第13話 AI時代に悪意はどこへ向かう?

AI時代になると、

「悪い人」は減るのか。


答えは、

消えない。でも、居場所がなくなる。


悪意は人間の性質だから、

ゼロにはならない。


ただし、

形を変えざるを得なくなる。



これまでの社会では、

悪意は割に合っていた。


・嘘をつく

・責任を押し付ける

・人を利用する

・ルールの隙を突く


これらは、

うまくやれば得になることが多かった。


なぜなら、

社会が不透明だったからだ。



AIは、

この「不透明さ」を消す。


完全ではないが、

十分に透明にする。


・行動履歴

・判断の一貫性

・他者への影響

・トラブルの頻度


悪意は、

単発では隠せても、

連続性は隠せない。



ここで重要なのは、

AIが悪意を裁かない、という点だ。


AIは

「この人は悪だ」とは言わない。


ただ

コストが高い

と判断する。



悪意のある人は、

必ず周囲を消耗させる。


・トラブル対応

・感情のケア

・後始末

・不信感


これらはすべて、

数値として積み上がる。


だからAI社会では、

悪意は自然に

敬遠される対象になる。



では、

悪意はどこへ行くのか。


三つの行き先がある。



① 自滅する


一番多い。


短期的な得を繰り返し、

信用を削り続け、

気づいたら

どこにも居場所がない。


「排除された」のではない。

選ばれなくなっただけだ。



② 閉じた空間に集まる


悪意は、

同じ匂いのする場所に集まる。


・匿名性が高い

・短期的快楽が強い

・責任が発生しにくい


ただしそこは、

常に不安定だ。


信頼がないから、

裏切りも早い。



③ 無害化される


これが一番静かな変化だ。


・監視

・制限

・予測

・早期介入


悪意が

大きな被害になる前に、

小さく抑え込まれる。


本人は

「生きづらい」と感じるかもしれない。


でも社会全体は、

安定する。



ここで誤解してはいけない。


AI社会は、

「善人だけの世界」ではない。


悪意が報われない世界だ。



悪意が報われない社会では、

人は二つの選択を迫られる。


・自分を変える

・欲を下げる


変われない人は、

摩耗する。


変わった人は、

驚くほど楽になる。



ここで、

優しい人の話に戻る。


優しい人は、

悪意を使わない。


だから

この変化に

何の調整もいらない。


すでに

AI社会仕様の人間だからだ。



AI時代の倫理は、

説教ではない。


構造だ。


善人だから得をするのではない。

悪意が高コストだから避けられる。


それだけだ。



だから未来は、

思っているより静かだ。


怒鳴る人は減り、

騙す人は疲れ、

煽る人は相手にされなくなる。


完全な善ではない。


ただ、荒れにくい。



AIは、

人間を善くしない。


でも

悪意を割に合わなくする。


それだけで、

社会はかなり変わる。

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