第4話 じゃあ人間は、何に感じて生きるのか

AIが、正解を出すようになる。


効率。

最適解。

最短ルート。


人間が何千年もかけて積み上げてきた

「賢さ」の多くを、

機械が肩代わりする。


じゃあ人間は、

何に価値を感じて生きるのか。



答えは、意外とシンプルだ。


意味のないものだ。


役に立たない。

金にならない。

評価されなくてもいい。


それでも

やりたいもの。



これから流行るのは、

喧嘩自慢、スポーツ、芸術、自然。


どれも共通点がある。


・数値化できない

・再現性が低い

・本人の満足度が高い


AIが最も苦手な領域だ。



喧嘩自慢は、

暴力の話じゃない。


生身の身体。

恐怖。

瞬間判断。


「自分はここにいる」という

実感そのものだ。



スポーツは、

管理された闘争だ。


勝敗がある。

ルールがある。

だから安全に、

本能を使える。


社会が安定するほど、

人は闘争を欲しがる。



芸術は、

最も非効率な行為だ。


時間がかかる。

意味がわからない。

誰にも評価されないかもしれない。


でもだからこそ、

人間の居場所になる。


無駄を続けられること自体が、

強さになる。



自然は、

人間が支配できないものだ。


天候。

老い。

死。


AIが進めば進むほど、

制御できないものは

神聖化される。


だから人は、

山に登り、

海に行き、

焚き火を見る。



ここで面白い逆転が起きる。


これらはすべて、

勝ち負けと相性が悪い。


比べにくい。

ランキングできない。

他人と争う意味がない。


つまり、

幸福の閾値を下げる。



AI社会で価値を持つのは、

成功でも、承認でもない。


満足できる感覚だ。


・今日の体調

・今日の運動

・今日の表現

・今日の自然


これで「まあいいか」と思える人。



人間は、

便利になるほど

原始に戻る。


それは退化じゃない。


余裕ができた証拠だ。

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