あの子だぁれ?
@ICHIGO1510INU
あの子だぁれ?
「へぇ…陽菜一人暮らししているんだ…。」
私、立花 春奈は、桜井 大和とアパートで昼食を食べていた。
桜井 大和は、私の幼なじみでLINEでやりとりする程の仲だ。
「うん…。そうなんだよー。」
「昔は、片付けなんか出来なかったのに…変わったんだな。」
「いやー…照れちゃうな―!」
大和の発言に私は頬を赤く染めた。
「そこは変わってないんだ。」
「ギクッ!」
(でも…)
「大和も、変わったよね…。」
「何が?」
「メガネじゃなくて、コンタクトレンズとか。顔が美形になった所とか?」
「ほとんど、見た目じゃん…。」
「そういえば、俺、霊媒師やってる…。」
「…え?」
「だから、俺、霊媒師やってる。」
「は。霊媒師!?」
「そんな驚く事?」
「だって…4年前は、生徒に雑学を教える大学の先生になるって言ってたじゃんっ!」
「それは………。」
ピンポーン
「…!?」
(こんな時間に誰だろう?)
不思議に思いながら、インターホンの画面を見ると、黒髪でツインーテールの白いワンピースの女の子が立っていた。
「知ってる人?」
大和は、インターホンの画面を見ると、そう聞いた。
「ううん。知らない子…。」
ピンポーン ピンポーン ピンポーン
(なんか…怖いな…。)
「俺が出るよ。」
大和は、思いきって、ドアを開けた。
「どうしたの?」
「【お母さん】いませんか?」
「………お母さん?」
「【お母さん】いませんか?」
「君のお母さんかい?俺は、知らないよ。」
「そっか…お兄ちゃん、ありがとう!」
女の子は、にっこり笑い、その場を去って行った。
「なんて、言ってた?」
「『お母さんいませんか?』っだって。」
「………変な子。」
「お前、気をつけろよ。後、一人の時は…」
「はいはい…。分かった、分かった…。」
次の日、小林さんと昨日の話をした。
小林さんとは、噂話が好きな近所のおばさんだ。
「それ、山田さんの子供じゃない?」
「山田さん?」
私にとって、初めて聞く名前だった。
「山田さんって、シングルマザーで、仕事で忙しそうにしているあの人よ。知らないの?」
「え…はい。」
「山田さんって、いつも忙しそうにしてるでしょ。だから、声かけたのよ。そしたら、「一人でやるので、大丈夫です」って冷たく言われたの。」
(そりゃ知らない人が声かけて来たら、そうなるだろ…。)
「私がわざわざ声かけたのに、その反応は無いわよねー。」
「そうなんですね〜。」
(適当に流しとこう…。)
私は、面倒だと思いながら、小林さんの噂話を聞いた。
その日の夜…
私は、ベッドに寝転がった。
「はぁー…今日は疲れたー。」
その時…
ピンポーン ピンポーン ピンポーン
「え?」
ピンポーン ピンポーン ピンポーン
(また、あの子?)
ピンポーン ピンポーン ピンポーン
インターホンが鳴ると同時に誰かの声がした。
「ねぇ、お姉ちゃん。」
後ろを向くと、昨日の女の子が私の後ろに立っていた。
「ひっ。」
(なんで、女の子が私の後ろに…。ていうか、どうやって入ってきたの?)
