義理の娘の婚約者に堕とされました~40歳美容家、年下男性の10年越しの執着に溺れる背徳の純愛~

ソコニ

第1話「義理の娘の婚約者が、10年私を監視していた」

1

鏡の中の女を見つめる。


香坂麗華、40歳。美容家。


頬に手を当てる。しっとりと吸い付くような肌。首筋に刻まれたわずかな横皺も、適切なケアで最小限に抑えている。SNSのフォロワーは20万人を超え、雑誌の取材依頼は月に3件。予約は常に2ヶ月待ち。


「香坂先生の肌、本当に綺麗ですね」


顧客たちは私をそう褒める。40代には見えない、と。


でも——。


夜、一人でベッドに入る時、私は空虚だった。


夫の圭一は単身赴任で半年帰ってこない。週に一度の電話も、仕事の話ばかり。最後に肌を重ねたのは、いつだったか。3年前? それとも、もっと前?


セックスレス。


その言葉を認めたくなくて、私は仕事に没頭してきた。


「お義母さーん、ただいまー」


玄関から、連れ子の咲の声。


23歳。圭一の前妻との間に生まれた娘。再婚した時、彼女は13歳だった。10年間、私なりに愛情を注いできたつもりだ。


「おかえり。今日は遅かったわね」


「うん、一馬くんと食事してた」


一馬——柊一馬。


咲の婚約者。32歳のIT企業の営業マン。


「お義母さん、一馬くんね、来週またうちに来るって」


咲の声は明るいけれど、私の胸に微かな痛みが走る。


それは——罪悪感。


なぜなら——。


私は、一馬の視線に気づいていた。


彼が私を見る目。それは「義母」を見る目ではない。「女」を見る目だ。


最初は気のせいかと思った。でも、半年前から確信に変わった。


リビングで咲と話している時、一馬の視線が私の首筋を這う。

食事の席で、一馬の目が私の指先を追う。

別れ際、握手をする時、一馬の手が必要以上に長く私の手を包む。


私は——それを、拒絶しなかった。


いや、できなかった。


なぜなら——その視線が、嬉しかったから。


3年間、誰も私を「女」として見なかった。夫は私を家政婦のように扱い、顧客は私を「先生」と呼ぶ。


でも一馬は——私を「女」として見ていた。


それが、私の乾いた心に、わずかな潤いを与えていた。


「お義母さん?」


咲の声で、我に返る。


「ごめん、何?」


「一馬くん、お義母さんのこと尊敬してるって。美容の話、もっと聞きたいって言ってた」


私の心臓が、小さく跳ねる。


「そう……ありがとう」


「じゃあ、私シャワー浴びるね」


咲が階段を上がっていく。


私は——リビングのソファに座り込んだ。


一馬が、私のことを。


その言葉が、胸の奥で小さく脈打つ。


ダメだ。


彼は咲の婚約者。私は彼の義母になる。


でも——。


スマホが震えた。


LINEの通知。


送り主は——柊一馬。


『麗華さん、こんばんは。突然すみません』


私の指が、震えた。


麗華さん——。


「お義母さん」じゃない。名前で呼んでいる。


『咲から聞きました。僕、美容に興味があって。もしよければ、先生のサロン、見学させていただけませんか?』


返信すべきか。


いや、返信すべきじゃない。


でも——私の指は、勝手に動いていた。


『いいわよ。いつがいい?』


送信。


すぐに返信。


『明後日の夜、閉店後でも大丈夫ですか?』


閉店後。


二人きり。


私の心臓が、激しく鳴った。


『わかったわ。9時にいらっしゃい』


送信してから、私は自分が何をしたのか理解した。


これは——一線を越える、最初の一歩だ。


2

明後日の夜が来た。


サロンの最終顧客を送り出し、私は鏡の前に立った。


白衣を脱ぎ、クローゼットから黒のノースリーブニットを取り出す。首元が広く開いたデザイン。鎖骨が綺麗に見える。


スカートは、膝上5センチのタイトスカート。


いつもより、露出が多い。


「何やってるの、私……」


呟きながらも、私は濃いめのリップを引いた。


9時。


チャイムが鳴った。


ドアを開けると——一馬が立っていた。


黒のシャツに、ベージュのチノパン。シンプルだけど、32歳の男の体を包む服は、妙に色気があった。


「こんばんは、麗華さん」


「いらっしゃい」


私は彼を中に入れた。


サロンには私と一馬、二人きり。


「綺麗なサロンですね」


一馬は、室内を見回した。


「ありがとう。この空間、私の全てなの」


「麗華さんの全て……」


一馬が、私を見た。


その目——。


やはり、「女」を見る目だ。


「麗華さん、今日はありがとうございます」


「いいのよ。それで、何が見たいの?」


「その前に——少し、話したいことがあります」


一馬の声が、低くなった。


私の背筋に、冷たいものが走る。


「話?」


「ええ」


一馬が、一歩、私に近づいた。


「麗華さん。僕——あなたが好きです」


時間が、止まった。


「え……?」


「僕、あなたが好きです。10年前から」


10年前?


「10年前って……あなた、まだ22歳じゃない」


「ええ。22歳の時、僕はあなたに救われた」


一馬の目が、真っ直ぐ私を見つめる。


「10年前の雨の夜、覚えていますか?」


雨の夜——。


記憶を辿る。10年前、私は30歳だった。夫と死別し、独りで美容サロンを始めたばかり。


ある雨の夜、公園のベンチに座り込んでいる若い男を見つけた。ずぶ濡れで、震えていた。


私は——彼を、サロンに連れて帰った。


「あの時の……」


「そうです。僕です」


一馬が、微笑んだ。


「あなたは、僕に温かいタオルと紅茶をくれた。『辛い時は、人に頼っていい』って言ってくれた」


「それは……当たり前のことよ」


「でも、僕にとっては——初めてだった」


一馬の手が、私の頬に触れた。


「その日から、僕はあなたのことしか考えられなくなった」


私は——手を払いのけるべきだった。


でも、できなかった。


一馬の手が、温かかったから。


「一馬くん……でも、あなたは咲の……」


「咲との婚約は——全部、計算です」


私の心臓が、止まった。


「計算……?」


「あなたに近づくための」


一馬の手が、私の髪に触れた。


「10年間、僕はあなたを見てきた。いつも、遠くから」


「見てきた……って」


「監視してました」


私の全身が、凍りついた。


監視?


