人間らしさ ~思考を愛する君へ~
女子高生
人間らしさ。
「人間らしさ」とは。
なんともありふれた
人間に産まれ、人間として生きる君こそが論じるべき議題だ。
そこで是非、私の思考も覗いてほしい。
まず私の頭に簡単に浮かぶものとしては、
死を恐れる事
さらなる幸福を求め続ける事
異物を排除し蔑む事
我慢を覚える事
であろうか。(私が頭を捻るとこの様に人間の陰気な部分ばかりが挙がってしまう)
人間らしさ。
この言葉に好印象を覚え、その実態をまるで掴みもせずに安易に口から放つ人間を疎ましく思うと同時に、何処か羨む自分が居る。
”
人間らしく生きなさい。(周りの皆のように。の間違いだろう)
笑って泣いて、それこそが人間らしい感情だ。(感情を容易に表に出す人間は、己が恵まれている事に気付かぬものだ)
時には間違える事も人間らしく自然な事だ。(自然だとしても、代償はきちんと請求されるではないか)
不完全さを抱える人こそ人間らしい。(こちらは
”
人間は死を恐れる。
並大抵の人間は、幾ら死にたがりの鬱々とした者でも、喉元にナイフを突き立てられれば泣いて命を乞うだろう。
皆、死んだ事など無いからだ。
しかし、これは本能に従い命を
自分で挙げておいて難だが、死を恐れる事は特別人間らしい事象では無かったようだ。強いていえば、人間の中に潜む、野生動物の様な生き物らしさ、だろうか。
人は質の高い幸福を、何時までも、何処までも求めるものだ。
批判を浴びない環境を手に入れると次は賞賛を求める。
表面的な優しさのみでは満足せず本物の愛とやらを求める。
衣食住に困らぬ生活を送ろうと、心が満たされないなどと抜かしては生きる意味を求める。
実に傲慢で貪欲。金や地位、権力なんてものは動物達は欲しない。
此の果てしない幸福追求はきっと「人間らしさ」のうちの一つといえるのだろう。
では異物、つまりは自分と異なるもの、それを排除し、蔑む事は如何だろう。
教室に馴染めぬ子供は、他の子等とは異質の空気感を纏う事がある。
異質故に教室に馴染めぬのか、他の子等に排除されているから異質なのか、これは鶏と卵、どちらが先かという話に似ている。
つまり不毛な疑問であると同時に、どちらの可能性も十分にあるという事である。
集団生活を守るという点に於いて弱き者を取り除くのは、群れで暮らすライオンやオオカミも行う行為である。
醜い言葉を投げ掛け、相手を傷つけんとするのは人間特有かも知れないが、異物の排除は人間らしさ、というよりはこれも矢張り生き物としての本能に由来するのだろう。
最後に、我慢を覚えること。
これは人間らしさの代表として、弱き立場に在る者に対する美徳として、度々消費されている。
欲を無くし、或いは隠し、昂る感情を心の内に抑える事を当然に求められてきた者の人生を昇華し、正当化する為に利用されるのだ。
詰まるところ、確かにこの世界で理性ある生き物は人間だけなのかも知れない。
波風を立てる事で誰かに牙を剥かれる事も、一人後悔する事もあるだろう。
唯、それでも、我慢をする事が人間らしさだというのなら、沈黙こそが理性ある者の行動なのなら、私は、人間らしく生きなさいという人生課題に於いて、落第点を付けられたって構わない。
彼等は知らないのだろう。
自分を殺し、知らぬ振りを続ける内に本当の己を見失う事は、想像よりもずっと恐ろしく、孤独だ。
さて、人間らしさについて多少は整理する事が出来ただろうか。
それとも、根拠の薄い反論が飛び交い、一体何が正しく、間違いなのか、理解が遠のいただろうか。
かくいう私は、陳腐な事実と意見の羅列をしただけで、「人間らしさ」を一言にまとめる事が出来るようになった。
それは、思考することである。
人間は常日頃、脳内で思考を続け、その結果を元に行動を起こす。
つまり思考とは活力だ。
現に、私は上に記した文を書き上げる為に丸一日思考を続けた。
野生動物は、「らしさ」について考える事など、きっと無いだろう。
人間だけの、「らしさ」である。
私の趣味は考えること。
人間の存在について、宇宙の在り方について、生きる理由について、
将来の理想像について、お金の使い方について、今日の夕食について、
哲学めいた疑問にも、至って普通の疑問についても、私は嬉々として脳を働かせる。
今回の議題を通して、私にとっての人間らしさは見つかったが、あなたにとっての「らしさ」もそろそろ形を成してきた頃だろうか。
ほら、あなたは今、己の「らしさ」を見つけるために思考した。
矢張り、「人間らしさ」とは思考すること。なのかもしれない。
人間らしさ ~思考を愛する君へ~ 女子高生 @hanakappa2525
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