じ感情を持つ事は許されない。
「……言わない」
「知ってる。だけど、そんな秀二が好き」
雫は俺の姉である。
そして俺の彼女でもある。
つまり俺は雫の彼氏だ。
「いつか絶対に言わせてみせる」
恋人なんていつかは終わる関係だ。所詮は他人同士の繋がりなんだから。
だけど家族が、姉弟が恋人になったらどうなるのだろう。
そんな事は誰にも分からないし、どんな結末が待っているのかも分からない。
「だから私を彼女のままでいさせてね?」
ただ一つ言えるのは誰にも知られていけない関係だって事だけ。なら俺がするべきは一つだけ。
彼氏として俺はこの秘密の関係を守り続ける。
それが俺の取るべき責任だから。
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