「あなたの行動パターン、全部知ってます。毎朝7時に起きる。火曜と木曜はヨガ。好きな花はガーベラ。コーヒーは砂糖なし。読む雑誌は『MAQUIA』と『美的』」


「どうして……そんなこと……」


「だって、好きだから」


一馬の声は、穏やかだった。


でも——その内容は、異常だった。


「あなたが再婚して、咲という連れ子がいることを知った時、チャンスだと思った」


「チャンス……」


「咲に近づけば、あなたに近づける」


一馬の指が、私の首筋を撫でた。


「だから僕は、咲と付き合い始めた。婚約もした」


私は——声が出なかった。


「咲は——あなたに近づくための、道具です」


道具。


一馬は、咲を——。


「ひどい……」


「ひどいですか?」


一馬が、私の唇に顔を近づけた。


「でも、咲も——あなたを道具にしてますよ」


「え……?」


「咲は、あなたを追い出して、財産を独占するつもりです」


私の心臓が、再び止まった。


「嘘……」


「嘘じゃない」


一馬が、スマホを取り出した。


「証拠、見せます」


3

画面に、音声ファイルが表示されている。


一馬が再生ボタンを押すと——。


咲の声が流れた。


『お義母さん、マジうざいんだけど』


『父の遺産、半分も持っていかれるとか最悪』


女友達の声。


『でも、お父さん元気じゃん』


『だから今のうちに追い出すの』


私の手が、震えた。


『一馬使って、お義母さんと不倫させる。証拠撮って、父に見せれば離婚確定』


『一馬、お義母さん好きなの?』


『知らない。でも利用できるなら何でもいい』


咲の声は——冷たかった。


『一馬も、お義母さんも、父も——全部、私の金づる』


音声が、止まった。


私は——スマホを見つめたまま、動けなかった。


咲が——。


私が10年間、娘として愛してきた咲が——。


「信じられないかもしれませんが、これが現実です」


一馬の声が、遠くから聞こえる。


「咲は最初から、あなたを嵌めるつもりでした」


「じゃあ……あなたも……」


私は、一馬を見た。


「あなたも、同じなの?」


一馬が、首を横に振った。


「僕は違う」


一馬が——私を抱きしめた。


「僕は、本気であなたを愛してる」


一馬の腕の中。


温かい。


「咲はあなたを利用するつもりだった。でも僕は——あなたを守りたい」


一馬の手が、私の背中を撫でる。


「10年間、ずっと見てきた。あなたがどれだけ孤独か。夫に愛されていないか」


「やめて……」


「麗華さん、いつからセックスレスですか?」


私の身体が、ビクッと震えた。


「答えなくてもいい。でも——僕には、わかる」


一馬の唇が、私の耳元に触れた。


「あなたは——渇いてる」


その言葉が、私の心臓を貫いた。


渇いてる。


そう——私は、渇いていた。


「触れられたいんでしょ? 抱かれたいんでしょ?」


一馬の指が、私の顎を持ち上げる。


「一馬くん……ダメよ……」


「どうしてダメなんですか?」


「あなたは……咲の……」


「咲の婚約者? その咲は、あなたを裏切るつもりだった」


一馬の顔が、さらに近づく。


「麗華さん、あなたは——誰にも裏切られる必要はない」


一馬の唇が、私の唇に触れる寸前で止まった。


「僕は——あなただけを、愛してる」


私は——もう、逃げられなかった。


いや——逃げたくなかった。


「一馬くん……」


私の手が、一馬の首に回った。


そして——私から、唇を重ねた。


一馬の舌が、私の口内に侵入してくる。


深い、深いキス。


私の身体が、熱くなる。


3年間——誰にも触れられなかった身体が、悲鳴を上げていた。


「麗華さん……」


一馬の手が、私の服を脱がし始める。


「ダメ……ここは……サロンだから……」


