短編集

青井由紀

甘いコーヒー

「甘っ!」


いつも通りの朝。妹のひまりは頬を膨らませる。


「お姉ちゃん! これココアじゃん!!」


妹がどうしてもコーヒーを飲むというので色が似ているココアにしておいたのだが、やはりダメだったようだ。


「あんたまだコーヒー飲めないでしょ? だから……」


「ひまりもう10歳だから飲めるもん!」


「いやでもコーヒーに含まれてるカフェインを子供は大人より摂っちゃいけなくて……」


「ひまり子供じゃないもん!!」


私の説明虚しくひまりは怒って部屋に篭ってしまった。

しばらくしたら出てくるだろう。


そう思って私はひまりの分の朝食を別の器に移して冷蔵庫に入れた。



***



17時。ひまりはもう9時間も部屋に篭っている。


怒っているといえど流石に篭りすぎではないか? いつもなら1時間も経たずにケロッとした顔で出てくるのに。


そう思い、子供部屋に行く。


「ひまり? 寝てるの?」


部屋に入るとベッドから寝息が聞こえる。

起こさないように気をつけながら近づく。


ふと机の上を見ると、そこには仲の良さそうな二人の少女の絵が描かれた絵が置いてあった。


横に”ひまりのお姉ちゃん”という文字が添えられおり、紙にはぽつぽつと丸いシミがあることから泣きながら描いていたことがわかる。


ひまりは小さい時は私の後ろをついてまわる子供で、最近はめっきりそれもなくなっていたのだが……


「ひまりはコーヒーが飲みたかったんじゃなくて私と同じことがしたかったんだ……!」


ぽつぽつと丸いシミが増えていく。


「お姉ちゃん……?」


ひまりは目を擦りながら私の服の裾を掴んでいる。


「起こしちゃった?」


「なんで泣いてるの?」


「なんでもない! さ、夜ご飯にしよっか」


私は急いで涙を拭い、歩き出した。


「そうだ! 夜ご飯を食べた後、一緒にコーヒー牛乳を飲もうか」


私がそういうとひまりはやったーと嬉しそうにジャンプした。

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