うまくいかなかったあの日の話

野辺ひかり

第一話 オレンジの中で。


布団は敷いてあるのに、

寝る気配はない。

毛布をぐちゃっとして、くるくる巻きになって、にこにこ顔だけのぞいている。


「もう寝るよ」の声で、部屋がオレンジに包まれる。


「ママぎゅーして?」


左腕は頭の下・右腕は胸の上。

いつもここ。

少し位置がずれると戻される。


「ぼくが寝るまで起きててね。」


そういうとうっすら目が閉じていく。

オレンジの光で普段より顔が幼く見える。


今日がようやく終わっていく。


大きい湯たんぽを抱えたような温かい気持ちで眠りにつく。


この温かい気持ちで寝れるなら、

明日、目が覚めなくても後悔しない。


今日もここにいてくれてありがとう。

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