「じゃあ、どこならいいんですか?」


一馬の目が、私を見つめる。


その目——獣のような、欲望に満ちた目。


「私の……家……」


「咲がいるでしょ」


「今日は……友達の家に泊まるって……」


「なら——行きましょう」


一馬が、私の手を引いた。


4

自宅に着くと、一馬は躊躇なく私を抱き上げた。


「一馬くん!」


「我慢できない」


一馬が、私を寝室に運ぶ。


ベッドに降ろされた瞬間、一馬が覆いかぶさってきた。


「10年間——ずっと、この瞬間を夢見てた」


一馬の手が、私の服を脱がす。


私も——一馬のシャツのボタンを外した。


32歳の身体。


引き締まった胸板。無駄な贅肉はなく、筋肉が綺麗に浮き出ている。


「麗華さん……綺麗だ……」


一馬の手が、私の肌を撫でる。


「40歳なのに……信じられない」


「お世辞……言わなくても……」


「お世辞じゃない」


一馬の唇が、私の鎖骨に触れた。


「本当に——綺麗だ」


一馬の舌が、私の肌を舐める。


電流が、全身を走った。


「あ……」


声が、漏れる。


こんな声——3年間、出したことがなかった。


「麗華さん、感じてるんですね」


一馬の指が、さらに下へ。


「一馬くん……待って……」


「待てない」


一馬の手が——。


私たちは、その夜、何度も肌を重ねた。


32歳の若い身体は、何度でも私を求めた。


そして私も——拒むことができなかった。


いや、拒みたくなかった。


朝、目が覚めると、一馬が隣で眠っていた。


穏やかな寝顔。


私は——彼の頬に触れた。


温かい。


これは——現実だ。


私は、義理の娘の婚約者と、一夜を共にした。


罪悪感——。


あるはずだった。


でも——なかった。


むしろ——満たされていた。


3年ぶりに、女として抱かれた。


その充足感が、全身を満たしていた。


スマホが震えた。


LINEの通知。


送り主は——咲。


『お義母さん、おはよう! 今から帰るね♡』


私の心臓が、跳ねた。


咲が——帰ってくる。


「一馬くん」


私は、一馬を起こした。


「咲が——帰ってくる」


一馬の目が、開いた。


「そうですか」


一馬は、穏やかだった。


「なら——始めましょうか」


「始める……?」


「ええ。本当のゲームを」


一馬が、微笑んだ。


「咲が、あなたを嵌めようとしたように——僕たちも、咲を嵌める」


「でも……」


「麗華さん、あなたは——咲に騙されていた」


一馬が、私の手を握った。


「だから、罪悪感を持つ必要はない」


一馬の言葉が、私の心に染み込んだ。


そう——咲は、私を裏切るつもりだった。


なら——。


「わかったわ」


私は、一馬を見つめた。


「私——もう、後戻りはしない」


一馬が、満足そうに微笑んだ。


「それでいい」


一馬が——私に、再びキスをした。


「これから、僕たちの時間が始まる」


私は——一馬の首に手を回した。


そして——全てを、受け入れることにした。


咲を裏切る。

夫を裏切る。


でも——もう、どうでもよかった。


私は——女として、渇いていた。


そして今——一馬が、その渇きを満たしてくれる。


スマホが再び震えた。


咲からのLINE。


『あと10分で着くよ〜』


私は——一馬を見た。


一馬も——私を見た。


そして、二人で——微笑んだ。


ゲームが——始まる。


5

玄関のチャイムが鳴った。


私は、いつも通りの顔で、ドアを開けた。


「おかえり、咲」


「ただいまー! あれ、一馬くんの車……」


咲が、駐車場を見た。


「一馬くん、いるの?」


「ええ。昨夜サロンに来て、そのまま泊まっていったの」


「え? 泊まったの?」


咲の顔に、微かな疑念が浮かぶ。


