学校一のS級美少女と仲良くなった俺は何故か懐かれ、探偵と助手という名の甘々な生活を送れている件
おこのみにやき
ほんわか?学園生活
第1話:俺は貴女を心から敬愛しています。
『探偵』とはなんだろうか。
人の嘘や世界の欺瞞をはぎ取って、隠された本当を暴く者…ともいえるし、逆に人が隠したい痛みにも踏み込む存在とも言える。
あと、名前的にもかっこいい。
皆んなも分かるよねぇ…?この気持ち、浪漫に溢れているの分かるのかな?
え?分かるよね?…分かるかな?
だが、俺からすれば『探偵様』に感じているのは2つ———————。
なんともめんどくさくて、愛らしい存在だと言えるだろう。
そんなことを考えながら…俺こと
何をしているかって? そりゃあ俺の『探偵様』を待っているに決まっている。
放課後といっても、帰りのホームルームが終わったばっかなので人の数は多い。
爆速帰宅勢と、友達を待つ人に別れたクラス内はどうにも騒がしかった。
廊下の窓の外からは、運動部の掛け声がこだましてる。
バスケ部の「ナイス!」という声と、野球部の金属バットがボールを弾く乾いた音。
その合間に吹奏楽部のトランペットがスケール練習をしていて、校舎全体が放課後の音で満たされていた。
カーテンの揺れる音に、机を片付けるガタガタとした音が重なって、放課後の喧噪が広がっていく。
高校一年生になって一ヶ月が経過した。
もう春も下旬。
微かに桜の花びらが開いた窓から入り込んだ。
風が俺の髪を横に流していく。
まぁ友達も沢山できたとはいえ、放課後は一人になりたいもんだ。
誰が逆張りオタクじゃ!!!悪いかボケナスっ!!!孤独は苦手だが、静かな場所の方が好きなんだもの。
「よぉ〜す!!!まっひ〜!!」
「…創大…うるさいぞ」
…前言撤回。
こいつがいるから一人の時間ができないんだ。
俺の背中に手を回しながら軽活そうに笑うのは、俺の親友(?)でもある
親友と言っても本人が言っているだけであり、実際俺たちも出会って二週間であり、なぜか急に仲良くなれた。
「愛しの彼女のことを考えていたのか?」
「うっせ…そんなんじゃないし」
俺の隣の人の椅子を借りて、近くにドカッと座る創大。
顔立ちはいいのに、そうやってうるさいから彼女ができないんだよ。
あと、変人行動が目立つ。
あ、彼女いるんだったけ?え、 彼女じゃなかったけ?創大が女の子と2人で帰っているのを見たからしょうがないかな?
とりあえず、幸せになれよ。 俺は純愛勢だからさ。
「まったくだよな〜。まっひーは顔は良くて友達も多いのに、放課後と昼休憩の時は顔がデレデレになってんだから」
「おい、待て。どこで仕入れたその情報」
目の前で笑顔でサムズアップする創大のほっぺたをむにー、と引っ張る。
は行しか喋れなくなっている創大に、俺はさらに詰め寄った。
「へ?…へっほふははひひはっへるほ…結構話題になってるぞ?」
「どういう話題でだ?」
「…いっつ〜!!急に手を離すなよ!!!」
すでに教室には俺と創大以外の人の気配は少なくなっている。
いまだに俺の『探偵様』は訪れていない。
……俺の? ちょっと待て。
俺って案外独占欲強めか? じゃあもういいか(よくない)。
「おぉ〜い?まっひーろー!!…だめだなこいつ。自分の世界に入ってやがる」
「俺って…助手失格?…いやいや。流石に……」
あぁ…ぐるぐるする。 俺の脳内が高速回転している。
俺の頭の中のネコチャンカワイイナー。
ス⚪︎キモリチャバダンギジバゼヨ⤴︎!!!!!!!!
