愛と勇気だけが、大体、友達
イミハ
第1話 愛と勇気だけが、大体、友達
――既視感しか無いw
空は今日も、理由なく青かった。
その空を――
米粒と海苔と希望だけで構成された正義、
おにぎりマンは飛んでいた。
「今日も平和だな……」
そう呟いた瞬間、
フラグは折れるために存在すると言わんばかりに、
地上から弱々しい声が聞こえた。
「……た、助けて……お腹が……空いて……」
おにぎりマンは急降下した。
街の片隅、アスファルトにへたり込んだ住人が、今にも米不足で倒れそうになっている。
「大丈夫ですか!? 今すぐ栄養を――」
おにぎりマンは一瞬だけ目を閉じ、
自分の顔に手をかけた。
「え?」
住人が声を漏らすより早く、
ベリッという、絶対に鳴ってはいけない音が鳴る。
――おにぎりマン、自分の顔のおにぎりを引き剥がした。
「これを……食べてください」
「え……あの……それ……」
住人は完全にドン引きしていた。
だが、空腹は倫理観を上回る。
「……い、いただきます……」
恐る恐るかじる住人。
顔面を食われながら微動だにしないおにぎりマン。
「……味は?」
「……普通に……美味しいです……。
でも、罪悪感が……すごい……」
「それが、愛と勇気の味です」
その瞬間――
空気が腐った。
「フフフ……感動的だなァ……」
空間が歪み、現れたのは
バイオ型細菌ウイルス人造人間――バイオマン。
「おにぎりマン……!
今日こそ貴様を……腐らせる……!」
「来たな、永遠に決着がつかないライバル……!」
バイオマンは腕を掲げ、
緑色に輝く微粒子を放った。
「喰らえ! 細菌ウイルス《ビーウイルス》!!」
「ぐっ……!」
おにぎりマンの身体に異変が起こる。
米が――腐り始めた。
「う……俺の……シャリが……」
「フハハハ!
もう貴様は食えない!
正義も保存期限切れだァ!!」
膝をつくおにぎりマン。
絶体絶命。
――その時。
「キキィィィィ――!!」
夜の街に、爆音が走る。
盗んだバイクで走り出してきた、
イケオジのトッピングおじさんと、
SMの女王様みたいな見た目のクール美女――フジキちゃーんが現れた。
「遅くなったなぁ!!」
トッピングおじさんは叫ぶ。
「おにぎりボウズ!!
今日のニュー・ライスだ!!
とっとと、食いな!!」
――ドンッ!!
投げつけられたのは、
梅干し入り・ニューおにぎり。
次の瞬間、
おにぎりマンの腐ったおにぎりが――入れ替わった。
「……この……酸味……」
おにぎりマンは立ち上がる。
クビを鳴らしながら、赤く光る目で呟いた。
「ああ……
俺様、見参……!!」
腕から、蒸気が噴き出す。
「必殺――」
マッハおにぎりパンチ。
ドゴォォォン!!
バイオマンの顔がへこみ、
時間差で吹き飛ぶ。
「さよなら無念!!
また、来週――!!」
彼は空の彼方へ消えていった。
戦いは終わった。
そして――
何も説明されないまま、次の展開へ行く。
トッピングおじさんとフジキちゃーんはバイクに二ケツ。
おにぎりマンは、ロープで亀甲縛りにされ、
フジキちゃーんがロープを持ち、
バイクに引きずられる形で移動する。
「ちょ、なんでこの流れで俺縛られてるんですか!?」
「黙って引きずられな」
三人は、
夜のホテル街へと消えていった。
これは――
混沌とした創作世界
**『パクリー・ワールド』**に閉じ込められた、
おにぎりマンとバイオマンが、
永遠に続く(予定だった)戦いの物語である。
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