かつて日本と呼ばれた国ニフォンに召喚された魔帝王子 ~大天使の許婚と世界を救う~

夢朱雀琉鬼

第1話 悪魔と天使

――地面がない。


魔帝王子ルキは、まるでトランポリンのスプリング衝撃で飛び上がったあと空中にいるかのような感覚の中にいた。


俺は落ちているのか?⋯⋯いや、その前に俺の魔力でもあらがえない、この操られているかのような力はなんだ? どうにも気分が悪い。


魔帝王子ルキは意識を集中させ目を開いた。眼下に広がる渓谷の景色。


渓谷か⋯⋯いや違う、これは古代遺跡だ⋯⋯。


そう思いながら魔帝王子ルキはだんだんと気が遠くなっていくのを感じていた――。



「⋯⋯キ⋯⋯ルキ、起きて」


魔帝王子ルキは、その優しい声に目を開けた。


「ん? ここはどこだ?」

「あっ、ルキ、起きたのね! 久しぶり~」


魔帝王子ルキは豪華な天蓋ベッドのふかふかなベッドの上で突然抱きつかれた。横をむくルキ。そこにはルキの許婚、大天使リノがいた。


「あっ、リノ!」


その瞬間、大天使リノは魔帝王子ルキにキスをする。


「ん!⋯⋯」


魔帝王子ルキは大天使リノから唇を離しリノに質問した。


「どういう事だよリノ、ここは?」

「ここはニフォンのホテルよ。エミリーにルキを召喚してもらったの」

「は? 人間界のニフォン国か? 何で直接連絡して来ないんだよ。めっちゃ気分悪かったぞ!」


魔帝王子ルキはベッドの横にいるリノの側近、丸メガネをかけた占いの天使エミリーを睨んだ。


「えっ、あ、あの、その⋯⋯リノ様のご命令で仕方なく⋯⋯」


魔帝王子ルキは優しい笑顔を占いの天使エミリーに向ける。


「いや、エミリーに怒ってるんじゃないから⋯⋯お仕置はリノにするから大丈夫」


魔帝王子ルキはそう言うと大天使リノをギュッと抱きしめ熱いキスをした。


「んっ⋯⋯」


大天使リノもその熱いキスに応える。

すると魔帝王子ルキのはめているルシファーの指輪と大天使リノのはめているミカエルの指輪が同時に光り始めた。

この指輪は元々一対の指輪で、神が魔界と天界の友好の印として魔界の帝王ルシファーと天界の天使長、熾天使してんしミカエルに贈ったものだが、ルシファーの一人息子ルキと、ミカエルの一人娘リノが許婚となった時、ルシファーとミカエルからそれぞれ二人に譲られた指輪なのだった。

その時、占いの天使エミリーの横にいる、もう一人のリノの側近、黄金の天使イオリアが黄金の剣を抜きルキの首元に剣先を向け笑顔で言った。


「ルキ様、お久しぶりです」


魔帝王子ルキは大天使リノから唇を離し、黄金の天使イオリアの方を向いた。


「なんだ、イオリアいたのか、これは何の真似だ?」

「はい、ルキ様がそれ以上の事をリノ様にされましたら、ブスッとこの黄金の剣で一突きにして差し上げようと思いまして」

「分かったよ⋯⋯久しぶりに会って盛り上がっただけだ」


魔帝王子ルキは大天使リノから体を離しベッドから降りた。黄金の天使イオリアが黄金の剣を黄金の鞘に収める。


「それでリノ、俺に何の用だ?」

「えっ、うん⋯⋯エミリー、窓を開けてもらえるかしら?」

「かしこまりました」


大天使リノはベッドから降りた。占いの天使エミリーが部屋の窓を開けるとリノが着ている最高級のレースをふんだんに使った純白のドレスが揺れる。優雅で上品、柔らかい雰囲気のリノ。その可愛い顔と美しい立ち姿は、まさに天使というに相応しい女性であった。窓から入る風に長い髪を押さえながらリノは魔帝王子ルキに静かに話し始めたのであった⋯⋯。

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