欠けた妥当 –other side of Walker’s Dream

歩上花太郎

第1話


世界は上手くいくようにできていない。

だからって腐っていても幸せにはなれない。

これは、奪われた人達が不条理の先で抗う物語。






1章:咲子


小さい頃は幸せだった。

みんなが可愛いと言ってくれて、チヤホヤしてくれた。

何をしても許された。


わたしは無敵のアイドルだった。


わたしが笑うとみんな喜んで、花が咲いたみたいになっちゃう。

だからわたしの名前は咲子なんだって。




でも大きくなるにつれて、公園、保育園、小学校、一緒にいる相手が大人から子供になることが増えて、そう上手くいかなくなった。

だから、わたしはなるべく大人の近くにいるようにしていた。


わたしは「友達」という存在を上手く作れないまま大きくなった。

子供はわたしを大事にしてくれないから。




ある年、みんなに嫌われている先生が担任になった。

厳しい先生だったからちょっと怖かったけど、わたしはいつも通り先生の近くにいた。


そしたら、わたしを「手先」と呼ぶ子供が増えた。

子供たちは今までよりもわたしに攻撃的になった。


ある時、その担任の先生に言われた。


「クラスの友達と仲良くしなさい。先生のところに来ちゃダメだ」。


わたしの絶望、わかる?

もう誰も守ってくれない。

どうしたらいいかわからなくなって、わたしは学校に行けなくなった。




そんなわたしを迎えに来てくれた天使がいたの。

クラスメイトの日菜子ちゃん。


日菜子ちゃん、大好き。

いつだってわたしの話を聞いてくれる。

いつだってわたしを受け止めてくれる。

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