女子高生と化け狸の恋は成立しますか?〜人生が終わる瞬間に救われた私は山奥で百合生活をして幸せに暮らしました〜
ユウキ・アカツキ
第1話化け狸と私
chapter000
「いろははさ、私と付き合って……よかった?」
「ん?どして〜?」
「ほら……私って、人間じゃん……こんなのいろはの仲間にバレたら絶対……」
その先を言いかけたら、いろはが私の唇のとこに人差し指を置いた。
やっぱり……いろはには敵わないや……こういう事が平気でできるなんて……
いや、逆に平気すぎていろはは大丈夫なのだろうか……
もしかして、ほんとにド天然なの?
天然すぎて……逆に怖い気がしてきたんだけど……
「われは……みおに会えてよかった……よ?」
「もう……いろはのばか……」
「えへへぇ〜、みおはわれにいやしをよこすのだー!」
「うぅ……可愛すぎだよぉぉぉ……!!」
ほんとに……なんでこんなに……可愛いんですか……可愛すぎて……もう、ずるいとしか言えないじゃないですか……
いや、それ以上にこんなにも可愛い子と一緒に居ることができるなんて……
ほんとに、思わなかった……だけど、どうすればいいのかなんてわかるわけが無いか……
だけど、ほんとにいろはとの出会いは……こんなにも嬉しいものになるとは……付き合うことになるなんてほんとに思わなかった。
chapter001
高校二年の夏休み。
私は、たぬきと出会った。
それは、ほんとに突然すぎて、いやでも……神秘的な感じでも、偶然すぎる出会い、という訳でもなかった。
ただ、あの時はほんとにどうかしていたんだと思う。
死にたいと、消えたいと、ずっと思っていた心の中が……いろはという存在に出会えて……多分良かったのかなって……思う。
いや、ほんとは……あの時に出会うことさえなかったらきっと……
きっと私は、いろはに愛だとか……恋だとか、そんなものを教えられるとは……思わなかったな……
たぬきなのに、可愛い……たぬきなのに、でもそうだとしてもこうやって、一緒にいられるこのことが……ほんとに、幸せだなと、思う。
そう、あの時は……特に。
「はぁ……」
クラスの人間には……馬鹿にされるし、いじめられるし……
親に言っても信じられないし……先生に頼っても無視されるし……友達にも裏切られて……もう……私、生きる意味、ないな。
もう、自殺しよ……
いや、自殺しようと、前々から決めていたし……ちょうどいいのかな。
ただ、誰にも見られることなく……そして……誰にも……分からずに、死ねば……きっと、上手くいく……はずだろうな。
「ここ、か……」
足元がおぼつかない中……崖の先端までやってくることができた。
やっと、やっと終われることができる。
自殺の名所と呼ばれている……希望岳きぼうだけ、昔は商売繁盛のためにやってくる人達がおおかったそうな。
それによって、栄えたお店が沢山あるから……ほんとに凄いものだな思う。
だけど……今は疲れた人間や、自殺をしたいと思っている人間が集まって、沢山……沢山死んでいっているから……
ここは、いつしか……絶望の山、死亡岳と呼ばれている。
「まあ……独り言を言ったところで……もう、誰にも気づかれないだろうし」
下を覗くと、一面の森が広がっている。
これは……ほんとに綺麗すぎると言っては過言ではない。
けど、ここに落ちていくなんて……そんなことを考えると……いいことなのかもしれないな。
だって、終わることができるんだから……
「さよなら、みんな……さよなら、世界……さよなら……」
そう言い、私は……崖へと歩みだし……向かっていこうかと思った。
「だめ!!」
「ん……」
掴まれた……腕を……どうして?いや、なんでこんな状況で止められなければいけないのか……
なんでこんなめんどくさいんだろうか。いやそう感じる時点で私はもう、限界なのか。
いや、限界なんてもんは分かってたけれどでも……私はこんなこと思うのなんてどうでもいい。
「離して……!!」
「嫌!!」
「なんで……なんでよ!私は……死にたいだけなのに!」
そう言ったところで……離してくれないだろうなって思うんだけど私は……早く死にたいのに……
「なんで、離してくれないの」
「……われは、われはもう見たくない……人の子が死ぬところを……」
「……」
意味がわからない……人が死ぬところなんて、べつに見てるわけじゃないだろうに……
でも、私はそんなことなんて考える暇ない……そろそろ離してくれないかな。
「離してよ」
「いや……」
「離してよ……」
「嫌!離さない!もう……絶対に離さないから!!」
それは、嘘だ……そんなこといって……あなたも、私を裏切るんだ……
絶対そうだ、だから……今のうちに……そういうこと言って……裏切るんだよ……!!
「やめってよ!……っ?!」
私は、腕を振りほどき、どんな物好きが私を止めたのかとかを確認するために姿を見たら……
そこには、裸で……しっぽとたぬき?の……耳?か分からないけど……赤面しながら、私を涙を流しながら見つめていた女の子が……立っていた。
「あ……えと……その……」
「あなた……」
「驚かせて……ごめんなさい……でも、われ……われは……もう、人の子が死ぬのは……ごめんなの……だから……えと、その……」
「いい……だけど、私……あなたを見て……良かったのかも」
「へ?」
なんだこの、気持ち悪いくらい……死にたいって気持ちが無くなるような……
湧き上がる……燃えるような思いは……
いや、思いじゃない……想いかもしれない……
一体……なんだというのか……この気持ちは……この沸き立つものは……
「あなた、なにもの?」
「われは、いろは……化け狸のいろはだ!この山に住む……守り神のようなもの……だな!」
「いろは……私は、
いや……さっきから、なんかは言ってたけど……全然聞いてなかったから分からなかった……
むしろ、今のこの状況……裸の女の子に止められてるってこれ自体がおかしいんじゃないかって思う。
いや、それ以上にたぬき……たぬきか……死ぬことすらなんか、どうでも良くなってしまった気がするんだけど……
それだけ……多分、このいろはという女の子に……目を奪われてしまったのだろう。
けして、裸を見とれてる訳じゃない……褐色が癖だからとか……そんな事は、関係ない。
「私……死のうと、してた?」
「うん?うん……」
「帰る場所……ないの、頼る人も、いない……もう私……なにもない……だから、死のうとした」
「そう……だったんだ」
こんなこと、言っても……意味あるのかな……それは……分からない……けど、でも……この子には伝えたいって、思ったんだ。
「そう……なら、われと共に来る?」
「……いいの?」
「幾らでも、われに縋っていい、頼っていい……だけど、絶対死なせないから!」
「ほんとに……?ほんとに……いいの?」
何も、何も信じられない私を……こんなにも、優しい声でそんなこと言うの……
それは、ずるいよ?ずるいし……それは、ダメなのに……
信じたら、絶対ダメだってわかってる……だけど私……信じたいって、思ってるんだ……
「もちろん、われ……みおのこと……一目惚れしたもん!」
「……っ?!」
これが、この私たちの……出会った瞬間なのである。
まさか……付き合って……私が百合に目覚めるとはほんとに思いもしなかったな。
だけど、それだけ楽しいと思えるようになるまで幸せなれた……ということなんだろうな。
「ありがと、いろは」
「ん?」
「ふふ、なんでもなーい」
to be continued
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