こんなに睡眠って大事? 睡眠で異世界最強!?

夜猫

 〜プロローグ〜 いつも通りの朝

騒がしい――いや、うるさい。

そんな感覚とともに、ゆっくりと意識が覚醒していく。

子どもの声、鳥のさえずり、遠くを走る車の音。

眠りきらない頭に、朝の音が一気に流れ込んできた。

「……今、何時だ?」

枕元の時計に視線を向ける。

8時30分。

「……は?」

一瞬、思考が止まった。

次の瞬間、全身に冷たい汗が噴き出す。

やべぇ。完全に寝坊だ。

ブラック企業で遅刻とか、洒落にならない。

下手したら上司に殺される。比喩じゃなく、精神的に。

「飯食ってる暇ねぇな……コンビニでいいか」

ため息が自然と漏れる。

はぁ……仕事、行きたくねぇ。

正直、これ以上生きる意味あるのか? って思うこともある。

上司には理不尽に怒鳴られ、

正月に実家へ帰れば「何もできないやつ」なんて言われる。

誰にも必要とされていない気がして、

気づけば、眠ることすら怖くなっていた。

――それでも。

俺こと、如月隼人を支えてくれているものがある。

それが、ゲームとアニメだ。

この二つだけは、

このクソみたいな世界で、俺に居場所をくれる。

ゲームの中では、誰にも邪魔されない。

アニメの中では、美少女に囲まれる主人公になれる。

……いや、なりきるって言っても、

コスプレするとか、そういう痛いことはしてないぞ?

感情移入とか、妄想とか、そういうやつだ。

まぁ、周りから見たら

気持ち悪い趣味なんだろうけどな。

……っと、こんなこと考えてる場合じゃない。

「時間なくなるな」

顔を洗い、着替えを済ませる。

準備はできた。

さて、行くか――その前に。

部屋に並んだアニメグッズと、

俺の“嫁”たちに軽く目を向ける。

「行ってくるよ」

誰に聞かせるでもなく、そう呟いて家を出た。

――その直後。

「面白そうな思考をしている人がいるわね〜」

誰もいないはずの部屋に、

確かに“声”が響いていた。


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