君に、雨は似合わない

残間 みゐる

プロローグ

プロローグ

引っ越しの段ボールは、思っていたより早く片付いた。

必要なものと、そうでないものが、きれいに分かれていく。今見返せば、こんなにも自分の荷物は少ないのか、ミニマリストではないのだが、、、笑


昼ごはんを食べて、それを見つけたのは押し入れの中の最終確認をしている時だった。

それは押し入れの奥で、静かにたたずんでいた。


埃をかぶった一冊のノート。

表紙は色あせて、角は丸くなり、背表紙は少し裂けている。

誰かに大事にされていた、というより、

長い時間、そこにあったという感じがした。


「おじいちゃん、こんなのあったんだけど」


声をかけると、祖父は手を止めた。

ノートを見た瞬間、ほんの一秒だけ、時間が止まる。


「……それは」


言いかけて、祖父は黙った。

そして、小さく息を吐く。


「日記だ」


「誰の?」


そう聞くと、祖父は少しだけ困ったように笑った。


「……昔の、な」


「何これ」


祖父はそれ以上、何も説明しなかった。

ただ、ノートを僕の手に戻して、静かに言う。


「読んだら、わかる」


僕はその場で、ノートを開いた。

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