TS王女と庶民男子とオネェの戦士ドララララ!
楠本恵士
第1話・いゃあねぇ……あたしが守ってあ・げ・る♡かかってこいやぁ!ドララララ!
異世界大陸国『レザリムス』の二国──『ショウ国』と『ナン国』のショウ国の国境付近で、山の木が音をたてて伐採されていた。
兵士の声が山に響く。
「見つけ出せ! 山の木をすべて切り倒しても、ショウ姫を連れ去った庶民のパン屋の息子を見つけ出して、姫を連れもどしてこいという……国王さまのご命令だ!」
斧で木を切り倒している兵士が、国王からの指示を聞いてきた上部兵士に訊ねる。
「国王さまは、本当に山の木をすべて切り倒せと命じたので?」
「間違いない『草の根を分けても探し出すでは生温い、山の木を伐採してでも見つけ出せ』と……言った」
「はぁ? そっちの方が手間だと思いますが」
◆♡◆♡◆♡◆
伐採されて倒れる木の音を耳にしながら、ショウ王女の手を引いた、庶民男子のフェリシアが山を逃げていた。
年齢にして十六歳のバン職人のフェリシアと、庶民に変装した十六歳のショウ王女は互いを気遣いながら、山の細い街道を城の追ってから逃げていた。
フェリシアがショウ王女に言った。
「大丈夫? ショウ……女の子の体で走るの辛くない?」
町娘の格好をしたショウが、息切れをしている胸元を押さえて微笑む。
「はぁはぁ、大丈夫だ……フェリシア、気遣ってくれてありがとう」
街道端の切り株に腰を下ろした、ショウにフェリシアは近くに湧いている石清水の水を竹筒水筒に入れて、ショウに差し出す。
「ありがとう」
ショウ王女は、竹水筒の水で喉を潤した。
フェリシアは、ポケットからパンを一個取り出してショウに差し出す。
「これ、食べて……あたしじゃなかった、転生した、オレが移動パン屋の焼き
ショウはパンを受け取って口に運ぶ。
「美味い……オレじゃなかった、今は転生したあたしは、前世では入院していて美味しいパンは食べられなかったから」
「それは、自分も同じ……ややこしくなるから、今の体に相応しい言葉遣いで話そうか」
ショウ王女がうなづく。
二人が休憩していると、木が切り倒される音が響いて追っ手の兵士たちが現れた。
兵士の一人が二人を見て言った。
「見つけたぞ、さあショウ王女さま……城にもどりましょう……強制婚約した隣国王子との挙式が待っています」
「イヤです! 帰りたくありません! イヤです!」
兵士たちが剣を鞘から抜いて近づいてくる。
「手荒なコトはしたくありませんが、しかたがありません……その男を殺してでも、姫を連れてこいという王のご命令です」
絶対絶命の危機──その時、車輪の音を轟かせて。
パン焼き窯付きの移動販売馬車を引いた、勇猛果敢なロバが走ってきて兵士数名をなぎ倒した。
庶民のパン職人の息子──フェリシアが鼻息が荒い、ロバを見て言った。
「『バリエンテ』無事だったのか!」
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