「お〜い真紘!!!愛しの彼女様がきたぞ!!?」
どうせ創大の嘘だろ? 俺を動かそうとしてもそう簡単にはいくんじゃぁねえぞ。
あと何度も言うけど探偵様は彼女じゃねぇ。
「そうだ〜。愛しの助手よ〜」
「…うわっ!!!!」
甘い香りと共に俺の耳元に柔かな息が掛かった。
俺は反射的に立ち上がる。
ガシャン!、と椅子が後ろに倒れる乾いた音がやけに大きく響いた。
すでに静まりかけた教室に、俺の鼓動まで聞こえそうである。
それにしても…この声は……。
「や、助手よ。愛しの探偵様だぞ?」
「紬……」
何を隠そう俺の目の前でにっこりと微笑む美少女こそ、俺の探偵様—————ゆっくり陽の光を背に、
窓の外から吹き込む風に、薄い白銀色の髪が揺れる。
その光が髪を透かして、まるで空がほどけたみたいだった。
学校一の美少女でもあり『玉砕美探偵』という二つ名を持って、S級美少女とも陰で言われている芸術品のような美貌。
曰く入学早々、学校一のイケメンに告られたとか。
曰く2日目でサッカー部のエースとバスケ部のエースに言い寄られたとか。
紬に変なことを言って言い寄ったら【
制服の上に羽織るコートは、彼女の体には少し大きすぎる。それが逆に、小柄な彼女の線の細さを際立たせていた。
白い指先が胸元のボタンを軽く押さえる仕草が、どうしようもなく目を奪う。
「えへへ……失礼しま〜す」
「ちょっ……!? 待て、待て紬っ!?」
次の瞬間、紬は俺の太ももの上にちょこんと腰を下ろした。
太ももに当たる柔らかい重みと、制服の布越しに伝わる彼女のぬくもり。
脳が一瞬でショートする。
近い。近すぎる。
瞳の中に、俺の顔が映ってるのがわかる。
そのことに気づいた途端、呼吸の仕方を忘れた。
「……あのなぁ、俺の目の前でイチャコラするのやめて貰っていいかな?」
創大の呆れ声が響き、俺たちは反射的に離れた。
その一瞬でさえ、空気が熱かった。
「こ、これは!! 私たちの……その、コミュニケーション!」
「そ、そう! コミュニケーション!!」
顔を合わせた瞬間、互いに湯気が出そうなほど真っ赤になる。
創大のツッコミを背に、俺たちは教室を飛び出した。
「俺たちもう帰るから!!!!」
「おい、待て!!!ラブコメの空気をもっと感じさせろぉぉぉおおおお!!!!!!!!」
紬の手を引いて、階段下まで駆け降りた。
逃げるが勝ちだ!!!
背後から聞こえる創大の声が聞こえなくなるまで精一杯に逃げ、下駄箱の影で膝に手をつけて呼吸を整える。
鼓動が、耳の奥でまだ鳴っていた。
紬の頬は、春の花みたいに淡く色づいている。
「うぅ……。手、繋いじゃった」
「ごめん……なんでもするから、許してほしい」
紬も手を抑えて耳まで真っ赤にしながら、自分の手を凝視していた。
謝る俺に、紬は少しだけ俯いて、それから、ほんの少しだけ笑う。
「じゃあ……ん」
両手を広げる彼女。
その仕草が、小動物みたいで、あまりにも愛らしい。
…一体何がしたいんだ?
「お許しの……ぎゅー、だよ?」
言葉が喉に詰まる。
理性と心が喧嘩してる。
でも――紬の手が震えていた。
だから俺は、その手にそっと触れ、抱きしめた。
華奢な背中が、少しだけ震える。
頬に触れる髪が、陽の匂いとシャンプーの甘い香りを運んでくる。
「おぉ〜」
何が『おぉ〜』だ!!!
お前!!男は獣のだと言われてるんだぞ!!!
彼女の白色の髪の毛が俺をくすぐる。
あぁ…でもいい香りだし……。
でも、流石にダメだし!!!!
あぁ〜柔らかいな……。
突如、紬が顔をにやけさせながら俺から離れて、はにかんだ。
「今日の助手成分を補充できたし…今日はもう何もない日だから一緒に帰ろう!!」
「…うん」
少し物足りなささを覚えながらも、俺は紬と一緒に帰路についた。
「明日から『探偵部』として!!しっかり活動をしよう!!」
「そうだな…先輩たちはテストどうだったんだろうか……」
夕暮れの茜色の光が俺たちを照らし、紬の美しさを際立たさせる。
校門の向こうからは自転車のベルがチリンと鳴り、帰りの生徒たちが笑い合う声が混ざってきた。
夕暮れのグラウンドからはまだ掛け声が聞こえてくる。
俺と紬の間…手を伸ばせば掴めそうな程の少しだけ空いている隙間が、俺たちには心地よかった。
彼女の手の温もりが、まだ手のひらに残っていた。
ただ触れただけなのに、心臓の奥まで熱が染み込んでくる。
こんなにも簡単に、誰かに動かされるのかと、少し怖くなった。
俺たちは、まだ知らない。
『恋』とは何かを。
俺たちはいつ、それを知ることになるのだろうか。
でもコレだけは言っておく。
拝啓、まだ恋を知らぬ探偵様へ。
【筆者あとがき】 どうも『おこのみにやき』です。 とりあえず今、エピタイに戻ってみてみてください。
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