大学1年生編

第16話 再会の春

大学の正門前。


 人の波の中で、蓮は一人立っていた。

 少し大きめのリュック。

 少し緊張した表情。


 ――来るよな。


 そう思った瞬間、視界の端に、見慣れた姿が映る。


 澄田薫。


 一瞬、目が合って、

 次の瞬間、二人とも笑っていた。


「……久しぶり」


「全然、久しぶりじゃない気がする」


 そう言いながらも、距離は少しあった。


 周囲の視線。

 初対面の人たち。


「……二人きりになったら」


「うん」


 キャンパスの裏手、少し静かな場所。


 薫が立ち止まり、蓮を見る。


「……蓮」


 名前を呼ばれた瞬間、胸が強く鳴った。


「……薫」


 春の風が吹く。


 離れていた時間は、確かにあった。

 でも、それは無駄じゃなかった。


 ここから、また始められる。


 蓮はそう、はっきりと感じていた。

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