母子の沼り 実の息子と母の相姦

みさき

母と息子の沼 遠い絆

リュウは冷めた目で壁の時計を見つめた。午後三時。父と兄はまだ二時間は帰ってこない。彼は階段を上がり、母の寝室のドアを軽くノックした。


「入って」


ヤヨイの声は、彼女の年齢である五十三歳を感じさせないほど柔らかかった。リュウが部屋に入ると、彼女はベッドの端に座り、本を読んでいた。薄いガウンが緩くまとわりついている。


ヤヨイは本を閉じ、微笑んだ。


リュウはドアを閉め、鍵をかけた。二年前のあの日以来、この儀式的な動作は無意識の習慣となっていた。


あの日、リュウはヤヨイの洗濯かごから取り出した下着を手に、自室で行為にふけっていた。ドアが開く音も気づかず、ヤヨイが立ち尽くしているのに気づいたのは、全てが終わった後だった。恐怖と羞恥がリュウを襲った。しかし、ヤヨイの目には、驚き以上の何かが浮かんでいた。


「リュウ…」彼女の声は震えていたが、それは怒りからではなかった。


それからは、静かなる崩壊が始まった。最初は言葉だけの、危険な境界線を探る会話。次に、偶然の接触。そして、父と兄のいないある自宅、最後の防壁が崩れた。


「ヤヨイ」


リュウは母を名前で呼んだ。親子という枠を、言葉から解体していく必要があった。


彼はベッドの縁に座り、ヤヨイの手を取った。五十三歳の肌は、若い女性のような張りはないが、滑らかで温かかった。血が繋がっているからか、彼らの肌は互いを拒絶しなかった。むしろ、遺伝子の近似性が、どこかで調和をもたらしているようにさえ感じられた。


「来週の日曜、父さんと兄貴はゴルフで終日外出だ」リュウが囁く。


「遠くまで行かない?いつものラブホテルは…近所の目が怖いから」


リュウは頷いた。遠出は別のスリルをもたらした。見知らぬ街で、彼らは年の差婚カップルを装う。ヤヨイは少し若作りな服装を心がけ、リュウは彼女の肩を抱く。周囲から「お姉さんと弟?」と聞かれることもあれば、「ご夫婦ですか?」と勘違いされることもある。その度に、二人は顔を見合わせ、禁断の共犯者であることを確認し合うのだった。


ラブホテルの部屋では、時間の制約から解放された。フリータイムをたっぷり使い、昼夜の区別なく、身体と言葉を重ねた。リュウの欲望は、単なる肉体の欲求から、より複雑なものへと変質していった。


ある日、彼は小さな紙袋をヤヨイに渡した。


「なにこれ?」ヤヨイが開けると、中からは学生風のセーラー服が出てきた。


「着てみてよ」


「バカ…こんなの、私の年で…」


「いいから。頼む」


抵抗しながらも、ヤヨイは結局その衣装を身にまとった。鏡の前で照れくさそうに俯く五十三歳の母を、二十三歳の息子が背後から抱きしめた。彼の心には、征服と所有の快感が渦巻いていた。


次は、より過激な方向へと進んだ。リュウは深夜、人気のない河川敷にヤヨイを連れ出した。


「リュウ、やめて…寒いし、誰かに見られたら…」


「この時間に誰も来ないよ。ほら」


彼はスマートフォンを構え、全裸に黒のロングブーツ姿で佇むヤヨイを撮影した。最初は恥じらいに身を縮めていた彼女も、次第にカメラに向かってポーズをとるようになった。リュウは匿名掲示板にその写真を投稿し、たちまち「美熟女」「若く見える」などのコメントが集まった。


「見てよ、ヤヨイ。みんな、君を褒めてる」


画面に映る賞賛の言葉に、ヤヨイの頬が緩んだ。長年、専業主婦として家族の陰に隠れてきた彼女にとって、この匿名の承認は心地良い麻薬だった。


リュウの承認欲求は、さらに肥大化していく。今度は、彼女を「ハプニングバー」に連れて行くことを思いついた。


初めての訪問時、受付で年齢確認のため身分証明書の提示を求められた。リュウは冷や汗をかいた。同じ苗字、同じ住所の運転免許証。もし店員が気づいたら…しかし、こうしたプライバシーに店員は干渉しない。生年月日を確認し、コピーを取られて証明書は戻された。


店内は薄暗く、猥雑な空気が漂っていた。ヤヨイは緊張で硬直している。


「大丈夫、ここにいるのはみんな、他人同士だよ」リュウが耳元で囁く。


次第に、彼はヤヨイを他の男たちに差し出すようになった。


最初は見ているだけだったが、やがて彼女を他人の腕に押しやり、その様子を暗がりから眺めることに快感を覚えるようになった。ヤヨイは抵抗したが、リュウの「愛しているからこそ、君を共有したいんだ」という言葉に、徐々に心を開いていった。


帰りの電車で、ヤヨイは窓に映る自分たちの姿を見つめた。一見、普通の親子のように見える。疲れた母と、気遣う息子。しかし、彼らの間には、通常の親子を遥かに超える、深く暗い秘密が横たわっていた。


「この関係、いつまで続くのかな」ヤヨイが呟くように言った。


リュウは彼女の手を握りしめた。「バレなければ、ずっと続けられる。僕たちだけの秘密だよ」


窓の外を流れる街明かりは、彼らの罪の深さを測ることも、この先の行く末を示すこともなかった。電車は暗闇の中を、ただひたすらに走り続ける。


二人は知っていた。この沼は、一度足を踏み入れたら、這い上がることはできないことを。血の繋がりが強ければ強いほど、その沼の底は深く、柔らかく、そして温かいのだということを。

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