「あははっ。お姉ちゃんって面白い反応するんだね…。」
「………何しに来たの?」
「家に遊びに来たの。私、お姉ちゃんの事、好きになっちゃったかも。」
女の子は、不気味に笑う…。
「お姉ちゃん、また会いに行くね!じゃあねっ!」
女の子は、走り出した。
「待ってっ!まだ、聞きたい事が…。」
私が追いかけようとした時には、女の子の姿はなかった。
あれから、何日か経ち、しばらく女の子は来なかった。
私は、図書館で大和に、その話をした。
「っていう事があったんだよ。迷惑だから、やめてほしいよね。」
「…………。」
「っておーい!聞いてる?」
「………お守りあげる。」
大和は、いつもポケットに入れていたお守りを私に差し出した。
「何…急に。」
「これ、俺のお母さんが持ってたやつ…。」
(確か…大和のお母さんって…)
私が幼い頃に大和の母親は、交通事故で死んでいた。
「…なんで、それを私に?」
「………。このお守り…春奈の事、守ってくれるから…。」
理由は、何も言ってくれなかったが、大和はとても真剣な顔をしていた。
その日の夜、お守りを手でつつみながら考え事をしていた。
(大和はなんで私にお守りをくれたんだろう…。)
「まぁ…深い意味なんてないか…。」
次の日、私がゴミ出しをしていると、誰かに声をかけられた。
「あの~。山田ですけど…。うちの娘があなたのインターホンを押していたって、近所の人から聞いたんですけど…本当にうちの娘がすみません…。」
「え?私のインターホンを鳴らしていた女の子って…娘さんだったんです…?」
「はい…。本当にうちの娘がすみません…。」
「いやいやっ、全然大丈夫ですっ。」
(なんだ…山田さんの子供だったのか…。………良かった。)
私は、ため息をついた。
自分の部屋に戻ると、いつも通りテレビ番組を観ようとした。
その時…
キー…ガチャッ
誰かに玄関のドアを閉められた。
カチャッ カチャッ
(開かない。なんでっ?)
その時…
ゴンッ
私は、誰かに頭を叩かれ、気を失った…。
目を覚ますと…
「…………!?」
見知らぬ部屋にいた。
手や足は椅子に縛られており、身動きが取れなくなっている。
それに助けを呼ぼうとしても、ガムテープで口をふさがれ、声が出せない…。
(ここは何処なの…!?)
私が状況を理解できずにいると…
「やっと起きたぁー。」
黒い影が私をつつみ込んだ…。
(誰…?)
そこに立っていたのは、黒髪でツインテールの白いワンピースの女の子だった。
(この前の女の子!?)
「な、なんの為に私をここに連れ…」
「今から、私の手によって、あなたは殺されるの。」
女の子の目は、赤く染まっていた…。
私は、ある事に気付いた。
(体が透けてる…。)
「あ…あなたって…。もしかして…」
「あははっ。あははははっ!お姉ちゃんって面白いね。そうだよ。私…幽霊なんだ。」
私は、恐怖で震えた。
「お兄ちゃんは、交通事故で死んで、お姉ちゃんはここで死ぬんだよー。」
「え?今、お兄ちゃんって言った…?」
(この女の子、大和の事お兄ちゃんって呼んでた…よね…?)
「もちろんっ!大和は交通事故で死んだよ…。良かったね。」
女の子は、私を見て笑っていた…。
「そ、そんなわけない…。違うよっ!」
「本当だよぉ。」
その時…
ザァー…
レトロなブラウン管が砂嵐をたて始めた。
「な、何…!?」
しばらくて砂嵐が終わると、交通量の多い、交差点が写っていた。
そこには、大和がいる。
どうやら、何かを追いかけているようだ。
「待てっ!」
「鬼さんこちら。」
そこには、女の子が写っている。
今、私の目の前にいる女の子だ。
「鬼さん、もっと近づかないと捕まえられないよ。」
「それより…なぜ俺の母さんを殺したんだ。俺は、お前を許さない…。」
「……………。」
「お前が憎い…。憎い憎い憎い憎い、憎いんだよっ。」
女の子は、にっこり微笑んだ。
「!?」
「復讐だよ。私も、お母さんを殺されたんだ…。」
「…は?」
「私のお母さんは、交通事故で死んだんだ。お兄ちゃんのお母さんは、誤って、車で私のお母さんを引いてしまったんだよ。つまり…殺人犯とおんなじだね…。あはは、あはははっ。」
