第十二話

  リョウ

「おまえ、涼、か?」何年ぶりに呼ばれた本当の名前にびくつく。目には涙が溜まる。おいてかれる、そう思ったとき、優しく抱き締められた。え?混乱してると「頑張ったな。ごめんな。」奏多も涙ぎみだった。「え?」「おまえが見つかったとき、おまえのかーさん、惇の名前叫んでたんだろ?」僕は口をポカンと開けたまま頷く。「生きるために惇のふりしなきゃ行けなかったんだろ?」奏多は少し離れて、僕の頭を撫でた。「よく頑張ったよ。」ついに涙は落ち、「怒らないの?」恐る恐る震える声で聞く。「ずっと一緒にいたのはおまえだろ?名前がなんだろうが俺はまこ、涼の友達で味方だぜ。」あぁ、やっぱり奏多はいい人だ。なぜかは理解できないが、僕のまま、涼のまま、受け入れてくれた。僕は涙を拭き、「ありが、とう。」と鼻を啜った。「おう!じゃ、俺の家でお泊まり会するんだろ?急ごうぜ!」差し出された眩しい光に包まれた手をとり、山を走って下った。

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