「ゲストルームよ。心配しないで」


私は、笑顔を作った。


咲は——まだ疑っているようだった。


「一馬くーん?」


咲が、リビングに入る。


一馬が、ソファに座っていた。


「おはよう、咲」


「何してるの? お義母さんの家に泊まるなんて」


「昨夜、美容の話で盛り上がって。気づいたら終電なくなってた」


一馬の嘘は、完璧だった。


咲は——まだ疑っている。


でも、証拠はない。


「そう……」


咲が、私を見た。


その目——。


音声ファイルで聞いた、冷たい目だ。


私の胸に、小さな怒りが芽生えた。


この子は——私を、騙していた。


「咲、お茶入れるわね」


「うん」


私は、キッチンに向かった。


背後から、咲と一馬の会話が聞こえる。


「一馬くん、本当に何もなかったの?」


「何もないよ。何を疑ってるの?」


「だって……お義母さん、綺麗だし」


「君のお母さんだよ?」


「義理でしょ?」


咲の声が、鋭くなった。


「一馬くん、もしかして——お義母さんのこと、好きなの?」


沈黙。


私の手が、止まった。


「咲。僕が好きなのは——」


「誰?」


「君じゃない」


私の心臓が、止まった。


「え……?」


「僕が好きなのは、麗華さんだ」


ガシャン。


咲が立ち上がる音。


「何言ってるの!?」


「事実を言ってる」


一馬の声は、冷たかった。


「僕は最初から、君を愛していない」


「じゃあ、なんで婚約なんて——」


「麗華さんに近づくため」


咲の呼吸が、荒くなる。


「嘘……」


「嘘じゃない」


私は——キッチンから、リビングに戻った。


咲と一馬が、向かい合っている。


咲が——私を見た。


「お義母さん……これ、どういうこと?」


私は——何も答えなかった。


ただ——一馬の隣に立った。


「お義母さん!?」


咲の声が、裏返る。


「まさか……お義母さんも……?」


私は——咲を見つめた。


「咲。あなた、私を追い出すつもりだったわよね」


咲の顔が、凍りついた。


「え……?」


「財産目当てで。私を嵌めて、離婚させるつもりだった」


「誰が……そんなこと……」


「証拠がある」


一馬が、スマホを取り出した。


そして——音声を再生した。


『お義母さん、マジうざいんだけど』


咲の顔が、真っ青になった。


『父の遺産、半分も持っていかれるとか最悪』


『だから今のうちに追い出すの』


音声が、続く。


咲は——何も言えなかった。


「咲、あなたが先に——私を裏切るつもりだった」


私は、咲を見下ろした。


「だから、私も——あなたを裏切る権利がある」


「お義母さん……」


咲の目に、涙が浮かんだ。


でも——その涙は、演技だ。


音声ファイルの咲の声——あれが、本当の咲。


「出ていって」


私は、言った。


「え……?」


「この家から、出ていって」


咲が——震えた。


「そんな……」


「あなたには、もう——娘として扱う義理はない」


私は、冷たく言い放った。


咲は——泣き崩れた。


でも——私の心は、動かなかった。


一馬の手が、私の腰を抱いた。


「麗華さん、大丈夫ですか?」


「ええ」


私は——一馬を見た。


そして——咲の前で、一馬にキスをした。


咲の悲鳴が、聞こえた。


でも——もう、関係ない。


私は——一馬を選んだ。


そして——咲を、切り捨てた。


【第1話・了】

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2026年1月14日 22:00
2026年1月15日 22:00

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