ドラゴン侍

渋谷かな

第1話 はじまり

ドラゴン侍


第1話 はじまり


「パホホ~! パホホ~!」


 時は、ホラ貝が鳴り響く戦国時代。


「でやああああー!」


「たああああー!」


 侍たちが鎧を着て刀で戦う戦乱の時代。



 竜の村。


「お兄ちゃん、お腹空いた。」


 妹のサチ、7才。


「仕方がないだろ。戦いばかりで、みんな、食べるものもないんだから。」


 兄の竜之介、16才。


「竜神様にお参りに行こう。」


「うん。」


 竜之介とサチの兄弟は、竜伝説のある竜の村に住んでいた。



 竜の祠。


「竜神様。どうか俺とサチが幸せになれますように。」


「ご飯がお腹いっぱい食べられますように。」


 兄弟は竜を祀る祠に手を合わせて祈る。


「お兄ちゃん、食べていい?」


「いいぞ。」


「やったー! パクパク。」


 貧しい兄弟がお参りするのは、お供え物が目当てであった。


「美味しい!」


「竜神様はすごいな。直ぐにサチの願いを叶えてくれたぞ。」


「うん。サチ、竜神様大好き!」


 二人は竜神様に守られていた。

 


 ある日、龍の村を悲劇が襲う。


「ギャアアアアアアー!」


 村人が次々と蹂躙されていく。


「奪え! 奪え! 奪いつくすんだ!」


 村は野盗に襲われた。


「サチ! 逃げるぞ!」


「どこへ!?」


「竜神様の祠だ! あそこまでは野盗もこないだろう!」


「うん!」


 兄弟は燃え盛る村から逃げ出した。



 竜の祠。


「へっへっへ。逃がさねえぞ。俺たちだって生きるためなんだよ。」


 しかし、野盗は見逃してはくれなかった。


「お願いだ! 妹だけでいい! 妹だけは助けてくれ!」


「安心しろ。おまえを殺したら、捕まえて、売り飛ばしてやる。ワッハッハー!」


「怖いよ!? 怖いよ!?」


(そ、そんな!? サチは、サチは幸せになるために生まれてきたのに!? まだ幸せになっていないのに!?)


 不条理に追い込まれてしまう兄弟。


「死ね!」


 野盗が刀を振りあげる。


(もうダメだ!?)


 諦める兄。


(助けてー! 竜神様!!!!!!)


 妹は竜に助けを求めた。


ピカーン!


 サチの願いに答える様に、龍の祠に光り輝く竜の鎧が現れる。


「よ、鎧!? 竜の鎧!?」


(叫べ! 竜装と!)


 神々しい光を放つ鎧から、竜神様の声が聞こえてくる。


「竜装!」


ピカーン!


 竜の鎧が竜之介の体に装着していく。


「へ、変身した!? まるで竜の侍じゃないか!?」


「お兄ちゃん! カッコイイ!」


 ただ冴えないの農民の兄が、カッコイイ竜の侍になり、サチは大喜び。


「ふざけるな! その鎧もよこせ! おまえたちは、ここで死ぬんだよ!」


 襲い掛かる野盗。


(刀を抜け! 必殺技! 竜斬だ!)


「おお!」


 竜之介は鞘から初めて竜の刀を抜いた。


「いくぞ! 野盗! 必殺! 竜斬!!!!!!」 


 刀から荒ぶる竜の一撃が放たれる。


「ギャアアアアアアー!」

 

 竜に呑み込まれ野盗は倒された。


「か、勝った!? 勝ったぞー! うおおおおおおー!」


 初めての戦闘、初めての勝利に興奮した。


「お兄ちゃん! お兄ちゃん!」


 生き残ったことを一緒に喜んでくれるサチ。


(・・・・・・頑張ろう。妹の笑顔を守るために。)


 兄は可愛い妹の幸せのために生きることを誓うのであった。


 つづく。

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