「そ、そんな…お母さんは、そんな事…そんな事…。絶対にしない!」
大和は、頭を抱えながら、立ち膝になっている。
「やだよ…。やだよ。やだよぉっ!」
「だから…
お兄ちゃんも死んで。
お母さんと幸せになれるよ…。」
大和は、自我を無くし、操り人形のように動き出した。
「あ゙ァ゙…これでやっとお母さんとおんなじになれる…。」
大和は、道路に飛び出した。
「んん゙ン…んん゙ン゙…っ!」
私は、ブラウン管の前で叫んだ…。
「あははっ、あははははっ!」
女の子の声と同時に…
グ ジ ャ ッ…
車に引かれ、大和の大量の血液が飛び散った。
大和の意識が薄れると同時にブラウン管の画面が真っ暗になった。
女の子は、笑みを浮かべた…。
「大和が霊媒師になったのはね…お母さんを殺したやつを探す為だったんだよぉ。それで、殺したやつが私って分け。」
「んんン゙ン゙…。んんン゙ん゙っ。」
「いい反応だね…。最後ぐらいは、しゃべらせてあげる。」
「ぷはぁっ。」
私は、ガムテープを無理やり剥がされた。
「お姉ちゃんをこれから殺す理由はね…。【愛してる】から。」
「愛してる…?」
「私のお母さんとお姉ちゃん…とっても似てる…。だから…私の寂しさを紛らわす為に死んで。そして、死んでも私を恨んで。」
「………最後に言う事は…ある?」
「大和…最後まで守れなくてごめんね。最後ぐらいは、会いたかった…。」
「⋯……そろそろ、さよならのお時間だよぉー!」
女の子は、手に持っていた包丁を私に向けた…。
その時、私はふと思った…。
(私が死んだら…大和は、喜ぶのかな…?私の家族や友達は、嬉しいと思うのかな…?
…………。違う。そんなの違うっ!そんなの辛いし、悲しい、苦しい。だから…)
「…私は、死にたくない。」
「………は?」
女の子は、私を殺す寸前で手を止めた…。
私が幼い頃に大和は、こんな事を言っていた。
「春奈。」
「何?」
「そ、その…生きてよ…。春奈…なんか…その…すぐ死にそうだから…。」
「え?それってどう言う…」
幼い頃の私は、意味が分からず理由を尋ねた。
「…………。」
今思えば大和は、普通の人には見えないものが見えていた…。
「なんでよぉ…。やっと、私の物になってくれると思ったのにー。なんでよぉ。なんでよぉ…。」
女の子は泣き叫ぶ…。
「だから…もう、復讐なんてっ…やめようっ!」
その時…
パキッ… パキッ…
(!?)
女の子の顔に亀裂が入った…。
「ああ゙ァー…あ゙ァ゙あ゙ァあ゙ァ゙…痛いよぉー。ああ゙ァ゙あ゙あー…。」
女の子の顔の中は、黒い闇が広がっている。
そこからたくさんの手が伸びてきた…。
「ひっ…。」
私は逃げようとしたが、椅子に足と手が縛られていてにげられない…。
(早く逃げないと!でも…どうしたら…)
手はどんどん私の方へ伸びてくる。
(やだよ…。死にたくないよ!)
お守りを手で握りながら、そう願った。
その時…
ドンドンッ…
「そこに誰かいるんですか?」
誰かが助けに来てくれたのだ。
「……………助けて…ください。助けてくださいっ!」
私は泣きながら声を出した。
「大丈夫ですか!?」
その人は山田さんだった。
ドアが開いた時には、私は倒れ、気を失った…。
目が覚める頃には、病院にいた。
病院の先生によると、私は1週間以上も眠っていたらしい…。
私はこの前起こった事を話したが、信じてもらえずに退院する事になった。
そして…
大和は交通事故で亡くなった。
私は大和が死んだ事が信じられなかった…。
でも…葬式で大和の顔を見ると、大和は死んでいる…という事実がよみがえる…。
私は大和が死んでいるという事に絶望した…。
大和に「ありがとう」とお礼を言う余裕もなかった…。
ただ…私は生きていて、大和は交通事故で死んでいるという事実が残るだけだった…。
もし、あなたのアパートにインターホンが鳴ると…
ピンポーン…ピンポーン
黒髪でポインテールの白いワンピースの女の子が写っていたら…
「は~い…。」
「お母さんいませんか?」
「え?」
絶対にそのインターホンに出てはいけませんよ…。
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