大人向け童話に至るまで

チェンカ☆1159

今の私の道標

 普段文章を読まない人でも楽しめるような物語を書きたい。


 それが、以前より私が密かに抱いていた目標でした。

 物理的に一話一話を短くして、コメディ色を強めにして、書きたいことを好きに書いていました。


 けれども、私のやる気は長く続きません。気づけば途中放棄した作品だらけ。

 完結なんて、夢のまた夢。


 一つのことを長く続ける才能も、話を大きく深く広げていく才能も、思い返せばありませんでした。

 そんな自分に誇れるものがあるとするなら、思いつくネタの多さと物語を書くのを辞めていないことくらいかもしれません。


 きっかけは中学生の頃だったでしょうか。小説を書き始めてさほど経っていない私は、母親から遠回しに自分の文章力が拙いと批判を受けました。


 当時の夢は作家でしたが、そこからの夢は変わりました。


 人に読ませても恥ずかしくない文章を書けるようになってやる。


 今振り返ると、あの頃が一番必死に努力していたんじゃないかなぁ、と思います。


 そこから時を重ね、ネット上に物語を投稿するようになり、職場をはじめとした様々なところでその文章力を発揮している私ですが、上手いという自覚はそこまで持てませんでした。


 上には上がいるから。

 頂点にでも君臨してなければ、特技と称する資格はない。

 謙遜というよりは、そんな持論を抱いていたからこそ「(上手い・凄いといった褒め言葉に対して)そんなことはない」と述べることが多くありました。


 過去に『この界隈の文字書きと言えばこの人』とか『界隈内の二大文字書き様』などとSNS上でたくさん持て囃されていた存在を、どれだけ羨ましく、妬ましく思ったことか!


 私だって日間ランキング一位とか、閲覧数が一日で三桁越えたとか、一度くらいは経験してみたい!!


 さて、本題から大きく脱線してきたので、本題に戻していきましょう。


 実を言うと、それまでの私は承認欲求ばかりが働いて、執筆している作品そのものにきちんと向き合えていなかったんです。


 あらすじもキャッチコピーも適当。

 投稿した直後に宣伝して、それ以上のことはしようとしない。


 でも他人に認められたい。頂点に立ってみたい。

 完全なる自分勝手です。


 辛口評価が怖いのはただの言い訳です。


 現実を見たくないんです。


 読み合いを避けるのも、応援やレビューをほとんどしないのも、朗読を聞かないようにしているのも、全部。


 自身が劣っているという事実を、認めたくないからです。


 そんなことを続けていたある日、私はとうとうなんにも見えなくなりました。希望の光が完全に消えてしまったのです。

 当時の私の中にあったのは、周囲へのドス黒い嫉妬と、どんな話を投稿しても閲覧されないという虚しさだけ。


 そろそろ潮時かもしれない。

 けれども筆を折ったら、それこそ何も残らない。

 気づけば私は、文字書き仲間の配信を観ながら、一人泣いていました。


 どうしていいかもわからず、約半年ぶりに他人を頼りました。


 半年前に頼った友人からはいろいろな事情で突き放されたので、今回の相手もそうなったらどうしようと不安しかありませんでした。


 でも、それは杞憂に終わりました。

 彼は突き放さないどころか、私に寄り添おうとしてくれたんです。


 自分は馬鹿だから文章を読むのは苦手だ。

 でも、大切な存在である私の書く小説は読んでみたい。


 そう言ってくれた彼の優しさは、新しい希望の光となって、私の心に灯りました。


 きっかけはそんな些細なことです。

 それでも私は、再び物語を書きたいと心の底から思いました。


 それと同時にふと、あの目標が頭に浮かびました。


 普段文章を読まない人でも、楽しめるような物語を書く。


 それを達成するには、どんな物語がいいんだろう?


 そこで真っ先に思いついたのは、私が幼少期から好んでいたジャンル――童話でした。

 本来は子供達が読むための物語。

 もし、私の書く物語が、童話特有のやわらかな文調を用いた上で、楽しめるような言葉選びや世界観だったら。

 文章が苦手な彼でも読みやすい物語が完成するのではなかろうか。


 幸い、ネタストックは大量に持ち合わせている私なので、読み切りの大人向け童話を書くのにさほど苦は感じていません。

 むしろ書き上げた作品が増える度に、達成感やコレクションとしての充実感を得ることができるようになって、とても楽しいです。


 正直、執筆のモチベーションがどれくらい先まで続くかはわかりません。

 けれども今は、私の書く大人向け童話達が誰かの傷ついた心に寄り添い、あわよくば希望の灯火となってほしい。


 いつかそれが叶うと信じて、書き綴っていようと思います。



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