第6話政治とは経済と外交。碩学のponziさん。
なゆは総理大臣に指名されるのを見越して、知る人ぞ知る碩学に話を聞きに行っていた。千葉県松戸市北松戸の駅から徒歩5分程度のマンションの一室。岡田克也さんや桜蔭高等学校の恩師に居場所を聞きアポイントを取ったのだ。碩学のponziさん。御年80歳。かつて、芥川賞やノーベル医学生理学賞を受賞したという、伝説の総合知。なゆもponziさんの小説や音楽、哲学書には一通り目を通していた。今日は忙しいスケジュールの合間を縫ってSP2人と公用車に乗って、永田町から40分かけて千葉県松戸市北松戸まで来たのだった。玄関の呼び鈴を鳴らす。
「やあ、わざわざ御足労おかけしてありがとうございます、水樹首相」
初めて生で見るponziさんの第一印象は、「ずいぶん若く見えるな」というもの。公称175cm83kg。メガネをかけて、ピンクのパーカーにカーゴパンツ。顔も白髪ではあったが髭がよく似合っていてつやつやの肌。50歳くらいに見えた。
「どうぞ。中に入ってください」
もっと贅沢をしているのかと思っていたが、意外に質素な部屋。2LDKで書斎と寝室があり、10畳ほどのリビングに通された。古びたダイニングテーブルにボロボロの椅子が三脚置いてあった。
ponziさんは気にする様子もなく奥の椅子に腰かけた。
「水樹首相。どうぞお座りください。SPの方々も」
「失礼します」
なゆも気にせず座った。
なゆは切り出した。
「時間もないので用件を言います。わたし、18歳女子高生水樹なゆと民主党は単独で政権与党となりました。ただ、選挙は上手いこと勝てましたが、今後の政権運営について。一過性のもので終わらせたくないんです。単なる戦争反対のワンイシューではすぐに行き詰まります。どうすれば日本を、ひいては世界中を幸せにできるか?ponzi先生に教えを乞いにきました」
ponziは、書斎から数冊の本とPC、スマホ4台を持ってくると、おもむろに切り出した。
「政治の要点は経済と外交です。外交に関しては若槻内閣の戦時体制に待ったをかけた。わたしは従来の民主党の平和善隣外交に戻るべきだと思います。その点は、水樹首相や岡田さんの方がよく考えていらっしゃるでしょう。軍備は最小限にして、専守防衛。1回の戦争より100回の話し合いを選ぶべき」
「戦後の日本の平和善隣外交というのは世界中から尊敬と信頼をあつめ、結果的に最高の国防政策となってきました。利他的でお人好しな日本。損得勘定ではなく博愛主義的に振る舞うことで結果的に日本の平和が持続可能だった。お人好しは損だとか正直者が馬鹿を見る、という短絡した功利主義は長続きしないでしょう。情けは人の為ならず。自分が得をしたければ、まずは進んで世のため人のために尽くしなさいということです」
「また、経済に関しては。貧すれば鈍する。衣食足りて礼節を知る。いまの日本は国民生活が窮乏しているため、みんな余裕がないのです。他者、他国に対して寛容になれない。外交も経済も、すべては最初からつながっているのです。積極財政をするべきでしょう。ただし、強者のための政府支出ではなく弱者を救うための慈愛の政府支出が必要」
「わたしから、ひとつお願いがあります。正義の積極財政を進めるためにも、良い人材を登用してほしいのです。財務大臣に経済学者で明治大学教授の飯田泰之氏、日銀総裁に経済産業省の中野剛志氏、そして政府の経済財政諮問会議の議長に東大経済学部首席卒業で金融トレーダーの村田美夏氏を民間登用していただきたいのです」
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