彩脳

ある男の話。

ボーカロイドで曲を作った。発表した。評価された。

なぜかボーカロイドを作ると評価された。

そして男はボーカロイドを作るしかなくなった。

「お母さんは条件付きでしか僕を愛してくれなかった。」

「僕が愛されるための条件はボーカロイドを作ることだった。」

…多少オーバーだが、時々こういう妄想をする。

才能を消費して、俺はみんなの関心を引く。

でも才能が完全に切れたら、みんなが俺を見離して去っていく。

それが怖いから、俺は作り続けるしかない。

止まれない。回遊魚のようだ。

「自分の上位互換を毎日毎日見上げながら、自分が腐っていくのを日々実感する。」

ある種、俺は壊れかけているのかもしれない。

要約すると、俺は「才能」をもってして、他者に自分を認めさせようとした。

だが、「所詮ただ凡庸(以下)」と知った。目論見は失敗した。

「命によって俺は壊れた。」オーバーかもしれないが、そう実感する時がある。

音楽。憧れ。きらびやかなステージ。その裏側。

否、そこに辿り着くことすらできぬまま、干からびて行った人たち。俺。

ハハノアイ。パラノアイ。

俺は…焦がれて焦がれて本当に焦げてしまった。

ステージに立つこともできぬまま、ネットで称賛を浴びることもできぬまま、

5年経ち、心が壊れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る